預貯金等の相続手続きをする
対象読者: 亡くなった方名義の銀行・信用金庫・信用組合・ゆうちょ銀行等の預貯金について、相続人として払戻しや解約、名義変更の手続きを進めたい方 更新日: 2026年9月26日
概要
家族が亡くなると、その方の名義の預貯金口座は、相続人が金融機関へ相続手続きを申し出て、必要な書類を提出することで、払戻しや解約、名義変更ができるようになります。
この記事は、対象となる口座がすでに分かっている方に向けて、遺言書や遺産分割協議の状況に応じて必要になる書類を確認し、金融機関へ手続きを申し出て、払戻し等を完了するまでの流れを案内します。
必要書類は、遺言書の有無、遺産分割協議の有無、相続人の人数などによって変わり、受付方法や証明書の扱いも金融機関ごとに異なります。そのため、この記事では全国共通で言える基本的な考え方と、金融機関ごとに確認すべき事項を分けて示します。
相続財産全体の調査や、相続人の確定、遺産の分け方そのものの話し合いは、この記事の範囲に含みません。それらが済んでいない場合は、該当する記事を先に確認してください。
このページで分かること
- 預貯金の相続手続きを始めるときに、まず何をすればよいか
- 遺言書がある場合、遺産分割協議書がある場合、協議が終わっていない場合で、それぞれ何を準備すればよいか
- 手続きの一般的な流れと、金融機関へ提出する書類の基本候補
- 遺産分割が終わっていなくても一部の払戻しを受けられる制度があること
- 手続きを進める際の相談先
この前に確認する
預貯金の相続手続きを始める前に、次の点が済んでいるか確認してください。済んでいない場合は、先にそれぞれの手続きを確認することをおすすめします。
また、次に当てはまる場合は、預貯金を動かす前に必ず確認してください。
- 相続放棄をするまたは限定承認を検討している場合。預貯金を払い戻したり使用したりすると、これらの判断に影響する可能性があります。
- 相続人が複数おり、遺言書がない場合。遺産の分け方について、相続人間の話し合い(遺産分割協議をする)の状況を先に確認してください。
最初にやること
口座のある金融機関へ連絡し、相続手続きの受付方法と必要書類を確認します。
連絡する前に、次のものを手元に用意しておくとスムーズです。
- 通帳、キャッシュカード、証書など、口座が分かる資料
- 金融機関名、支店名、口座番号
- 亡くなった方の氏名、死亡日
- 連絡する方の氏名と、亡くなった方との関係
金融機関へ相続の発生を伝えると、その口座の取引が制限されることがあります。まずは早めに連絡し、案内を受けることから始めてください。
あなたの場合はこちら
必要になる書類は、遺言書や遺産分割協議の状況によって変わります。ご自身の状況に近いものを確認してください。
遺言書がある場合
遺言書に基づいて手続きを進めます。基本候補となる書類は次のとおりです。
- 金融機関所定の相続手続書類
- 遺言書
- 検認調書または検認済証明書(家庭裁判所の検認が必要な遺言書の場合)
- 被相続人の死亡を確認できる戸籍等
- 預貯金を取得する相続人または遺言執行者の印鑑登録証明書
- 遺言執行者選任審判書謄本(家庭裁判所が遺言執行者を選任した場合)
- 本人確認書類
- 通帳、証書、キャッシュカード等(金融機関の案内による)
遺言書の種類や内容、遺言執行者の有無によって必要書類が変わるため、遺言書を手元に置いて金融機関へ相談してください。
遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合
相続人全員の話し合いがまとまり、遺産分割協議書を作成する手続きまで済んでいる場合の基本候補です。
- 金融機関所定の相続手続書類
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍・改製原戸籍等
- 相続人全員の現在の戸籍等(金融機関の案内による)
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑登録証明書
- 払戻金を受け取る方の本人確認書類・口座情報
- 通帳、証書、キャッシュカード等
金融機関によっては、相続人全員の署名・実印押印を所定書類に求める場合や、遺産分割協議書の記載内容を確認する場合があります。
遺産分割協議が終わっていない場合
遺産の分け方がまだ決まっていない場合、相続人一人だけで通常の全額払戻しや解約を完了できるとは限りません。
まず金融機関へ、現在の状況で可能な手続きと必要書類を確認してください。相続人全員の合意に基づく手続きが可能な場合もあります。
話し合いがまとまらない場合は、遺産分割調停など、話し合い以外の手続きの検討が必要になることがあります。
遺産分割前に一部の払戻しが必要な場合
葬儀費用や当面の生活費など、急な資金需要がある場合は、遺産分割がまとまる前でも、一定額の範囲で預貯金の払戻しを受けられる制度があります。詳しくは「手続きの流れ」および「注意点」を確認してください。
手続きの流れ
-
金融機関と対象口座を整理します。 金融機関名、支店、口座種別、口座番号、通帳等の有無を一覧にします。
-
遺言書と遺産分割の状態を確認します。 「あなたの場合はこちら」を参考に、必要書類の種類を判断します。
-
金融機関へ相続発生を申し出ます。 受付方法、所定書類、必要書類を確認します。
-
必要書類を準備します。 戸籍等、法定相続情報一覧図の写し、遺言書、遺産分割協議書、印鑑登録証明書等をそろえます。
法定相続情報一覧図の写しは、戸籍の束の代わりに利用できる場合があります。複数の金融機関や相続登記、相続税申告などを並行する場合、戸籍一式を何度も提出する負担を減らせる可能性がありますが、実際に利用できるかは各金融機関へ確認してください。
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残高証明書・取引履歴の要否を確認します。 遺産分割や相続税申告等で必要になる場合は、払戻しを受ける前に請求しておくと、後から確認しにくくなることを避けられます。発行の可否や請求できる方、必要書類、対象期間は金融機関へ確認してください。
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金融機関へ書類を提出します。 原本か写しでよいか、署名・実印が必要か、本人確認の方法などを最終確認します。原本を返してもらいたい場合は、原本還付の可否と方法もあわせて確認してください。
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追加書類の依頼へ対応します。 金融機関から照会や追加の書類提出を求められた場合は対応します。
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払戻し・解約・名義変更等の完了を確認します。 入金先、金額、利息、口座の処理状態を確認します。
-
記録を保管し、他の相続手続きへ反映します。 明細、返却された書類、残高証明書等を保管し、遺産分割や相続税申告など、他の手続きで必要な記録として活用します。
遺産分割前の払戻し制度について
遺産分割がまとまっていない状態でも、共同相続人は、各口座について次の範囲内で、家庭裁判所の判断を経ずに単独で払戻しを請求できます。
相続開始時の預貯金額 × 3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分
ただし、同一の金融機関から受けられる払戻しは、合計150万円が上限です。同一金融機関に複数の支店で口座がある場合は、それらを合算して上限を判断します。
この制度で受け取った金額は、後の遺産分割において、その相続人が取得したものとして精算の対象になります。通常の相続手続きとは別の制度であるため、混同しないよう注意してください。
必要書類は金融機関により異なりますが、一般的には次が候補となります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍等
- 相続人全員を確認できる戸籍等
- 払戻しを希望する相続人の印鑑登録証明書
- 本人確認書類
- 金融機関所定書類
このほか、遺産分割調停・審判が係属している場合などには、家庭裁判所の判断により預貯金の仮取得が認められる制度もあります。詳しい要件や手続きは、裁判所または専門家へ確認してください。
期限
預貯金の相続手続き自体について、すべての金融機関に共通する短期の届出期限はありません。
ただし、次の点には注意してください。
- 相続放棄や限定承認を検討している場合は、これらの手続きには別の期限があります。預貯金を処分する前に確認してください。
- 相続税の申告が必要になる場合も、別の期限があります。
- 手続きを長期間行わないと、必要書類の収集が難しくなったり、相続人が増えたりするなど、かえって手続きが複雑になる可能性があります。前工程(相続人の確認、戸籍の収集など)が整い次第、早めに進めることをおすすめします。
長期間経過した場合の消滅時効や休眠預金の扱いなど、法的な詳細については、この記事では扱いません。長期間手続きをしていない口座がある場合は、金融機関や専門家へ確認してください。
必要なもの
最初の連絡時に手元へ置くもの
- 亡くなった方の氏名・生年月日・死亡日
- 金融機関名、支店名、口座番号が分かる資料
- 通帳、証書、キャッシュカード等
- 連絡する方の氏名、被相続人との関係、連絡先
- 遺言書の有無
- 遺産分割協議書の有無
- 遺言執行者の有無
- 相続人のおおよその人数
提出書類の基本候補
- 金融機関所定の相続届・依頼書等
- 被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍等
- 相続人の戸籍等
- 法定相続情報一覧図の写し
- 遺言書
- 検認調書・検認済証明書
- 遺産分割協議書
- 印鑑登録証明書
- 本人確認書類
- 受取口座情報
- 通帳、証書、キャッシュカード
- 遺言執行者選任審判書謄本等
これらはあくまで基本候補です。実際に必要な書類は状況と金融機関によって異なるため、最終的には金融機関の案内を確認してください。
金融機関へ必ず確認する事項
- 受付窓口・予約の要否
- 郵送・オンライン・アプリでの対応の有無
- 所定書類の取得方法
- 必要な戸籍の範囲
- 法定相続情報一覧図を利用できるか
- 原本提出か写しでよいか
- 原本還付の可否と手続方法
- 印鑑登録証明書等の発行期限(有効期間)
- 相続人全員の署名・実印が必要か
- 通帳・キャッシュカードを紛失している場合の扱い
- 残高証明書・取引履歴を同時に請求できるか
- 払戻し方法・振込先
- 手数料・処理期間
- 複数支店・複数口座をまとめて扱えるか
費用
預貯金の相続手続きにかかる費用は、金融機関によって異なるため、全国共通の金額はここでは示しません。
費用がかかる可能性がある項目には、次のようなものがあります。
- 戸籍・除籍・改製原戸籍等の取得費
- 印鑑登録証明書の取得費
- 郵送費
- 残高証明書・取引履歴等の発行手数料
- 専門家へ依頼する場合の報酬
金融機関の相続受付そのものの手数料や、証明書発行の手数料は、申出時に各金融機関へ確認してください。
相談先
第一の相談先
- 口座のある銀行・信用金庫・信用組合・ゆうちょ銀行等の相続受付窓口
- 金融機関の相続コールセンター
- 口座のある取引支店
状況別の相談先
| 状況 | 相談先 |
|---|---|
| 遺産分割がまとまらない | 家庭裁判所、弁護士 |
| 相続放棄・限定承認を検討している | 家庭裁判所、弁護士、司法書士 |
| 遺言書の検認・執行に問題がある | 家庭裁判所、弁護士、司法書士 |
| 戸籍収集・法定相続情報一覧図・相続関係書類について相談したい | 法務局、司法書士、行政書士(業務範囲内) |
| 相続税申告・預貯金の評価・税務について相談したい | 税務署、税理士 |
| 相続全般について、どこに相談すればよいか分からない | 法テラス |
公式リンク
- 全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」
- 全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」
- 全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」
- 法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について」
- 法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」
- ゆうちょ銀行「相続手続き」
- 裁判所「相続・遺産分割」
- 法テラス「相続・遺産分割」
注意点
- 金融機関へ死亡の連絡をすると、その口座の取引が制限され、口座振替や入出金が停止することがあります。公共料金、家賃、医療費等の引き落としがある場合は、支払い方法や名義の変更もあわせて確認してください。
- 相続放棄や限定承認を検討している場合、預貯金の払戻しや使用がその判断に影響する可能性があります。先に家庭裁判所や専門家へ確認してください。
- 被相続人のキャッシュカードや暗証番号を使って、相続人が任意に預貯金を引き出すことはできません。
- 一人の相続人が受け取った金額であっても、遺産分割や相続税の計算から外れるとは限りません。
- 遺産分割前の払戻し制度で受け取った金額は、後の遺産分割において、その相続人が取得したものとして精算の対象になります。通常の払戻し・解約手続きとは別の制度であることを踏まえて利用してください。
- 遺言書の内容、相続人間の合意内容、金融機関所定書類の記載内容が一致しているか確認してください。
- 口座名義が屋号付きの個人事業口座、法人、任意団体等の場合は、通常の個人の預貯金相続と異なる扱いになる可能性があるため、金融機関へ確認してください。
- 外貨預金、投資信託、国債、貸金庫、ローン、保証債務等がある場合は、普通預金の払戻しだけで手続きが完了しない可能性があります。
- 金融機関を名乗る不審な連絡に対して、暗証番号やパスワード、ワンタイムパスワードを伝えないでください。
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