消費税の事業廃止届出書を提出する

概要

消費税の課税事業者が事業を廃止した場合、納税地を所轄する税務署へ「事業廃止届出書」を提出します。

この届出書は、個人事業の開業・廃業等届出書とは別の手続きです。また、法人の休業又は解散だけでは、事業を廃止した場合には該当しません。

このページでは、事業廃止届出書の提出が必要な人と、提出しない・別手続になる主な場合を確認したうえで、提出時期、準備する情報、記載内容、提出方法、提出先、提出後に確認することまでを順に確認できます。

このページで分かること

  • 事業廃止届出書の提出が必要な人
  • 提出しない・別手続になる主な場合
  • 提出時期の考え方
  • 提出前に準備する情報
  • 届出書に記載する主な内容
  • 「納税義務者となった年月日」の確認方法
  • e-Tax・持参・送付という提出方法の比較
  • 提出先
  • 他の消費税関係届出との相互のみなし提出関係
  • 適格請求書発行事業者が事業を廃止する場合の注意点
  • 提出後に確認すること

対象読者

  • 消費税の課税事業者として事業を廃止した個人事業者
  • 消費税の課税事業者として事業を廃止した法人
  • 消費税課税事業者選択届出書等を提出していた状態で事業を廃止した人・法人
  • 適格請求書発行事業者として登録中に事業を廃止する人・法人
  • 「個人事業の廃業届」と「消費税の事業廃止届出書」を混同している人
  • 法人の休業・解散と事業廃止の違いが分からない人

更新日

更新日:2026年10月2日

最初に確認すること

事業廃止届出書の対象かどうかを判断する前に、次の4点を確認します。

  1. 自分(自社)は消費税の課税事業者か
  2. 実際に事業を廃止したのか、それとも休業・法人解散・インボイス登録の取消しだけなのか
  3. 適格請求書発行事業者として登録中か
  4. 事業を廃止した年月日はいつか

事業廃止届出書は、消費税の課税事業者が事業を廃止した場合の届出です。個人事業の開業・廃業等届出書とは別の手続きであり、期限の考え方も同じではありません。まずこの2つを混同していないかを確認してください。

消費税の事業廃止届出書とは

事業廃止届出書は、消費税法上の届出書です。所得税の個人事業の開業・廃業等届出書や、法人の解散届そのものではありません。

課税事業者が事業を廃止したことを税務署へ知らせるための届出であり、この届出書を提出すること自体が、廃業後に必要となる他の手続き(所得税の申告、法人の解散・清算手続、地方税や社会保険などの各種届出)を代わりに済ませるものではありません。

提出が必要な人

事業廃止届出書は、消費税の課税事業者が事業を廃止した場合に提出します。

個人事業者、法人のいずれも対象になり得ます。また、課税事業者選択届出書などにより課税事業者となっていた人・法人が事業を廃止する場合も対象です。

適格請求書発行事業者が事業を廃止する場合も重要な対象です。この場合の扱いは、「適格請求書発行事業者が事業を廃止する場合」で改めて説明します。

提出しない・別手続になる主な場合

次のいずれかに当てはまる場合、事業廃止届出書の提出事由には当たらないか、別の手続きを確認する場面です。

法人が休業しただけの場合

法人が休業しただけでは、事業を廃止した場合には該当しません。休業だけを理由に事業廃止届出書を提出する必要はありません。

法人が解散しただけの場合

法人の解散も、それだけでは事業廃止には該当しません。解散の手続きと、実際に事業活動を終えたかどうかは分けて確認します。清算のために事業活動がすぐに全て終了するとは限らないためです。

事業は継続し、インボイス登録だけをやめたい場合

事業自体は続けながら適格請求書発行事業者の登録だけを取り消したい場合、この記事が中心に扱う事業廃止届出書の対象ではありません。「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出手続」を確認します。

個人の課税事業者が死亡した場合

個人事業者が死亡した場合は、通常の事業廃止届出書ではなく、死亡に関する別の届出手続を確認します。通常の廃業と死亡による事業の終了を混同しないでください。

免税事業者で、課税事業者・適格請求書発行事業者として扱われていない場合

現在の課税事業者該当状況が自分では判断できない場合、この記事の対象かどうかを独自に決めつけず、まず自分が課税事業者に当たるかどうかを確認してください。このページは、課税事業者の事業廃止届出書を中心に扱います。

いずれの場合も、「対象外だから何もしなくてよい」で終えるのではなく、自分がどの場合に当たるかを確認し、必要な場合は別の手続きへ進んでください。判断できない場合は、税務署へ確認します。

期限・いつまでに

事業廃止届出書は、提出すべき事由が生じた場合に、速やかに提出します。

「廃業後○日以内」のような固定の日数は、現行の案内・記載要領には示されていません。速やかにという表現を、独自に特定の日数へ置き換えないでください。

次の期限を混同しないよう区別します。

  • 消費税の事業廃止届出書:事由が生じた場合、速やかに提出します。
  • 所得税の個人事業の開業・廃業等届出書:別の手続きであり、別の期限で考えます。
  • 適格請求書発行事業者の登録だけを取り消す届出:別の手続きであり、独自の提出時期があります。

すでに事由が生じてから時間が経っている場合でも、「期限を過ぎたから提出しなくてよい」「自動的に無効になる」と自己判断しないでください。未提出に気づいた場合は、速やかに提出する方向で、納税地を所轄する税務署へ確認します。

提出前に準備する情報・もの

事業廃止届出書には、主に次の情報を記載します。

  • 納税地
  • 氏名又は名称(法人の場合は代表者氏名も記載します)
  • 個人番号又は法人番号
  • 事業廃止年月日
  • 納税義務者となった年月日
  • その他、参考となる事項がある場合はその内容

このうち「納税義務者となった年月日」は、廃業日や開業日をそのまま記載する項目ではありません。確認方法は、「『納税義務者となった年月日』の確認方法」で説明します。

書面で提出し、個人番号を記載する個人事業者は、本人確認書類の現行の要件を確認してください。法人は法人番号を記載します。e-Taxで提出する場合は、現在の利用環境や利用者識別番号など、利用条件を事前に確認してください。

届出書に記載する主な内容

現行の事業廃止届出書には、主に次の欄があります。

  • 納税地
  • 氏名又は名称・代表者氏名
  • 個人番号又は法人番号
  • 事業廃止年月日
  • 納税義務者となった年月日
  • 参考事項

このページでは、様式の主要な欄を紹介するにとどめ、全ての欄を転載するものではありません。実際の記入にあたっては、現行の様式と記載要領を確認しながら進めてください。

「納税義務者となった年月日」の確認方法

「納税義務者となった年月日」には、以前に提出した次のいずれかの届出書の「適用開始課税期間」の初日を記載します。

  • 消費税課税事業者選択届出書
  • 消費税課税事業者届出書(基準期間用)
  • 消費税課税事業者届出書(特定期間用)

納税義務者となった年月日を、事業廃止日や開業日と同じ日として機械的に扱わないでください。両者は別の日付です。

過去に提出した届出書の控えなどを確認し、正確な日付を確認します。分からない日付を推測で記載せず、控えが手元にない場合は納税地を所轄する税務署へ確認してください。

提出方法を選ぶ

事業廃止届出書は、e-Tax、税務署への持参、税務署への送付のいずれかの方法で提出できます。

どの方法にも共通して、次の5つの観点で自分に合う方法を確認します。

比較項目 e-Tax 持参 送付
手続場所 自宅や事務所などから提出可能 納税地を所轄する税務署の窓口 納税地を所轄する税務署に対応する業務センター等の現行送付先を確認して郵送
受付・利用時間の考え方 現在の利用可能時間を公式情報で確認 総合窓口の受付時間は原則9時から15時。受付時間外でも開庁時間内(8時30分から17時まで)は手続可能 郵送先と発送のタイミングを考慮
本人確認・番号記載 利用者識別番号等、電子的な確認方法による 個人番号記載書面は本人確認書類の提示・写し添付等が必要 個人番号記載書面は本人確認書類の写し添付等が必要
提出記録の残し方 送信後の受信通知等で確認 現行の控えの取扱いを窓口で確認 現行の控えの取扱いを事前に確認
事前準備 利用環境・利用者識別番号等の準備 記載済み届出書・本人確認書類の準備 記載済み届出書・本人確認書類の写し等の準備

どの方法が最も良いかは、読者の状況によって異なります。特定の方法を全ての読者へ一律に勧めるものではありません。それぞれの詳細は、次の各見出しで説明します。

e-Taxで提出する

e-Taxを利用する場合、現在の利用可能時間、利用者識別番号、使用するソフト、電子署名等の利用条件を、公式情報で確認してください。具体的な画面操作は、公式のe-Tax案内を確認しながら進めます。

送信後は、受信通知等によって、提出が受け付けられたことを確認します。

税務署へ持参する

納税地を所轄する税務署の窓口へ持参する方法です。

個人番号を記載した書面を提出する場合、現行の本人確認書類の提示・写し添付等の要件を、事前に公式情報で確認してください。法人は法人番号を記載します。

令和8年10月1日から、税務署の総合窓口の受付時間は原則として9時から15時です。受付時間外でも開庁時間内(8時30分から17時まで)に来署した場合は各種手続を利用できますが、国税庁は可能な限り受付時間内の来署を案内しています。

持参時の控えの取扱いは、現行の運用に従います。令和7年1月から、申告書等の控えへの収受日付印の押なつは行われていません。必要に応じて自分で控えを作成・保有し、提出年月日を記録してください。

送付で提出する

書面を郵便・信書便で送付する方法です。

提出先の法的な主体は、納税地を所轄する税務署長です。一方、令和8年7月10日から全税務署が内部事務のセンター化の対象となっており、書面の実際の郵送先は、所轄税務署に対応する業務センター等となる場合があります。所轄税務署そのものが変わるわけではありません。国税庁の現行案内で郵送先を確認してから送付してください。業務センターへ書面を直接持参することはできません。

送付による提出でも、収受日付印付きの控えが自動的に返送される前提では進めないでください。令和7年1月から、申告書等の控えへの収受日付印の押なつは行われていません。必要に応じて自分で控えを作成・保有し、提出年月日を記録してください。

提出先

事業廃止届出書の提出先は、納税地を所轄する税務署長です。

現在の納税地と、それに対応する所轄税務署は、公式情報で確認してください。

他の消費税関係届出との関係

事業廃止に伴い、次のいずれかの届出書(以下「不適用届出書等」といいます)に事業を廃止した旨を記載して提出した場合、対象となる不適用届出書等および事業廃止届出書の両方の提出があったものとして取り扱われます。

  • 消費税課税事業者選択不適用届出書
  • 消費税課税期間特例選択不適用届出書
  • 消費税簡易課税制度選択不適用届出書
  • 任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書
  • 消費税申告期限延長不適用届出書

反対に、事業廃止届出書を提出した場合にも、これらの対象となる不適用届出書等の提出があったものとして取り扱われます。

この相互のみなし提出関係は、自分が利用していた消費税の選択制度に応じて当てはまるかどうかが変わります。全ての読者が全ての不適用届出書等を重複して提出する必要があるという意味ではありません。自分がどの制度を利用していたかを確認したうえで、判断できない場合は税務署へ確認してください。

インボイス発行事業者が事業を廃止する場合

適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)が、事業廃止に伴って登録を終了する場合は、通常の「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」ではなく、事業廃止届出書を確認します。

一方、事業は継続しながら登録だけを取り消したい場合は、通常の登録取消し届出の対象です。両者は区別して扱ってください。

事業廃止に該当するのか、単に登録だけを取り消したいのかが自分では判断しにくい場合は、事業廃止日と現在の登録状態を整理したうえで、税務署へ確認してください。

提出後に確認すること

事業廃止届出書を提出したあとも、次を確認します。

  • 提出記録が残っているか(提出方法ごとの記録の残し方を確認してください)
  • 廃業日の属する課税期間について、消費税の申告が必要かどうか
  • 個人事業者は、廃業時に残っている事業用資産の扱い

届出書を提出しても、廃業日の属する課税期間の消費税申告が不要になるわけではありません。届出書の提出と、消費税の申告は別の手続きです。申告の要否・内容については、公式情報を確認しながら進めてください。

事業用資産が残っている場合

個人事業者では、廃業時に事業用資産でなくなった車両などの資産について、家事消費・使用としてのみなし譲渡が問題となる場合があります。

これは、届出書の記入事項ではなく、廃業課税期間の消費税申告における論点です。事業用資産が残っている場合は必ず消費税がかかるとは限らないため、独自に断定しないでください。具体的な評価・税額計算は、このページでは扱いません。該当する可能性がある場合は、公式情報を確認するか、税務署へ相談してください。

判断が難しい場合

自分がどの場合に当たるか判断できない場合は、次を整理したうえで、納税地を所轄する税務署へ確認してください。

  • 自分(自社)が消費税の課税事業者かどうか
  • 事業廃止日
  • 休業・解散との関係
  • インボイス(適格請求書発行事業者)の登録状態
  • 利用していた消費税の選択制度
  • 廃業時に残っている事業用資産

相談先

  • 納税地を所轄する税務署
  • 国税に関する相談窓口
  • インボイス制度に関する一般的な質問は、国税庁の現行の相談窓口

公式リンク

注意点

  • 個人事業の所得税廃業届(個人事業の開業・廃業等届出書)と混同しないでください。
  • 提出時期の「速やかに」を、独自の固定日数へ置き換えないでください。
  • 法人の休業・解散だけを理由に、事業廃止に当たると決めつけないでください。
  • インボイス登録だけの取消しと、事業廃止に伴う登録終了を混同しないでください。
  • 事業廃止届出書を提出しただけでは、廃業課税期間の消費税申告は終わりません。
  • 不適用届出書等との相互のみなし提出関係は、利用していた制度に応じて当てはまるかが変わります。全員へ一律の重複提出を求めるものではありません。
  • 個人事業者の事業用資産のみなし譲渡は、残っていれば必ず税金がかかるとは限りません。
  • 書面提出では、収受日付印付きの控えが必ず得られる前提で進めないでください。

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