遺産分割協議をする

対象読者:遺言書の有無、法定相続人、主な相続財産・債務をおおむね確認し終え、これから相続人全員で遺産の分け方を話し合おうとしている方 更新日:2026年9月26日


概要

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、全員が合意する手続きです。遺言書がない場合や、遺言と異なる分け方で合意したい場合に必要になります。

この記事は、遺言書・相続人・相続財産の確認がすでに終わっている方を主な対象としています。話し合いを始める前提が整っているかを確認したうえで、誰が参加するか、何を話し合うか、合意内容をどう残すかを順番に案内します。あわせて、未成年者や行方不明の相続人がいるなど、通常の話し合いだけでは進められない場合の分岐も示します。

この記事を読むことで、協議を始めてよい状態かどうか、合意後に何をすればよいか、合意できない場合にどこへ進めばよいかを判断できるようになります。

このページで分かること

  • 遺産分割協議を始める前に確認しておくこと
  • 誰が協議に参加する必要があるか
  • 未成年者や行方不明者などがいる場合にどうするか
  • 遺産分割協議の一般的な進め方
  • 合意内容を遺産分割協議書として残す必要性
  • 相続税申告・相続登記に関わる期限の注意点
  • 合意できない場合の家庭裁判所への相談方法

この前に確認する

遺産分割協議は、次の確認が終わっていることを前提に進めます。確認が終わっていない場合は、協議を始める前に、それぞれの確認を先に済ませてください。

これらの確認が不十分なまま協議を進めると、後から相続人や財産の見落としが判明し、協議のやり直しが必要になることがあります。特に、遺言・相続人・財産の確認が終わっていない場合は、協議を始めず、まずこれらの確認へ戻ってください。

最初にやること

相続人全員と、話し合う遺産の範囲を確認します。

遺言書・相続人・相続財産の確認が終わっている場合は、次に進み、相続人全員で話し合う準備を始めてください。確認が終わっていない場合は、協議を始めず、前の工程に戻ってください。

状況別に確認すること

相続人全員で話し合える場合

相続人全員が参加でき、話し合いが可能な状態です。次の「遺産分割協議の進め方」に沿って進めてください。

未成年者がいる場合

親権者と未成年者がともに相続人であり、両者の利益が対立する場合があります。この場合、親権者が未成年者の代わりに協議へ参加できないことがあり、家庭裁判所へ特別代理人の選任を申し立てる必要が生じることがあります。対象となるかどうかは、家庭裁判所へ確認してください。

行方不明・連絡不能の相続人がいる場合

相続人の一人と連絡が取れない場合でも、その相続人を除外して協議を進めることはできません。家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立て、その管理人が遺産分割に関与するための手続きを確認する必要があります。詳しくは家庭裁判所へ確認してください。

判断能力に不安がある相続人がいる場合

相続人の中に、認知症などにより意思表示が難しい方がいる場合は、本人の意思確認や代理権の扱いが問題になります。成年後見制度の利用を含め、専門家や家庭裁判所へ確認してください。本記事では、個別の結論を判断しません。

相続人全員の合意が難しい場合

話し合いを行っても、相続人全員の合意が見込めない、または対立が解消しない場合は、通常の協議では成立しません。この場合は、家庭裁判所の遺産分割調停の利用を検討してください。調停が不成立となった場合は、審判へ移行することがあります。

遺言書がある場合

有効な遺言書があり、遺産の分け方が具体的に定められている場合は、原則としてその内容に従います。ただし、相続人全員が合意すれば、遺言と異なる分け方をすることも可能な場合があります。遺言の内容や遺留分などに関わる個別の判断は、専門家へ確認してください。

相続人が一人だけの場合

相続人が一人だけの場合は、遺産分割協議自体が不要となる場合があります。同様に、遺産分割の対象となる財産がない場合や、すでに家庭裁判所の調停・審判で分割が決まっている場合も、通常の協議とは別の確認が必要です。ご自身の状況に当てはまるかどうかは、個別に確認してください。

遺産分割協議の進め方

一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 遺言書・相続人・相続財産を再確認します。
  2. 相続人全員へ、財産と債務に関する資料を共有します。
  3. 各財産を誰が取得するか、相続人全員で話し合います。
  4. 債務・費用・代償金なども含めて、合意内容を整理します。
  5. 合意内容を遺産分割協議書としてまとめます。
  6. 相続人全員が、まとめた内容を確認します。
  7. 各財産の名義変更・払戻し・相続登記などの手続きへ進みます。

相続人全員が同じ場所に集まらなければならないわけではありません。連絡方法や署名の方法は、相続人の状況や、後で提出する先によって異なるため、ここでは一律に定めません。

期限・いつまでに

遺産分割協議そのものに、全国一律の申立期限や合意期限があるわけではありません。ただし、協議が長引くと、後続の手続きに影響することがあるため、前提の確認が終わり次第、早めに話し合いを始めることをおすすめします。

  • 相続税がかかる可能性がある場合、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告する必要があります。遺産が未分割であっても、この申告期限は延びません。相続税がかかる可能性がある場合は、協議の成立を待たず、早めに税務署または税理士へ確認してください。
  • 遺産分割によって不動産を取得した相続人は、原則として、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記を申請する必要があります。

また、相続開始から長期間が経過すると、特別受益や寄与分の扱いに制限が生じる場合があります。長く協議をせずに放置しても、いつでも同じ条件で話し合えるとは限りません。具体的な適用については、専門家へ確認してください。

必要なもの

一般的に、次の資料を準備しておくと話し合いを進めやすくなります。

  • 遺言書の確認結果
  • 相続人を確認できる戸籍等
  • 相続関係を整理したメモまたは相続関係説明図
  • 相続財産と債務の一覧
  • 不動産、預貯金、有価証券等の資料
  • 各相続人の希望や確認事項
  • 合意内容を記録するための書面

実印や印鑑証明書が必要かどうかは、遺産分割協議書の提出先によって異なります。提出先ごとに、必要な書類を個別に確認してください。

遺産分割協議書を作る

相続人全員で合意した内容は、後から確認できるよう書面に残します。

  • 対象となる財産を特定し、誰が取得するかが分かるように記載します。
  • 相続人全員が、記載内容を確認します。
  • 名義変更などの手続きに使用するため、提出先が求める形式や添付書類を、あらかじめ確認します。
  • 不動産が含まれる場合や、分割方法が複雑な場合は、司法書士や弁護士などの専門家へ相談してください。

本記事では、特定の記載例や万能なテンプレートは示していません。個別の文案作成が必要な場合は、専門家へ相談してください。

相談先

相談先 相談する内容の例
家庭裁判所 遺産分割調停、特別代理人選任、不在者財産管理人選任などの手続き
弁護士 相続人間で対立がある場合、遺言・遺留分・特別受益・寄与分に関わる問題、協議内容の法的な有効性
司法書士 不動産の相続登記、登記に使用する遺産分割協議書の記載内容や必要書類
税理士・税務署 相続税の申告要否、未分割の場合の申告、税務上の特例、財産評価
各財産の名義変更先(金融機関・証券会社等) 相続手続きに必要な書類、遺産分割協議書の形式

公式リンク

次の公的機関の情報を確認できます。

注意点

  • 相続人を一人でも外したまま、協議を進めないでください。
  • 遺産の一部を見落としたまま、合意しないでください。
  • 遺言書の内容を確認しないまま、協議を始めないでください。
  • 合意できない相続人に対して、署名等を強要しないでください。
  • 未成年者・行方不明者・判断能力に不安がある相続人がいる場合を、通常のケースと同じように扱わないでください。
  • 相続税の申告期限は、遺産が未分割であっても延びません。
  • 不動産を取得した場合は、相続登記の期限を確認してください。
  • 財産が複雑な場合や、相続人間で対立がある場合は、早めに専門家へ相談してください。

チェックリスト

あわせて確認する

遺産分割協議が成立した後は、次の手続きに進みます。

  • 遺産分割協議書を作成する
  • 不動産の相続登記をする
  • 預貯金の相続手続きをする
  • 相続税を申告する