相続人を確認する

対象読者: 家族が亡くなり相続手続きを始める人、誰が法定相続人になるのか分からない人 更新日: 2026年9月25日

概要

家族が亡くなったとき、相続手続きを進める前に、まず「誰が法定相続人になるのか」を確認する必要があります。付き合いのある家族の記憶や関係図だけで相続人を決めてしまうと、後になって想定していなかった人が相続人だったと分かり、手続きをやり直すことになる場合があります。

この記事は、相続が始まったばかりで、誰から確認すればよいのか分からない人に向けたものです。配偶者、子、父母、兄弟姉妹という法定相続人の基本的な順位と、それを確認するために戸籍を集める理由を整理します。

この記事は、相続人を最終的に確定させる法的判断そのものを代行するものではありません。読者が自分の状況に応じてどこまで確認が必要かを把握し、遺産分割や相続放棄といった次の手続きへ進める状態になることを目指します。法定相続分の計算や遺産分割の進め方など、相続人が確定した後の話題は扱いません。

この記事を読むことで、次のことが分かります。最初に誰を確認すればよいか、なぜ戸籍による確認が必要なのか、自分の状況によって確認範囲がどのように変わり得るか、そして自分だけで判断が難しいときにどこへ相談すればよいかです。

このページで分かること

  • 法定相続人になり得る人の基本的な順位
  • 配偶者と血族相続人(子・父母・兄弟姉妹)の関係
  • 先順位の相続人がいる場合、後順位の人は原則相続人にならないこと
  • 家族の記憶だけでなく戸籍で相続関係を確認する必要があること
  • 前婚の子、認知された子、養子、先に亡くなった親族などで確認範囲が広がる代表的なケース
  • 相続放棄があった場合に後順位の人が相続人になり得ること
  • 自分だけで判断せず専門家へ相談したほうがよい目安

この前に確認する

相続人を確認する前に、まず遺言書の有無を確認してください。

遺言書がある場合、その内容によって相続手続きの進め方が変わることがあります。遺言書の有無を確認していない場合は、先にそちらを確認してください。

最初にやること

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集め、配偶者・子・親・兄弟姉妹の順に相続関係を確認します。

ただし、出生から死亡までの戸籍だけで必ず確認が完結するとは限りません。相続人候補となる人自身の戸籍や、先に亡くなった人がいる場合はその人の戸籍など、状況に応じて追加の戸籍が必要になることがあります。

相続人になる人の基本順位

法定相続人になり得る人には、次のような基本的な順位があります。

確認順 相続人になり得る人 基本的な扱い
常に確認 法律上の配偶者 他の順位の相続人とともに相続人になります
第1順位 子 子が先に亡くなっている場合は、孫などが代わりに相続人(代襲相続人)になることがあります
第2順位 父母・祖父母などの直系尊属 第1順位の人がいない場合に確認します
第3順位 兄弟姉妹 第1順位・第2順位の人がいない場合に確認します。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、おい・めいが代襲相続人になることがあります

先順位の相続人がいる場合、後順位の人は原則として相続人にはなりません。まず配偶者と第1順位の子を確認し、いなければ第2順位、それもいなければ第3順位へと進みます。

状況別に確認すること

配偶者がいる

  • 法律上の配偶者は常に相続人になります。
  • 内縁関係にある配偶者は、法定相続人としては扱われません。
  • 離婚した元配偶者は相続人ではありません。
  • 配偶者がいても、それだけで相続人が確定するとは限りません。子・直系尊属・兄弟姉妹についても、順位に沿って確認が必要です。

婚姻関係の有無は戸籍で確認します。

子がいる/先に亡くなった子がいる

  • 子は第1順位の相続人です。
  • 前婚の子、認知された子、養子も確認の対象になります。
  • 亡くなった人より先に子が死亡している場合、その子の子(孫など)が代襲相続人になることがあります。
  • 子や代襲相続人がいる場合、原則として父母や兄弟姉妹は相続人になりません。

子がいない

子や代襲相続人がいない場合は、父母などの直系尊属を確認します。

親等の異なる直系尊属が複数いる場合は、亡くなった人に近い世代の人を優先します。

父母・祖父母もいない

第1順位・第2順位のどちらもいない場合は、兄弟姉妹を確認します。

兄弟姉妹が亡くなった人より先に死亡している場合、その子であるおい・めいが代襲相続人になることがあります。ただし、兄弟姉妹の代襲相続は子の場合と範囲が異なり、基本的にはおい・めいまでとされています。この先の世代まで関係するかどうかなど、判断に迷う場合は専門家へ確認してください。

相続放棄をした人がいる

  • 家庭裁判所で相続放棄をした人は、その相続についてはじめから相続人ではなかったものとして扱われます。
  • 先順位の相続人全員が相続放棄をすると、後順位の人が相続人になる場合があります。
  • 「相続放棄をするつもり」「遺産を受け取らないという家族間の合意」だけでは、家庭裁判所での相続放棄とは扱いが異なります。
  • 相続放棄をした人がいる場合は、その事実を踏まえて後順位の人まで確認が必要になることがあります。

相続放棄の手続き自体は、この記事では扱いません。

家族関係が複雑・不明

前婚の子、認知された子、養子がいる可能性がある場合や、家族関係が複雑・疎遠・不明な場合は、家族の記憶だけで相続人を判断せず、戸籍による確認と、必要に応じて専門家への相談を検討してください。

相続人を確認する流れ

  1. 遺言書の有無を確認します。
  2. 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めます。
  3. 配偶者と第1順位の相続人(子)を確認します。
  4. 第1順位の人がいなければ、第2順位(直系尊属)を確認します。
  5. 第1順位・第2順位の人がいなければ、第3順位(兄弟姉妹)を確認します。
  6. 先に亡くなった人や相続放棄をした人などがいる場合、追加の戸籍や確認が必要かを確認します。
  7. 相続人にあたる人を整理します。
  8. 必要に応じて、法定相続情報証明制度の利用や専門家への相談を検討します。

遺言書の有無の確認は、この記事より前の段階で行う内容です。詳しくは遺言書があるか確認するを確認してください。

期限・いつまでに

相続人を確認すること自体について、全国一律の独立した法定期限を定める公式案内は確認できません。

ただし、相続人の確認は、相続放棄、相続税申告、相続登記、遺産分割、金融機関での手続きなど、後に続く多くの手続きの前提になります。そのため、独立した期限を定める公式案内を確認できないからといって後回しにせず、亡くなった後はできるだけ早く戸籍集めを始めることが重要です。

参考として、相続人の確認後に関わってくる代表的な期限には次のようなものがあります。

  • 相続放棄・限定承認:原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内
  • 相続税の申告:該当する場合、通常は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
  • 相続登記:不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内を基本とする制度があります

これらの期限の詳しい内容や例外は、この記事では扱いません。それぞれの手続きの案内や公式情報で確認してください。

必要なもの

相続人を確認するために、基本的には次のものが必要です。

  • 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍
  • 相続人候補となる人の現在の戸籍
  • 亡くなった人の住民票除票または戸籍の附票(後の手続きで必要になる場合があります)
  • 家族関係を整理するためのメモや簡単な家系図

状況によって、次のものが追加で必要になる場合があります。

  • 先に亡くなった子や兄弟姉妹などの戸籍
  • 代襲相続人の戸籍
  • 直系尊属の死亡を確認するための戸籍
  • 相続放棄受理証明書など、後の手続きで求められる書類

提出先ごとに必要な書類は異なる場合があります。具体的な必要書類は、提出先となる窓口や公式案内で確認してください。

相談先

相続人の確認に関して、次のような窓口への相談や確認が考えられます。

  • 本籍地の市区町村(戸籍担当窓口):出生から死亡までの戸籍をどのように請求するか、どの戸籍が交付の対象になるか、請求できる人や必要書類、郵送請求などの利用可否について確認できます。
  • 法務局:法定相続情報証明制度を利用できるか、申出に必要な書類、相続登記に必要な戸籍・住所証明などについて確認できます。
  • 家庭裁判所(亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所など):相続放棄・限定承認の手続きや申述期限、遺産分割調停に必要な戸籍などについて確認できます。
  • 司法書士・弁護士・税理士などの専門家:法定相続人の確定、戸籍の収集・読み取り、複雑な親族関係や代襲相続・養子・認知が関わる場合、相続放棄や相続人間の意見の違い、相続登記、相続税申告などについて相談できます。

何が難しいのかによって相談先が異なるため、内容に応じて窓口を選んでください。

公式リンク

次のような公的機関の情報を確認することができます。

注意点

  • 配偶者がいるからといって、配偶者だけがすべての財産を相続するとは限りません。子・直系尊属・兄弟姉妹の順位についても、あわせて確認してください。
  • 子がいる場合、原則として父母や兄弟姉妹は同時に相続人にはなりません。
  • 子の代襲相続と、兄弟姉妹の代襲相続は範囲が異なります。混同しないよう注意してください。
  • 前婚の子、認知された子、養子などは、家族が把握していなくても戸籍を確認することで判明する場合があります。
  • 「相続放棄をするつもり」「遺産を受け取らないという家族間の合意」は、家庭裁判所での相続放棄とは異なる扱いになります。この点を混同しないよう注意してください。
  • 戸籍で確認できなかった事項は、相続人がいないと確定したことにはなりません。追加の確認が必要です。
  • 必要な戸籍の範囲は家族関係によって異なります。一律の書類一覧として断定せず、自分の状況に応じて確認してください。

チェックリスト

あわせて確認する

  • 戸籍を集める(相続手続き用):相続人を確認するための戸籍収集の基本を確認できます。
  • 遺産分割協議をする:相続人が確定した後、財産の分け方を話し合う場合に確認してください。

あなたの場合はこちら

  • 相続放棄をする:相続を引き継がない選択を検討している場合に確認してください。
  • 法定相続情報証明制度を利用する:複数の相続手続きで戸籍の束を繰り返し提出する負担を減らしたい場合に確認してください。