相続放棄をする

対象読者: 被相続人に借金・保証債務・未払金などがある可能性を知った人/財産と債務の全体像が分からず、相続するか迷っている人/相続放棄の期限や手続方法を初めて調べる人/先順位相続人の放棄などにより、自分が相続人になった可能性がある人/被相続人の死亡から時間が経ってから債権者の通知等を受けた人

更新日: 2026年9月26日

概要

相続放棄とは、被相続人の財産も借金も含めて、すべての権利・義務を受け継がないことを家庭裁判所に申述する手続きです。預貯金や不動産などのプラスの財産だけを選んで放棄することはできません。

相続放棄には期限があります。自分が相続人になったことを知ってから一定期間内に手続きをしなければ、原則として相続を単純承認したことになります。この期限を過ぎてしまうと、借金なども含めてすべてを引き継ぐことになりかねません。

このページは、相続放棄を検討し始めた方に向けて、期限を失わないために何を確認し、どこへ申述すればよいかを案内します。相続放棄をすべきかどうかを判断するものではなく、判断のために必要な情報と、申述までの流れを整理するものです。

すでに3か月の期限を過ぎている方や、相続財産に手をつけてしまった可能性がある方も、あきらめる前にこのページで確認先を確認してください。

このページで分かること

  • 相続放棄とは何か
  • 自分はいつまでに動く必要があるか
  • 最初に何を確認すべきか
  • どの家庭裁判所へ申述するか
  • 何を準備するか
  • 3か月以内に判断できない場合に何をするか
  • 専門家への相談を優先した方がよい状況か

この前に確認する

相続放棄を進める前に、次の点がはっきりしていない場合は、先に確認しておくとスムーズです。

これらがすでに分かっている場合は、そのまま次に進んでください。

最初にやること

3か月の期限を確認し、相続財産を処分せず、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ必要書類を確認します。

状況別に確認すること

自分の状況に近いものを確認してください。

相続放棄を検討しており、3か月以内である

相続人であるか、財産と債務はどうなっているか、申述先となる管轄家庭裁判所はどこかを確認し、申述の準備を始めます。

財産調査が終わらず、期限内に判断できない

3か月の期限内に、家庭裁判所へ相続の承認または放棄の期間伸長を申し立てることを検討します。期間伸長の申立ても、原則として3か月の期限内に行う必要があります。

すでに3か月を過ぎている

「期限を過ぎたから必ず不可能」と自己判断しないでください。相続開始を知った時期を明らかにする資料を整理し、速やかに家庭裁判所または法律専門家へ相談します。

相続財産を売却・解約・使用・処分した可能性がある

それ以上の行為を止め、法定単純承認とみなされる可能性について法律専門家へ相談します。

未成年者または成年被後見人が放棄する

法定代理人が代理して申述します。未成年者と法定代理人が共同相続人で利益が相反する場合などは、特別代理人の選任が必要になることがあります。

先順位相続人の放棄により自分が相続人になった可能性がある

自分が相続人になったことを知った時期と、自分の相続順位を確認します。

手続きの流れ

  1. 自分が相続人か確認する
  2. 起算点と期限を確認する
  3. 財産・債務を調査する
  4. 相続財産を自己判断で処分しない
  5. 管轄家庭裁判所を確認する
  6. 申述書と必要書類を準備する
  7. 家庭裁判所へ提出する
  8. 照会・追加書類の求めに対応する
  9. 受理後、必要に応じて受理証明書を申請する

期限・いつまでに

相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行います。

「被相続人の死亡日から一律3か月」ではありません。一般的には、被相続人が亡くなったことと自分が相続人であることを知った時が起算点になりますが、先順位相続人が放棄したことや、後日になって債権者からの通知を受けたことなどにより、起算点の判断が個別に必要になる場合があります。

財産調査が3か月以内に終わらない場合は、期限内に家庭裁判所へ期間伸長を申し立てることができます。この申立ても、原則として3か月の期限内に行う必要があります。

すでに被相続人の死亡日から3か月を経過している場合は、相続開始を知った日を明らかにする書面の提出を求められることがあります。関係する通知書などは保管しておき、速やかに家庭裁判所または法律専門家へ相談してください。

必要なもの

共通して必要になる書類

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本

続柄によって追加される書類

被相続人との続柄によって、被相続人の死亡記載のある戸籍、出生から死亡までの戸籍、先順位相続人の死亡を確認する戸籍など、追加の書類が必要になります。必要な戸籍の範囲は続柄ごとに異なるため、裁判所公式サイトの区分表で自分の続柄に該当する範囲を確認してください。

申述前にすべての戸籍等をそろえられない場合でも、申述後に追加提出できることがあります。ただし、提出期限に影響するかどうかを自己判断せず、まず期限内に申述先の家庭裁判所へ相談してください。

費用

  • 収入印紙800円分(申述人1人につき)
  • 連絡用の郵便切手または裁判所指定の郵便料

郵便料は家庭裁判所ごとに異なります。申述先の家庭裁判所へ確認してください。

相談先

内容 相談先
管轄の確認、必要な戸籍の範囲、郵便料、提出方法、未取得書類の後日提出、未成年者・成年被後見人・利益相反がある場合の手続、期間伸長申立ての書類、受理証明書の申請方法 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
相続放棄が受理されるかどうかなど、個別の法的判断が必要な場合 弁護士
書類作成・戸籍収集等を含む手続の相談(対応可能な範囲は依頼先へ確認してください) 司法書士等

次のいずれかに当てはまる場合は、法律専門家への相談を優先してください。

  • 3か月を過ぎている、または起算点が分からない
  • 相続財産を処分・使用・解約・売却した可能性がある
  • 借金や保証債務の全体像が分からない
  • 他の相続人との利害対立がある
  • 未成年者と親権者が共同相続人である
  • 事業、賃貸物件、共有不動産、海外財産などがある
  • 限定承認と比較している

公式リンク

注意点

  1. 3か月の期限の起算点を、被相続人の死亡日だけで決めつけないでください。自分が相続人であることを知った時が起算点になる場合があります。
  2. 相続放棄を検討している間は、相続財産の売却・解約・使用・廃棄などを自己判断で進めないでください。民法上、相続財産を処分した場合などに、単純承認をしたとみなされることがあります。
  3. 家族間で「財産を受け取らない」と合意することや、遺産分割で財産を受け取らないことは、この記事で説明している家庭裁判所への相続放棄とは別のものです。
  4. 相続放棄をすると、預貯金や不動産などのプラスの財産も、原則として受け継ぐことができなくなります。
  5. 自分が相続放棄をすると、次の順位の人が新たに相続人になることがあります。
  6. 3か月以内に判断できない場合は、期限内に期間伸長を検討してください。
  7. すでに3か月を経過している場合は、自己判断で諦めず、速やかに相談してください。

チェックリスト

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