遺言書があるか確認する
対象読者:家族や親族が亡くなり、相続手続きを始めるにあたって、遺言書の有無や保管場所を確認したい方 更新日:2026年9月25日
概要
身近な方が亡くなったとき、相続の手続きを進める前に、その方が遺言書を残していないかを確認しておく必要があります。遺言書は、自宅や身の回りの書類の中に保管されている場合だけでなく、法務局や公証役場の制度を通じて確認できる場合もあります。
本記事は、相続手続き全体の流れの中で、相続人や相続財産の調査と並行して、遺言書の有無を確認する段階にある方を対象とします。遺言書の内容に基づく具体的な相続手続き(名義変更や遺産分割など)は、本記事の範囲外とし、別の手続きへ進む前段階として位置づけています。
このページでは、遺言書を確認する主な経路と、見つかった場合に注意すべき点を順番に確認できます。遺言書の内容の有効性の判断や、相続人間の争いへの対応は扱いません。
このページで分かること
- 遺言書をどこで、どのように確認すればよいか
- 法務局と公証役場での確認方法の違い
- 見つかった遺言書を、その場で開封してよいかどうか
- 家庭裁判所の検認が必要になる場合
最初にやること
遺産分割や名義変更を進める前に、遺言書の保管場所の心当たりを確認し、法務局と公証役場の公的な確認方法を順に確認します。
自宅などを探して見つからなかった場合でも、それだけで「遺言書はない」と判断せず、公的な確認経路もあわせて確認します。
状況別に確認すること
まずは、ご自身の状況に近いものを確認し、最初に何をすればよいかを選んでください。
| 状況 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 遺言書の保管場所に心当たりがある | その場所や、保管を任されていた人・機関に確認します。 |
| 法務局に自筆証書遺言を預けた可能性がある | 法務局(遺言書保管所)で、証明書の交付や閲覧の手続きを確認します。 |
| 公正証書遺言を作成した可能性がある | 公証役場で遺言検索を申し出ます。 |
| 封印された遺言書を発見した | 開封せず、家庭裁判所へ検認の手続きを確認します。 |
| 遺言書を見つけたが種類が分からない | 原本の形状や保管場所を変えずに、家庭裁判所または専門家へ確認します。 |
| 遺言書の有効性や解釈をめぐって争いになりそう | 弁護士・司法書士・行政書士など、内容に応じた専門家へ相談します。 |
すでに次のいずれかに当てはまる場合は、同じ確認を重ねる必要はありません。
- 法務局から遺言書保管に関する通知を受け、必要な証明書等を取得済みである
- 公正証書遺言の謄本をすでに取得し、内容を確認済みである
確認の流れ
一般的には、次の順序で確認すると漏れが少なくなります。これは法的な優先順位ではなく、実務上の確認しやすさによる順序です。
- 手元・自宅等を確認する 本人が残したメモ、重要書類、金庫、貸金庫、手帳・連絡先、遺言執行者や専門家への保管依頼などに心当たりがないか確認します。
- 法務局保管の有無を確認する
自筆証書遺言書保管制度を利用して預けられている可能性がある場合は、法務局で証明書の交付や閲覧の手続きを確認します。証明書には次の2種類があります。
- 遺言書保管事実証明書:遺言書が保管されているかどうかを確認するための証明書
- 遺言書情報証明書:遺言書の画像情報が表示され、内容を確認できる証明書 なお、相続人等が交付や閲覧を行うと、他の相続人等へ保管の事実が通知される仕組みがあります。
- 公証役場で公正証書遺言を検索する 平成元年以降に作成された公正証書遺言については、全国の公証役場で遺言の有無と保管している公証役場を検索できます。検索を申し出られるのは、遺言者の死亡後、相続人等の利害関係人です。検索の申出自体は無料です。
- 見つかった遺言書の種類と検認の要否を確認する
- 公正証書遺言、および法務局保管の自筆証書遺言(遺言書情報証明書)は、家庭裁判所の検認を必要としません。
- それ以外の遺言書(自宅等で見つかった自筆証書遺言など)は、検認が必要となる可能性があるため、家庭裁判所へ確認します。
- 封印されている遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもとで開封します。自分で開封してはいけません。
- 検認は、遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。
- 次の相続手続きへ進む 遺言書が見つかった場合はその内容に応じた手続きへ、見つからなかった場合は相続人・相続財産の確認や遺産分割協議へ進みます。
必要なもの
確認先によって必要なものが異なります。いずれも、具体的な組み合わせは請求者の立場や相続関係によって異なるため、詳細は各確認先の案内で確認します。
法務局(遺言書保管制度)
- 請求書
- 遺言者の死亡を確認できる戸籍等
- 請求者の立場・相続関係を確認できる戸籍等
- 相続人全員の住所を確認する書類等(必要となる場合があります)
- 本人確認書類
- 手数料
公証役場(遺言検索)
- 遺言者の死亡を証明する書類
- 相続人等の利害関係を証明する戸籍等
- 申出人の本人確認書類
家庭裁判所(検認)
遺言書の原本、申立書、相続関係を確認する戸籍等が必要です。必要な戸籍の詳細な組み合わせは、検認手続きに関する案内で確認します。
期限・いつまでに
遺言書の有無を確認すること自体について、全国一律の具体的な日数期限があるとは確認できません。ただし、遺産分割や名義変更を進める前に、できるだけ早く確認します。
検認が必要な遺言書を発見した場合は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所へ検認を請求するとされています。具体的な日数は定められていないため、「遅滞なく」速やかに家庭裁判所へ確認します。
相談先
- 法務局(遺言書保管所):自筆証書遺言の保管や証明書について
- 公証役場:公正証書遺言の有無や謄本の請求について
- 遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所:検認の要否や手続きについて
- 弁護士・司法書士・行政書士等:遺言書の有効性や内容の解釈に関する相談について
公式リンク
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度 証明書について」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度 申請書/届出書/請求書等」
- 日本公証人連合会「亡くなった方について、公正証書遺言が作成されているかどうかを調べることができますか」
- 日本公証人連合会「遺言公正証書の謄本の請求について」
- 裁判所「遺言書の検認」
注意点
- 自宅などで見つからなかっただけで、遺言書がないと断定しないでください。
- 封印されている遺言書は、自分で開封しないでください。家庭裁判所で開封します。
- 検認は、遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。
- 遺言書が複数見つかった場合や、内容の解釈をめぐって争いがある場合は、専門家へ相談してください。
- 遺言書の有無の確認を終える前に、遺産分割を確定させないよう注意してください。