適格請求書発行事業者の登録を取りやめる
概要
すでに適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録を受けている事業者が、その登録を取りやめたい場合は、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出する必要があります。この届出書を出した日からすぐに登録がなくなるわけではなく、いつ提出するかによって、登録の効力が失われる時期が変わります。
この記事は、通常の任意による登録取消しを扱います。事業を廃止した場合や、個人事業者が死亡した場合、法人が清算結了・合併により消滅した場合は、通常の取消届出書とは別の手続きが必要になるため、この記事の対象外です。
登録を取りやめても、それだけで必ず消費税の免税事業者に戻れるとは限りません。取消し後の課税・免税の判定には、登録取消しとは別に確認すべき事項があります。
このページでは、登録を取りやめるべきケースかどうかの確認から、いつまでに届出書を提出する必要があるか、提出後にどのような点を確認すればよいかまでを順に案内します。
このページで分かること
- 自分が通常の登録取消届出書を使うケースかどうか
- 登録を取りやめる場合に、いつまでに届出書を提出する必要があるか
- 提出のタイミングによって、いつ登録の効力が失われるか
- 登録を取りやめた後に免税事業者へ戻れるかどうか、何を確認すればよいか
- e-Taxまたは書面で、どのように届出書を提出するか
- 事業を廃止する場合などは、この記事の手続きと何が違うか
- 提出した後に確認しておくべきこと
対象読者
- 現在、適格請求書発行事業者として登録を受けており、今後その登録を取りやめたい個人事業者・法人
- 次の課税期間からインボイス発行事業者でなくなりたい事業者
- 登録取消しの15日前期限を確認したい事業者
- 登録を取りやめた後、免税事業者へ戻れるか確認したい事業者
- 免税事業者から経過措置により登録を受けた後、登録を取りやめたい事業者
- 過去に消費税課税事業者選択届出書を提出しており、インボイス登録の取消しとあわせて免税事業者への復帰を検討している事業者
なお、個人事業者の死亡、事業の廃止、法人の清算結了・合併による消滅、登録内容だけの変更、登録申請そのものの取下げにあたる場合は、通常の登録取消届出書とは異なる手続きになります。該当する可能性がある方は、「状況別」および「あなたの場合はこちら」もあわせてご確認ください。
更新日
更新日:2026年10月3日
最初に確認すること
本文の詳しい説明に入る前に、まず次の点を確認してください。
- 現在、インボイス発行事業者として登録されているかを確認します。
- 登録を取りやめたい理由が、事業廃止・死亡・清算結了・合併消滅ではないかを確認します。該当する場合は、この記事とは別の手続きになります。
- いつから登録を取りやめたいかを確認します。
- 自分の課税期間の初日がいつかを確認します。個人事業者は原則として暦年、法人は原則として事業年度が課税期間です。
- その課税期間の初日から起算して15日前の日までに届出書を提出できるかを確認します。
- 登録を取りやめた後も、消費税の課税事業者となる理由がないかを確認します。
- 過去に消費税課税事業者選択届出書を提出していないかを確認します。
登録取消しに関わる主な判断軸
登録を取りやめる際は、次の9つの観点をそれぞれ個別に確認してください。いずれか一つだけを見て結論を出さないようにしてください。
| 判断軸 | 確認する内容 |
|---|---|
| 現在の登録状態 | 現在、登録を受けている事業者が対象です。登録を受けていない場合、取消届出書は不要です。 |
| 終了理由 | 通常の任意による取消しか、事業廃止・死亡・清算結了・合併消滅かを区別します。 |
| 取りやめ希望時期 | 登録取消しは課税期間単位で効力が生じます。任意の日付を自由に指定できる手続きではありません。 |
| 課税期間 | 個人事業者は原則として暦年、法人は原則として事業年度です。課税期間特例を利用している場合は別途確認します。 |
| 15日前期限 | 希望する課税期間の初日から起算して15日前の日までに届出書を提出します。 |
| 期限後提出 | 15日前の日を過ぎて提出した場合、原則として翌々課税期間の初日から登録の効力が失われます。 |
| 経過措置登録後2年 | 経過措置を利用して登録した一定の免税事業者は、登録を取りやめても、登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間まで免税事業者に戻れない場合があります。 |
| 課税事業者選択 | 過去に消費税課税事業者選択届出書を提出している場合、免税事業者へ戻るには、別途、不適用届出書の提出が必要になることがあります。 |
| 取消し後の納税義務 | 登録がなくなっても、基準期間・特定期間その他の理由により課税事業者にあたる場合は、消費税の申告・納付が続きます。 |
登録を取りやめる前に知っておくこと
「登録を取りやめる」ことと「免税事業者になる」ことは別の話です
登録取消届出書は、適格請求書発行事業者としての登録の効力を失わせるための手続きです。
この届出書を提出したこと自体は、必ず消費税の免税事業者になることを意味しません。
登録取消し後の課税・免税は、少なくとも次を分けて確認する必要があります。
- 基準期間・特定期間等による法定の納税義務
- 消費税課税事業者選択届出書の効力
- 登録に係る経過措置による2年の納税義務継続
- その他の納税義務免除の制限
登録取消しは課税期間単位です
登録取消届出書を提出した日から、すぐに登録がなくなるわけではありません。
原則として、届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間の初日に、登録の効力が失われます。
ただし、翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎて提出した場合は、翌々課税期間の初日に登録の効力が失われます。
15日前の日の扱い
「希望する課税期間の初日から起算して15日前の日まで」という期限は、通常の申告期限のように休日であれば翌営業日まで延びる取扱いにはなっていません。15日前の日が日曜日、祝日その他一般の休日、土曜日または12月29日から31日にあたる場合でも、その翌日にはなりません。
経過措置により登録した場合の2年の取扱い
免税事業者が登録に係る経過措置を利用し、令和5年10月1日を含む課税期間以外の課税期間に登録を受けた場合、登録を取りやめても、原則として登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れません。
これは、登録自体を取り消せないという意味ではありません。登録は取り消せますが、消費税の納税義務が一定期間残ることがあるという点を分けて理解してください。
なお、この2年の取扱いは、登録開始日の属する課税期間が令和5年10月1日を含むかどうかによって扱いが異なります。ご自身がどちらにあたるかは、登録開始日を確認したうえで、国税庁の一次情報で確認してください。
いつから登録を取りやめられるか
登録の取消しは、届出書を提出した日から自由な日付を指定できる手続きではなく、課税期間の初日を基準に効力が生じます。
- 原則:届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間の初日に、登録の効力が失われます。
- 15日前期限を過ぎて提出した場合:原則として、翌々課税期間の初日に登録の効力が失われます。
希望していた課税期間からの取消しに間に合わなかった場合でも、遡って取り消すことはできません。
期限・いつまでに
原則の期限
登録を取りやめたい課税期間の初日から起算して15日前の日までに、届出書を提出します。
例えば、個人事業者(通常の暦年課税)または12月決算法人が、X3年1月1日から登録を取りやめたい場合は、X2年12月17日までに提出します。X2年12月17日を過ぎてX2年12月31日までに提出した場合は、原則としてX4年1月1日から登録の効力が失われます。
この例示は制度理解のためのものです。実際の提出期限は、ご自身の課税期間にあわせて確認してください。
期限を過ぎた場合
期限を過ぎても、届出書自体を提出できなくなるわけではありません。
ただし、希望していた次の課税期間からの取消しには間に合わず、原則として翌々課税期間の初日からの取消しになります。
課税期間特例を利用している場合
課税期間を1か月または3か月等へ短縮する特例を利用している場合は、通常の個人の暦年や法人の事業年度だけで期限を判断できません。この場合は、ご自身の課税期間の初日を確認したうえで、15日前の日を計算してください。
取消し後に免税事業者になれるか確認する
登録を取りやめても、必ず消費税の免税事業者に戻れるとは限りません。次の点を、それぞれ確認してください。
- 基準期間・特定期間等の要件により、法律上、課税事業者にあたらないか
- 過去に消費税課税事業者選択届出書を提出しておらず、その効力が残っていないか
- 経過措置により登録した場合、登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間を過ぎているか
- その他、納税義務の免除が制限される理由がないか
これらのいずれかに該当する場合は、登録を取りやめても、一定期間は消費税の課税事業者として申告・納付が必要になります。
過去に消費税課税事業者選択届出書を提出している場合、登録取消届出書を提出するだけでは、その選択の効力まで自動的に失われるわけではありません。免税事業者へ戻ることを目的とする場合は、消費税課税事業者選択不適用届出書の提出もあわせて確認してください。
自分だけで課税・免税の判定ができない場合は、確認事項を整理したうえで、納税地の所轄税務署等へ確認してください。
手続きの流れ
- 現在の登録状態を確認します。
- 通常の任意取消しにあたるケースかを確認します。
- 取りやめたい課税期間を決めます。
- 15日前期限を確認します。
- 取消し後の課税・免税の状態を確認します。
- 消費税課税事業者選択不適用届出書等が別途必要かを確認します。
- e-Taxまたは書面で届出書を作成します。
- 届出書を提出します。
- 提出記録を保存します。
- 登録の効力が失われる日以後は、適格請求書発行事業者としての取扱いを終了します。
- 必要な場合は、消費税の申告・納付を継続します。
届出書を作成する
準備する情報
届出書の作成にあたり、少なくとも次の情報を準備してください。
- 現在の登録番号
- 納税地
- 氏名または名称
- 法人の場合は代表者情報
- ご自身の課税期間
- 登録を取りやめたい課税期間
- 過去の登録申請・消費税課税事業者選択届出書等の控え
- e-Taxを利用する場合は、利用者識別番号等、現行システムが求める情報
記載上の注意
- 現行の様式にある欄名に従って記載します。
- 「取消しを希望する日」を自由な日付として指定できる手続きではない点に注意してください。
- 登録番号・納税地等は、手元の登録通知や公表情報等と照合してください。
- 記載要領にない項目を独自に追加しないでください。
- 様式が改訂される場合があるため、欄番号を過度に固定して覚えないようにしてください。
提出方法
e-Taxで提出する場合
個人・法人とも、e-Taxの消費税関係の申請・届出手続の中に、登録取消届出書に対応する手続きが用意されています。
- e-Taxで提出できます。
- 送信後は、送信結果や受信通知等を保存してください。
- 具体的な画面操作は、提出時点の現行画面に応じて確認してください。
書面で提出する場合
書面での提出も可能です。届出書は、納税地の所轄税務署長へ提出する手続きです。
持参する場合
持参の可否や提出窓口の運用は、提出時点の現行の手続き案内で確認してください。
提出先
この届出は納税地を所轄する税務署長に対して行う手続きです。書面を送付して提出する場合は、納税地を管轄するインボイス登録センターへ送付します。具体的な所在地は、国税庁の「各局(所)インボイス登録センターのご案内」で確認してください。
書面の郵送先は、納税地を管轄するインボイス登録センターです。センターの所在地は変更される場合があるため、提出時点の国税庁「各局(所)インボイス登録センターのご案内」で確認してください。
提出後に確認すること
効力喪失日
登録の効力が失われる日は、提出した日そのものではなく、期限関係に応じて、翌課税期間または翌々課税期間の初日になります。
インボイスの発行
登録の効力が失われた後は、適格請求書発行事業者として適格請求書を交付する前提にはなりません。登録番号を案内している取引先がいる場合など、実務上必要な連絡はご自身で整理してください。
消費税の申告
登録取消し後も課税事業者にあたる課税期間については、消費税の申告・納付が必要です。登録を取り消したことをもって、その時点から消費税の申告が一切不要になるわけではありません。
公表情報
適格請求書発行事業者公表サイト等での表示・反映の時期は、運用上変動することがあります。必要に応じて、国税庁の公表サイトで状態を確認してください。
状況別
次の課税期間から取りやめたい場合
15日前期限までに届出書を提出します。
15日前期限を過ぎてしまった場合
原則として、取消しは翌々課税期間の初日からになります。希望していた課税期間からの取消しに遡ることはできません。
免税事業者から経過措置で登録した場合
登録開始日と、登録開始日の属する課税期間が令和5年10月1日を含むかどうかを確認してください。一定の場合は、登録を取りやめても2年の納税義務継続があります。
消費税課税事業者選択届出書を提出している場合
登録取消届出書だけで、その選択の効力まで失われるわけではありません。免税事業者へ戻ることを目的とする場合は、消費税課税事業者選択不適用届出書もあわせて確認してください。
売上が1,000万円以下になった場合
売上だけを見て、取消し後すぐに免税事業者になれると判断しないでください。基準期間・特定期間、選択届出、経過措置等をあわせて確認してください。
事業を廃止する場合
通常の登録取消届出書ではなく、事業廃止届出書を確認してください。
個人事業者が死亡した場合
適格請求書発行事業者の死亡届出書等を確認してください。通常の取消届出書は使用しません。
法人が清算結了・合併により消滅する場合
通常の任意取消しとは別に、ケースに応じた必要書類を確認してください。
登録内容を変更したいだけの場合
取消しではなく、登録簿の登載事項変更届出等を確認してください。
あなたの場合はこちら
- 事業を廃止する場合は、「消費税の事業廃止届出書を提出する」を確認してください。
- 課税事業者の任意選択もやめたい場合は、「消費税課税事業者選択不適用届出書を提出する」を確認してください。
- 登録内容を変更したい場合は、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を確認してください。
- 個人事業者が死亡した場合は、「適格請求書発行事業者の死亡届出をする」を確認してください。
- これから登録を受けたい場合は、「適格請求書発行事業者の登録申請をする」を確認してください。
よくある間違い
- 登録取消届出書を提出した日から、すぐに登録がなくなると思い込む。
- 好きな日付を指定して登録を取り消せると思い込む。
- 15日前期限を過ぎると、届出書自体を提出できなくなると思い込む。
- 15日前の日が休日であれば、必ず翌営業日まで延長されると思い込む。
- 登録を取り消せば、必ず免税事業者になれると思い込む。
- 売上が1,000万円以下であれば、取消し後は必ず申告不要になると思い込む。
- 経過措置で登録した場合、登録自体を2年間取り消せないと思い込む。
- 経過措置で登録した場合、全員が取消し後も必ず2年間課税されると思い込む。
- 消費税課税事業者選択届出書の効力も、自動的に消えると思い込む。
- 課税事業者選択不適用届出書だけで、インボイス登録も自動的に消えると思い込む。
- 事業を廃止する場合にも、通常の登録取消届出書を提出すればよいと思い込む。
- 個人事業者が死亡した場合にも、通常の登録取消届出書を提出すればよいと思い込む。
- 法人の清算結了・合併による消滅を、通常の任意取消しと同じ手続きだと思い込む。
- 郵送先を必ず所轄税務署の住所だと思い込む。
- 登録取消し後は、過去に発行した請求書や、その保存義務まで消えると思い込む。
必要なもの
- 登録番号等を確認できる資料
- 納税地・氏名または名称・代表者情報
- 課税期間を確認できる資料
- 過去の消費税関係届出の控え
- e-Taxを利用する場合は、利用に必要な認証情報
- 書面で提出する場合は、現行の届出書様式
必ずしもこれらの資料すべてが一律に必要となるとは限りません。現行の様式やe-Taxの画面で追加の情報が求められる場合は、その案内に従ってください。
相談先
- 納税地の所轄税務署
- 国税庁のインボイス制度に関する相談窓口(提出時点の現行の名称・電話番号を確認してください)
公式リンク
- 国税庁「D1-70 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出手続」:対象者、15日前期限、期限後提出、作成・提出方法、様式、相談先を確認できます。
- 国税庁「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」:現行の届出書様式を確認できます。
- 国税庁「消費税の届出書等について(令和8年2月)」:消費税関係の届出書とインボイス関係様式をまとめて確認できます。
- 国税庁「インボイス発行事業者の登録を取り消す場合などに提出すべき書類」:通常の登録取消し、死亡、事業廃止、清算結了、合併消滅の手続きの違いを確認できます。
- 国税庁「各局(所)インボイス登録センターのご案内」:書面を郵送する場合の地域別の現行送付先を確認できます。
- 国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」:納税地を所轄する税務署を確認できます。
- e-Tax「申請・届出手続(消費税(個人)関係)」:個人事業者向けの電子提出対象手続を確認できます。
- e-Tax「申請・届出手続(消費税(法人)関係)」:法人向けの電子提出対象手続を確認できます。
- 国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」:登録の効力が失われた後の公表情報を必要に応じて確認できます。
注意点
- 15日前期限を必ず確認してください。
- 期限後の提出は、翌々課税期間からの取消しになります。
- 登録の取消しと、免税事業者への復帰は別の問題として確認してください。
- 経過措置により登録した場合、取消し後も2年の納税義務継続があることがあります。
- 消費税課税事業者選択不適用届出書との関係を確認してください。
- 事業廃止・死亡等の場合は、この記事とは別の手続きになります。
- 書面を送付して提出する場合は、納税地を管轄するインボイス登録センターと現在の所在地を国税庁の案内で確認してください。