相続人がいない場合について知る

対象読者・更新日

対象読者

  • 亡くなった人に配偶者・子・父母・兄弟姉妹等が見当たらず、相続人がいないのではないかと考えている人
  • 相続人全員が相続放棄した後に、財産・債務・住居・契約等をどう扱うか困っている人
  • 被相続人の債権者、特定遺贈を受けた人、特別縁故者など、相続財産清算人の選任申立てを検討し得る利害関係人
  • 内縁の配偶者、療養看護をしていた人など、自分が相続人ではないものの被相続人と特別な関係にあった人

更新日:2026年10月2日

概要

亡くなった人に配偶者や子、父母、兄弟姉妹といった相続人が見当たらない場合、「相続人がいない」と感じる状況にはいくつかの種類があります。戸籍上もともと相続人がいない場合もあれば、相続人はいたものの全員が相続放棄をした結果、相続する人がいなくなった場合もあります。

このページは、こうした状況にある方が、自分が今どの段階にいるのかを区別し、次に何を確認すればよいかを判断できるようにするためのものです。相続人不存在の制度を網羅的に解説するものではありません。

「相続人がいないから、身近な人が自由に財産を扱ってよい」という状態にはなりません。相続人・遺言・財産・利害関係を確認したうえで、必要な場合に家庭裁判所の手続きへつなぐことが、この記事が案内する終着点です。

このページで分かること

  • 「相続人がいない」という状態にはどのような種類があるか
  • 相続人がいないと自己判断する前に、何を確認する必要があるか
  • 相続人が本当にいない場合に関わる、相続財産清算人という制度の基本的な流れ
  • 特別縁故者への財産分与という、別の家庭裁判所手続きがあること
  • 自分がこの記事のどの立場に当てはまるか、次にどこへ進めばよいか

この前に確認する

このページを読む前に、次の点を確認してください。

  • 遺言書があるかどうかまだ確認していない場合は、先に**遺言書があるか確認する**を確認してください。
  • 相続人が本当にいないかどうかまだ確認していない場合は、先に**相続人を確認する**を確認してください。

これらが未確認のまま「相続人がいない」と判断すると、後の手続きの選び方を誤るおそれがあります。

最初にやること

まず、次の二点を確認します。

  • 戸籍を集めて、法定相続人にあたる人が本当にいないかを確かめます。
  • 遺言書があるかを確認します。

この二点を確認しないまま「相続人がいない」と決めつけないことが、このページで最初に行うことです。

「相続人がいない」とは

「相続人がいない」とみえる状況には、次のようにいくつかの種類があります。まだ相続人の有無自体が分かっていない場合と、明確な理由により相続人がいなくなっている場合とでは、次に確認すべきことが異なります。

状況 内容 次に確認すること
相続人未確認 戸籍調査がまだ済んでおらず、相続人の有無自体が分かっていない 戸籍を集めて相続人を確認する
戸籍上不存在 戸籍を確認した結果、配偶者・子・父母・兄弟姉妹等の法定相続人にあたる人がいない 相続財産清算人選任の必要性を相談する
全員放棄 法定相続人はいたが、全員が相続放棄をした結果、相続する人がいなくなった 相続財産清算人選任の必要性を相談する
遺言あり 遺言により財産の受取人(受遺者)や遺言執行者が指定されている 遺言の内容・方式・遺言執行の確認へ進む
特別縁故者候補 法定相続人ではないが、内縁関係や療養看護など被相続人と特別な関係があった 清算人選任後の財産分与制度を専門家・家庭裁判所へ確認する

戸籍上もともと相続人がいない場合と、相続人全員が相続放棄をした結果として相続する人がいなくなった場合は、原因は異なりますが、どちらも家庭裁判所が相続財産清算人を選任するという同じ制度へ進み得ます。

状況別に確認すること

自分がどの状況に近いかによって、確認することが変わります。

法定相続人が戸籍上いない場合、または相続人全員が相続放棄した場合

相続財産・債務・未処理事項を確認したうえで、相続財産清算人選任の必要性を相談します。相続財産清算人は、家庭裁判所が選任します。

被相続人に対する債権がある場合、または特定遺贈を受けた場合

利害関係人として、自分が相続財産清算人選任の申立てを検討し得る立場にあることを確認します。

被相続人と特別な縁故があった場合

内縁の配偶者や療養看護をしていた人などは、相続財産清算人選任後に行われる特別縁故者への財産分与という別の手続きを、専門家や家庭裁判所へ確認します。特別縁故者に該当するかどうか、また分与を受けられるかどうかは個別の判断事項であり、この記事では断定しません。

遺言により財産の受取人が指定されている場合

遺言の内容・方式・遺言執行の確認へ進みます。

財産も債務も未処理事項も見当たらない場合

次のいずれかに該当する場合、読者本人が相続財産清算人選任を申し立てる必要があるとは限りません。

  • 法定相続人が存在することが確認できた
  • 遺言の受遺者・遺言執行者等により必要な処理が進められる
  • 自分に利害関係がなく、管理・清算が必要な財産や未処理事項にも関与していない
  • すでに相続財産清算人が選任されている

これらに当てはまる場合は、直ちに申立てが必要とは限りません。利害関係の有無を確認したうえで判断してください。

相続人がいない場合の基本的な流れ

戸籍上相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄した場合は、次のような流れで進み得ます。

  1. 利害関係人または検察官が、家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立てます。
  2. 家庭裁判所が相続財産清算人を選任します。
  3. 相続財産清算人が、被相続人の債務の支払いなど、財産の清算を行います。
  4. 清算後に財産が残った場合、特別縁故者への財産分与が行われることがあります。
  5. 特別縁故者への分与もなく財産が残った場合、最終的に国庫へ帰属します。

相続人がいない場合に、財産が直ちに国庫へ帰属するわけではありません。清算や特別縁故者への分与といった手続きを経たうえで、なお残った財産が国庫へ帰属します。

特別縁故者への財産分与は、相続財産清算人の選任とは別の家庭裁判所手続きです。特別縁故者に該当するとみられる場合でも、必ず分与を受けられるとは限りません。

期限・いつまでに

相続財産清算人の選任申立てについて、全国一律の単純な期限があるとは確認できていません。

ただし、次の理由から、必要性があると考えられる場合は早めに相談することが望まれます。

  • 財産の管理や債権の回収に影響すること
  • 特別縁故者への財産分与を検討する場合、相続人不存在が確定した後の申立てには期間が関係すること

特別縁故者への財産分与の具体的な起算点や申立期間については、この記事では扱いません。特別縁故者に関する記事、または家庭裁判所の公式案内で確認してください。

相続放棄そのものの期限については、この記事では扱いません。相続放棄をするを確認してください。

必要なもの

相続財産清算人選任の申立てに必要な資料は、次のような分類に整理できます。具体的な一覧や記入方法は、この記事では扱いません。

  • 戸籍関係の資料
  • 被相続人の住所を確認できる資料
  • 財産に関する資料
  • 申立人の利害関係を確認できる資料

具体的にどの資料が必要かは、申立先の家庭裁判所へ確認してください。

相談先

相談内容 相談先
相続財産清算人選任の申立て方法、管轄、予約・事前相談の要否 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
自分が申立てをできる利害関係人にあたるかどうか 家庭裁判所、または弁護士
特別縁故者への財産分与の申立て方法や可能性 家庭裁判所、または弁護士
清算人選任後の不動産の登記や処分手続き 司法書士、または法務局
相続税や所得税など税務上の判断 税務署、または税理士

申立先は、被相続人が最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所です。

公式リンク

注意点

  • 相続人が見当たらないからといって、身近な人が自己判断で財産を処分してよいわけではありません。財産の管理や処分に不安がある場合は、家庭裁判所または専門家へ相談してください。
  • 「親族ではないから何もできない」とは限りません。特別縁故者として財産分与を検討できる場合があります。
  • 「親族だから必ず財産を受け取れる」とも限りません。法定相続人にあたらない場合は、別途、利害関係や特別縁故者としての立場を確認する必要があります。
  • 相続財産清算人選任にかかる費用は、2026年10月2日確認時点で、収入印紙800円分と官報公告料5,075円です。金額が変更される場合があるため、申立先の家庭裁判所と裁判所の公式ページで最新情報を確認してください。
  • 郵便料は、申立先の家庭裁判所によって異なります。
  • 手続きの過程で家庭裁判所から予納金の納付を求められる場合があります。金額は個別に異なるため、申立先の家庭裁判所へ確認してください。
  • 特別縁故者に該当するとみられる場合でも、財産分与が必ず認められるとは限りません。

チェックリスト

あなたの場合はこちら

  • 戸籍が不足している場合は、**戸籍を集める(相続手続き用)**を確認してください。
  • 財産が分からない場合は、**相続財産を調査する**を確認してください。
  • 相続放棄を検討している場合は、**相続放棄をする**を確認してください。
  • 相続財産清算人の選任を申し立てたい場合は、専門の記事を確認してください(準備中)。
  • 特別縁故者として財産分与を求めたい場合は、専門の記事を確認してください(準備中)。