相続登記をする

対象読者・更新日

対象読者:被相続人(亡くなった方)名義の土地・建物を取得することが確定した相続人の方 更新日:2026年9月26日

概要

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。被相続人名義の土地・建物を相続または遺贈により取得した方は、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。この義務は、2024年4月1日より前に発生した相続にも適用され、経過措置により原則として2027年3月31日までが一つの期限となります。

このページは、対象不動産と取得者がすでに確定している方に向けて、相続登記の期限、必要書類、申請先、費用を確認し、法務局への申請を準備できる状態まで案内します。相続人の確定方法や遺産分割協議の進め方そのものは、このページの範囲外です。

また、遺産分割がまとまらないなどの事情で期限内に通常の相続登記を完了できない場合には、相続人申告登記によって申請義務を履行する選択肢があります。ただし、相続人申告登記は所有権移転の相続登記そのものではないため、この違いも含めて確認します。

このページで分かること

  • 相続登記の申請義務と期限
  • 2024年4月1日より前に開始した相続の扱い
  • 遺言・遺産分割協議・法定相続分による取得の違い
  • 相続登記の代表的な必要書類
  • 申請先となる法務局の確認方法
  • 登録免許税の原則と免税措置
  • 窓口・郵送・オンラインによる申請方法があること
  • 期限内に本登記が難しい場合の相続人申告登記の位置付け
  • 複雑な事情がある場合に相談すべき窓口

この前に確認する

相続登記を申請するには、対象となる不動産と取得者がすでに確定している必要があります。次のいずれかがまだ済んでいない場合は、先にそちらを確認してください。

すでにこれらを終えている場合は、次の「最初にやること」へ進んでください。

最初にやること

相続登記の申請書を作成する前に、次の3点を確認します。

  1. 被相続人名義の土地・建物があるか、また既に相続登記が済んでいないかを、登記事項証明書等で確認します。
  2. 遺言、遺産分割協議、法定相続分のどれに基づいて不動産を取得するかを確認します。
  3. 相続開始日、取得を知った日、遺産分割が成立した場合はその成立日を確認し、自分に適用される期限を確認します。

対象不動産と取得者が確定できたら、後述の「相続登記の手順」に沿って準備を進めます。期限内に通常の相続登記が難しい場合は、「状況別に確認すること」で相続人申告登記の位置付けを確認します。

相続登記が必要になる人

次に当てはまる場合は、相続登記の申請義務の対象です。

  • 被相続人名義の土地・建物を、相続または遺贈により取得することが確定している。
  • 遺言、遺産分割協議、法定相続分のいずれかに基づいて、不動産を取得する立場にある。

一方、次に当てはまる場合は、このページで案内する相続登記の申請対象ではありません。

  • 被相続人が登記名義人である不動産を所有していないことが確認できている場合。ただし、把握していない不動産がないかは別途確認が必要です。
  • 相続放棄が受理され、対象不動産を相続しない場合。
  • すでに実際の取得関係と一致する相続登記が完了している場合。
  • 不動産ではなく、預貯金や有価証券等のみを相続する場合。この場合、相続登記ではなく、各財産ごとの名義変更手続きが必要です。

状況別に確認すること

取得根拠や事情によって、確認する内容が変わります。

遺言により不動産を取得する場合

遺言の内容を確認し、必要であれば家庭裁判所での検認手続きの有無を確認したうえで、遺言に基づく相続登記を行います。取得根拠と添付書類が、遺産分割協議による場合と異なります。

遺産分割協議により取得する場合

相続人全員の合意内容を確認し、遺産分割協議書を整えたうえで、取得者への相続登記を行います。協議内容が登記原因を示すことになります。

法定相続分で登記する場合

法定相続人と法定相続分を確定し、共同相続登記を行います。遺産分割が成立する前でも、法定相続分による登記ができる場合があります。

遺産分割が未了で、期限が迫っている場合

遺産分割がまとまらず、期限内に通常の相続登記を完了することが難しい場合は、相続人申告登記によって申請義務を履行できる場合があります。

相続人申告登記は、簡易に申請義務を履行できる制度です。ただし、所有権移転の相続登記そのものではないため、この登記だけで不動産の売却や抵当権設定を行うことはできません。相続人申告登記を行った後に遺産分割が成立した場合は、その成立日から3年以内に、遺産分割の内容を反映する相続登記が必要です。

2024年4月1日より前に相続が開始した場合

この場合も申請義務化の対象となります。経過措置により、原則として2027年3月31日までが一つの期限となります。ただし、個別の起算関係は次の「期限・いつまでに」で確認してください。

数次相続、代襲相続、相続人多数、所在不明者等がある場合

必要な戸籍の範囲や申請の構造、権利関係が複雑になります。このページの範囲を超えるため、司法書士等への相談を検討してください。

未登記建物がある場合

未登記の建物は、通常の相続による所有権移転登記だけでは処理できません。土地家屋調査士や法務局へ別途確認してください。

相続登記の手順

一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 被相続人名義の不動産を確認します。
  2. 登記事項証明書等で、現在の登記内容を確認します。
  3. 相続人と取得者を確定します。
  4. 遺言、遺産分割協議、法定相続分のどれに基づく申請かを決めます。
  5. 管轄法務局と申請方法を確認します。
  6. 戸籍、住民票、遺言書、遺産分割協議書等の必要書類を集めます。
  7. 固定資産評価額を確認し、登録免許税を計算します。
  8. 登記申請書を作成します。
  9. 添付書類、登録免許税、原本還付の準備をします。
  10. 窓口、郵送またはオンラインで申請します。
  11. 補正の連絡があれば対応します。
  12. 登記完了後、登記識別情報通知等を受け取り、登記事項証明書等で内容を確認します。

不動産が複数の法務局の管轄にまたがる場合は、原則として管轄ごとに申請を準備します。

期限・いつまでに

相続登記の期限は、取得の経緯によって起算点が異なります。死亡日だけを基準に考えないよう注意してください。

状況 期限の考え方
相続または遺贈により不動産を取得した場合 原則として、その取得を知った日から3年以内に申請します。
遺産分割が成立した場合 遺産分割により不動産を取得した相続人が、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を反映する登記を申請します。
相続人申告登記の後に遺産分割が成立した場合 遺産分割成立日から3年以内に、その内容を反映する相続登記が必要です。
2024年4月1日より前に相続が開始した場合 経過措置により、原則として2027年3月31日までが一つの期限となります。ただし、個別の起算関係は確認が必要です。

正当な理由なくこの義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

期限内に通常の相続登記を完了することが難しい場合は、「状況別に確認すること」で触れた相続人申告登記によって、申請義務を履行できる場合があります。

必要なもの

必要書類は、相続関係、登記記録、遺言の種類、申請方法等により変わります。ここでは代表例を示します。

共通して確認する書類

  • 登記申請書
  • 被相続人の死亡と相続関係を確認する戸除籍謄本等
  • 被相続人の最後の住所と登記上の住所のつながりを確認する書類
  • 相続人の戸籍関係書類
  • 不動産を取得する相続人の住民票の写し等
  • 固定資産評価証明書、課税明細書等
  • 委任状(代理申請の場合)
  • 登録免許税
  • 法定相続情報一覧図の写し(利用する場合)

遺産分割協議による場合

  • 遺産分割協議書
  • 相続人の印鑑証明書
  • その他、協議の成立と取得内容を確認する書類

遺言による場合

  • 遺言書
  • 自筆証書遺言等について必要となる検認済証明書等
  • 遺言執行者が申請に関与する場合の資格・権限を示す書類
  • その他、遺言の種類と申請人に応じて必要な書類

法定相続分による場合

  • 法定相続人と法定相続分を確認できる戸籍関係書類
  • 各申請人の住所を確認する書類

相続人申告登記の場合

  • 被相続人の死亡を確認できる戸籍
  • 申出人が相続人であることを確認できる戸籍
  • 申出人の住所を確認できる書類
  • 法務省・法務局が定める申出書その他の書類

上記は代表例であり、個別の事情によって必要書類が異なります。具体的な必要書類は、申請先の法務局で確認してください。

申請先・申請方法

申請先は、対象不動産の所在地を管轄する法務局・地方法務局・支局・出張所です。市区町村役場ではありません。

不動産が複数の管轄に分かれる場合は、原則として管轄ごとの申請が必要です。

申請方法には、窓口提出、郵送、オンライン申請があります。自分で申請することもできますが、複雑な事案では司法書士への依頼を検討してください。

法務局の登記手続案内は、申請書作成に必要な一般的な情報の提供です。個別の法的判断や書類作成の代行ではありません。

費用

相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産評価額の0.4%です。課税標準額や税額の端数処理は、法務局の案内に従います。

土地の価額が100万円以下の場合等、一定の相続登記については登録免許税の免税措置があります。この免税措置は2027年3月31日までとされているため、適用条件と申請書への根拠条項の記載を、申請先の法務局で確認してください。

収入印紙を使用する場合は、通常、申請書所定の台紙に貼付し、割印・消印はしません。

このほか、戸籍、住民票、評価証明書、登記事項証明書等の取得費用がかかります。司法書士へ依頼する場合は、別途報酬がかかります。

相談先

相談内容 相談先
管轄登記所、必要書類、申請書様式、登録免許税、原本還付についての問い合わせ 不動産所在地を管轄する法務局
相続人申告登記の申出方法についての問い合わせ 法務省・法務局
所有不動産記録証明制度の請求方法についての問い合わせ 法務省・法務局
数次相続、代襲相続、相続人多数、所在不明者、遺言・遺贈等、複雑な事情がある場合の相談 司法書士
遺産分割の話し合いがまとまらない場合の相談 弁護士・家庭裁判所
未登記建物や建物の表示に関する手続きの相談 土地家屋調査士・法務局
相続税の申告要否や納税についての相談 税務署・税理士

公式リンク

注意点

  • 期限の起算点は、死亡日ではなく、取得を知った日、または遺産分割が成立した場合はその成立日です。
  • 相続人申告登記は、申請義務を履行するための制度であり、所有権移転の相続登記そのものではありません。この登記だけで、不動産の売却や抵当権設定を行うことはできません。
  • 必要書類は、取得根拠や登記記録の状況によって異なります。共通の書類だけで手続きが完了するとは限りません。
  • 相続による所有権移転登記の登録免許税は原則0.4%ですが、一定の土地には免税措置があります。0.4%だけで判断せず、免税措置の適用可否を確認してください。
  • 申請先は、不動産所在地を管轄する法務局です。市区町村役場では申請できません。
  • 2026年2月2日から開始した所有不動産記録証明制度は、被相続人名義の登記済み不動産の把握に役立つ場合がありますが、すべての財産調査を代替するものではありません。未登記建物や登記名義が異なる不動産等は、別途確認が必要です。
  • 複雑な事情がある場合、自分で手続きを進めるべきか、司法書士へ相談すべきかは、一律に決まるものではありません。事情に応じて判断してください。
  • 添付書類は原本提出が原則です。原本を手元に残したい書類は、原本還付を請求できる場合があります。一方で、印鑑証明書など原本還付できない書類もあります。原本還付の可否や手続方法は、申請先の法務局で確認してください。

チェックリスト

あなたの場合はこちら

  • 遺産分割がまとまっていない、または期限が迫っている方は、法務省「相続人申告登記について」を確認してください。
  • 相続人の中に所在不明者がいる方は、不在者財産管理人の選任の申し立てを確認してください。
  • 相続人がいない場合は、「相続人がいない場合について知る」を確認してください。
  • 未登記建物がある方は、法務局または土地家屋調査士へ確認してください。
  • 数次相続、代襲相続、相続人多数、遺贈等がある方は、司法書士へ相談してください。

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