戸籍を集める(相続手続き用)

対象読者:遺言書の有無や相続人の候補を確認し、これから銀行・法務局・税務署などへ戸籍の提出を求められている方 更新日:2026年9月25日

概要

相続手続きでは、多くの場面で戸籍の提出を求められます。しかし「戸籍謄本を取ればよい」と聞いただけでは、亡くなった人の現在の戸籍だけで足りるのか、どこまで遡って集めればよいのかが分かりにくいものです。

このページは、相続人の候補をすでに確認した方が、相続手続きに必要な戸籍を実際に集める段階を対象にしています。戸籍制度そのものを詳しく解説するページではなく、「何を、どの順番で、どこへ請求すればよいか」を判断できる状態にすることを目的としています。

基本となるのは、亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍です。あわせて、相続人自身の戸籍が必要になる場合や、家族関係によって追加の戸籍が必要になる場合についても、確認の進め方を案内します。

このページを読み終えると、まず何を確認し、どこから戸籍を請求し始めればよいかが分かります。

このページで分かること

  • 相続手続きで戸籍が必要になる基本的な理由
  • 亡くなった人の「出生から死亡までの連続した戸籍」が指す内容
  • 戸籍をどこから、どの順番で集めればよいか
  • 家族関係によって追加の戸籍が必要になる場合があること
  • 広域交付・本籍地請求・郵送請求という取得方法の選択肢
  • 戸籍が揃ったかどうかを確認する方法

この前に確認する

相続人を確認する

戸籍をどこまで集めればよいかは、誰が相続人の候補になるかによって変わります。兄弟姉妹や甥・姪まで相続人になる可能性がある場合など、集める戸籍の範囲が広がることがあるため、先に相続人の候補を確認しておくと、このページの内容を判断しやすくなります。

最初にやること

戸籍を提出する相続手続きの窓口へ、必要な戸籍の範囲を確認します。

銀行、法務局、税務署、保険会社など、提出先によって必要な戸籍の範囲や条件が異なる場合があるためです。「出生から死亡までの戸籍」「相続人全員の現在戸籍」など、提出先が案内している内容を確認してください。

そのうえで、基本として、亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めます。現在の戸籍だけでは、婚姻・転籍・戸籍の改製などによって、出生まで遡れないことがあります。

相続手続きで集める戸籍の基本

戸籍の名称を覚えることよりも、次の対応関係を理解することを優先してください。

対象 基本となる戸籍 目的
亡くなった人 出生から死亡までの連続した戸籍全部事項証明書・除籍謄本・改製原戸籍 相続人を確認する
相続人 現在の戸籍全部事項証明書等 相続人が現在生存していることなどを確認する
場合により追加 先に亡くなった相続人候補の戸籍、親・兄弟姉妹等の戸籍 代襲相続や相続順位を確認する

この表は、必要な戸籍を確定するためのものではなく、提出先の指定内容を理解するための目安です。実際に必要な範囲は、提出先へ確認してください。

状況別に確認すること

同じ「戸籍を集める」作業でも、家族関係によって追加の確認が必要になる場合があります。当てはまる状況がある場合は、一般的な説明だけで必要範囲を決めず、提出先または専門家へ確認してください。

亡くなった人に子がいる場合 子の存在が確認できる戸籍まで遡れば、基本の範囲を満たせることが多くなります。ただし、亡くなった子がいる場合は次の項目もあわせて確認してください。

子がいない場合 親や祖父母の生死を確認する必要が生じることがあります。親や祖父母の戸籍まで遡って確認が必要かどうか、提出先へ確認してください。

亡くなった子がいる場合 代襲相続にあたるかどうかの確認が必要になることがあります。亡くなった子の戸籍もあわせて必要になる場合があるため、提出先または専門家へ確認してください。

兄弟姉妹・甥姪が相続人になる可能性がある場合 集める戸籍の範囲が広がりやすく、親や祖父母の戸籍まで遡る必要が生じることがあります。判断が難しい場合は、司法書士・弁護士等への相談を検討してください。

遺言書がある場合 遺言による相続では、必要な戸籍の範囲が基本と異なる場合があります。提出先へ必要範囲を確認してください。

戸籍を一度に複数の手続きへ使いたい場合 提出先ごとに原本還付の可否や必要書類が異なります。まとめて取得したい場合も、それぞれの提出先へ事前に確認してください。

戸籍を集める手順

  1. 提出先に必要な戸籍の範囲を確認します。
  2. 亡くなった人の死亡の記載がある戸籍を取得します。
  3. その戸籍に記載された一つ前の本籍・従前戸籍を確認します。
  4. 前の本籍地の戸籍を請求します。
  5. 出生まで連続するまで、3と4を繰り返します。
  6. 相続人の現在戸籍等を集めます。
  7. 取得した戸籍の日付・本籍・身分事項が連続しているかを確認します。
  8. 提出先へ不足がないかを確認します。

戸籍は一度にすべて揃うとは限りません。一つ前の戸籍へ、順番に遡っていく作業だと理解しておくと進めやすくなります。

期限・いつまでに

戸籍を取得すること自体には、相続手続き共通の全国一律の期限はありません。

ただし、戸籍を使用する相続手続きの中には、期限が定められているものがあります。代表的な例は次のとおりです。

  • 相続放棄・限定承認:原則として相続の開始があったことを知った時から3か月以内
  • 相続税申告:原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
  • 相続登記:取得を知った日等から3年以内を基本とする義務がある

これらの手続きを予定している場合は、期限から逆算して早めに戸籍の収集を始めてください。各手続きの期限の詳しい内容は、それぞれの手続きに関するページで確認してください。

また、提出先によっては「発行後○か月以内」など、戸籍の発行日についての条件がある場合があります。全国共通の有効期限ではないため、提出先へ確認してください。

必要なもの

  • 請求する戸籍の本籍・筆頭者が分かる情報
  • 請求者の本人確認書類
  • 手数料
  • 親族関係が請求先で確認できない場合に、それを示す戸籍等
  • 代理人が請求する場合の委任状等
  • 郵送請求の場合の申請書・本人確認書類の写し・手数料・返信用封筒等

必要書類の詳細は、請求方法や自治体によって異なります。請求先の公式案内で確認してください。

相談先

相談先 主な役割
市区町村 戸籍の交付請求
法務局 相続登記、法定相続情報証明制度
司法書士 相続登記や戸籍収集の支援
税理士 相続税申告に必要な書類
弁護士 相続人・遺産分割等に争いがある場合

公式リンク

注意点

  • 現在の戸籍だけでは、出生まで遡れないことがあります。
  • 戸籍は婚姻・転籍・改製等により、複数に分かれています。
  • 「戸籍謄本」とだけ請求すると、必要な範囲が伝わらない場合があります。請求時には「相続手続きのため、亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要」と伝えてください。
  • 広域交付には、利用できる人・請求方法・対象となる証明書に制限があります。
  • 戸籍が揃ったかどうかの最終判断を、市区町村窓口だけに全面的に委ねないでください。
  • 手続きによって必要な範囲が異なります。
  • 個人番号や本籍等を含む書類は、保管・廃棄に注意してください。

チェックリスト

あわせて確認する

戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)を取得する 戸籍証明書の一般的な請求方法を確認したい場合に役立ちます。

法定相続情報証明制度 戸除籍謄本等を法務局へ提出すると、認証付きの一覧図の写しが無料で交付される制度です。複数の提出先へ戸籍の束を繰り返し提出する手間を減らせる可能性があります。詳しくは法務局の公式案内で確認してください。