消費税課税事業者選択不適用届出書を提出する
概要
「消費税課税事業者選択不適用届出書」は、以前に消費税課税事業者選択届出書を提出して自ら課税事業者となった事業者が、その選択をやめるための届出書です。
不安は、分からないことから生まれます。この届出書については、「いつから出せるのか」「出せば必ず免税事業者に戻れるのか」が分からないまま放置すると、提出できる時期を逃したり、届出後も課税事業者のままだったことに後から気づいたりする事態につながります。
このページでは、この届出書を提出すべき場面か、原則2年の提出制限や資産取得による追加制限に該当していないか、いつまでに提出すれば希望する課税期間から選択の効力を失わせられるか、届出後も法定の課税事業者になる事情がないかを、順番に確認できるように案内します。
課税事業者・免税事業者の判定ルール全体の説明や、免税に戻ることが有利か不利かという個別の税務判断は、このページの範囲外です。
このページで分かること
- 自分がこの届出書を提出する場面にあたるかどうか
- 免税事業者へ戻れる条件を満たしているかどうか
- 原則2年の提出制限や、資産取得による追加制限に該当していないか
- いつまでに提出すれば、希望する課税期間から選択の効力を失わせられるか
- 届出後も法定の課税事業者になる事情がないか
- 届出書を作成し、所轄税務署長へ提出する方法
- 提出後に確認しておくべきこと
対象読者
- 過去に消費税課税事業者選択届出書を提出し、今後は免税事業者へ戻りたい個人事業者・法人
- 選択して課税事業者となった後、基準期間等の売上が小さくなり、免税事業者へ戻れるか確認したい事業者
- 選択開始からの期間を確認し、不適用届出書を提出できる時期を知りたい事業者
- 調整対象固定資産等を取得しており、免税復帰の制限が残っていないか確認したい事業者
- 希望する課税期間から選択をやめるための期限・提出方法を確認したい事業者
- やむを得ない事情で原則期限までに届出できなかった事業者
- 事業廃止に伴う不適用届出関係を確認したい事業者
更新日
更新日:2026年10月3日
まず確認すること
- この届出書は、自ら選択して課税事業者となっていた事業者が、その選択をやめるための届出です。
- 原則期限は、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までです。
- 原則として、選択により課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できません。
- 調整対象固定資産等を取得している場合は、さらに提出できない期間が生じることがあります。
- 届出書を提出しただけで必ず免税事業者になるわけではありません。基準期間・特定期間その他の法定課税要件やインボイス登録等により、引き続き課税事業者となる場合があります。
- 期限を過ぎた通常の届出を、すでに始まっている課税期間へ当然に遡って適用できるとは限りません。
- 事業を廃止した場合は、通常の「次の課税期間から免税へ戻る」ケースとは分けて確認します。
中心判断表
自分の状況を整理するために、次の10の確認軸を順番に確認してください。
| 確認すること | 基本的な扱い |
|---|---|
| 過去に選択届出書を提出したか | 任意選択の効力をやめる手続なので、まず過去の選択状況を確認する |
| 免税へ戻りたい課税期間 | その課税期間の初日の前日までが原則期限 |
| 選択開始からの期間 | 原則2年の提出制限を満たしているか確認する |
| 資産取得による制限 | 調整対象固定資産等の取得がある場合、追加の提出制限がないか確認する |
| 売上等による法定課税 | 不適用届出後でも基準期間・特定期間等の要件により課税事業者となる場合がある |
| インボイス登録 | 適格請求書発行事業者として課税事業者となる状態が続くかを別に確認する |
| 期限を過ぎた | 通常届出の遡及を前提にせず、やむを得ない事情の特例等を確認する |
| 事業を廃止した | 通常の期限・2年制限だけで処理せず、事業廃止時の届出関係を確認する |
| 提出方法 | e-Tax、書面持参、送付から現行利用可能な方法を選ぶ |
| 提出後 | 選択の効力が失われる時期と、実際の納税義務を分けて確認する |
この届出書を提出するか確認する
任意選択をやめる手続である
この届出書は、消費税課税事業者選択届出書による選択をやめるための手続です。「売上が1,000万円以下になった人が全員提出する届出書」ではありません。あくまで、以前に自分の意思で課税事業者を選択した事業者が、その選択の効力を将来に向けてやめるためのものです。
法定の課税事業者になる場合がある
不適用届出書を提出して任意選択の効力を失わせても、基準期間・特定期間等の要件によって納税義務が生じる場合は免税事業者にはなりません。「不適用届出書を出せば必ず消費税申告が不要になる」わけではないことを、先に理解しておく必要があります。
インボイス発行事業者の場合は別に確認する
適格請求書発行事業者の登録状態と、課税事業者選択届出書の効力は別のものです。不適用届出書を提出しただけで、インボイス登録が自動的に取り消されるわけではありません。インボイス登録を続けたままにするか、登録の取消しも検討するかは、別途確認してください。
提出できる時期を確認する
原則2年の提出制限
原則として、消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、不適用届出書を提出できません。
「届出書を提出した日から丸2年」「2回申告すれば必ず提出できる」といった単純な数え方はできません。次の情報を確認してください。
- 選択により課税事業者となった課税期間
- その課税期間の初日
- 現在の課税期間
- 免税へ戻りたい課税期間
- 事業廃止の有無
調整対象固定資産等を取得した場合
選択により課税事業者となった後、一定期間内に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合は、原則2年より長く不適用届出書を提出できない場合があります。該当する場合、国税庁の案内では、調整対象固定資産の仕入れ等を行った日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後まで提出できない制度があります。
資産を取得した事実だけから一律に結論を出さず、少なくとも次を確認してください。
- 資産を取得した課税期間
- その時点で選択による課税事業者だったか
- 一般課税・簡易課税のどちらを適用していたか
- 資産が調整対象固定資産等に該当するか
- 高額特定資産等に関する別の免税制限が関係しないか
資産を後で売却・廃棄した場合
調整対象固定資産に関する制限が成立している場合、その後にその資産を売却・廃棄したことだけで制限が消えるわけではありません。制限の有無は、取得時点の事実を基準に判断します。
期限・いつまでに
原則
免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までです。
個人事業者が通常の暦年課税で翌年1月1日から選択をやめたい場合は、原則として前年12月31日までとなります。法人は事業年度・課税期間によって異なるため、固定の日付ではなく、希望する課税期間の初日から逆算して確認してください。
期限を過ぎた場合
原則期限を過ぎてから通常の不適用届出書だけを提出しても、すでに始まっている課税期間へ当然に遡って免税事業者へ戻れるとは限りません。
やむを得ない事情がある場合は、「消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請」の対象となり得ます。特例承認申請は、原則としてやむを得ない事情がやんだ日から2か月以内に行い、特例の対象となる不適用届出書もあわせて提出する必要があります。
自分の事情が承認要件を満たすかどうかは、この記事だけで断定できません。所轄税務署へ確認してください。
不適用届出書を出す前に知っておくこと
選択の効力が失われる時期
不適用届出書を適法に提出した場合、課税事業者選択届出書の効力は、原則としてその提出があった日の属する課税期間の末日の翌日から失われます。
行動の単位で言い換えると、「希望する次の課税期間から選択をやめるため、原則としてその初日の前日までに提出する」という理解で進めてください。
実際に免税事業者になれるとは限らない
選択の効力が失われても、法定の課税事業者となる要件に該当すれば、引き続き課税事業者です。次の項目を確認してください。
- 基準期間の課税売上高
- 特定期間による納税義務
- 新設法人・特定新規設立法人等の特例
- 高額特定資産等による納税義務免除の制限
- インボイス発行事業者としての登録状態
提出後に調整対象固定資産を取得する場合の重大な例外
不適用届出書を提出した後でも、その届出書を提出した日の属する課税期間中に、制度上の対象となる調整対象固定資産の仕入れ等を行ったことにより制限規定が適用される場合、不適用届出書が提出されなかったものとみなされ、選択届出書の効力が存続することがあります。この点は特に注意が必要です。
用意するもの・確認する情報
届出書を作成する前に、少なくとも次の情報を確認できる状態にしてください。
- 納税地
- 氏名・名称
- 個人番号・法人番号等、現行様式上必要な情報
- 過去の消費税課税事業者選択届出書
- 選択により課税事業者となった課税期間
- 免税事業者へ戻りたい課税期間
- 基準期間・特定期間等の売上情報
- 調整対象固定資産・高額特定資産等の取得履歴
- 過去の課税方式(一般課税・簡易課税)
- インボイス発行事業者の登録状態
- 事業廃止の有無
- 期限徒過がある場合は、その理由と事情がやんだ日
実際の記載項目は、現行の様式・記載要領と照合して確認してください。
届出書に記載する主な内容
現行の様式・記載要領に従い、主に次の情報を確認して記載します。
- 納税地
- 住所又は居所/本店又は主たる事務所の所在地
- 氏名・名称、代表者氏名
- 個人番号又は法人番号等
- 選択をやめようとする課税期間
- 過去の選択届出書に関する情報
- 事業内容その他、現行様式が求める事項
様式の全文はこのページには掲載していません。実際の記入は、現行の様式・記載要領を確認しながら行ってください。
提出方法を選ぶ
次の方法から選べます。
- e-Tax
- 書面を税務署へ持参
- 書面を送付
どの方法でも、提出したことを確認できる記録を残すことが重要です。
e-Taxで提出する
国税庁・e-Taxの現行案内に従って提出します。
画面の操作は改修によって変わることがあるため、細かい操作手順はこのページの中心的な情報としていません。提出後は、受信結果など、提出したことを確認できる記録を保存してください。
税務署へ持参する
- 現行様式を用意する
- 記載要領に沿って記入する
- 現行の本人確認・番号制度上の要件を確認する
- 納税地を所轄する税務署へ提出する
- 提出年月日を自分でも記録する
税務署へ送付する
- 現行様式を用意する
- 記載要領に沿って記入する
- 現行の本人確認・番号制度上の要件を確認する
- 納税地を所轄する税務署へ送付する
- 期限があるため、現行の提出日・送付の扱いを公式案内で確認する
- 自分用の控えと提出記録を保管する
提出先
納税地を所轄する税務署長へ提出します。
税務署名を事業所所在地だけから決めつけず、納税地の所轄を国税庁の案内で確認してください。
費用
国税庁の現行手続ページでは、この届出について手数料の記載はありません。
ただし、書面の印刷・送付、通信環境等にかかる実費が生じる場合があります。
提出後に確認すること
- e-Taxでは受信結果等を保存する
- 書面提出では自分用の控えと提出年月日・送付記録を保管する
- 選択をやめる予定の課税期間を記録する
- その課税期間について、本当に免税事業者となるかを法定課税要件・インボイス登録状態等と照合する
- 課税事業者のままとなる場合は、消費税申告・帳簿等の準備を続ける
- 簡易課税制度を選択している場合は、課税事業者選択不適用届出書とは別制度であることを確認する
状況別
基準期間の課税売上高が1,000万円以下になった
それだけで自動的に免税事業者へ戻るとは限りません。選択届出書の効力が残っている場合は、この記事の内容に沿って不適用届出書を確認してください。
一方、不適用届出書を提出しても、特定期間等の別要件で課税事業者となる場合があります。
選択してからまだ2年たっていない
事業廃止等を除く通常のケースでは、原則として不適用届出書を提出できる時期に達していない可能性が高いです。「2年」の起算を提出日だけで判断せず、選択により課税事業者となった課税期間の初日を確認してください。
設備・建物・機械などを取得した
調整対象固定資産、高額特定資産等に該当する場合は、免税へ戻る時期が延びる可能性があります。金額だけで判断せず、取得時期、資産区分、課税方式、過去の申告を確認してください。
インボイス発行事業者である
不適用届出書だけでインボイス登録が消えるわけではありません。免税事業者へ戻ることと、適格請求書発行事業者の登録状態は分けて確認してください。
期限を過ぎた
通常の不適用届出書だけで遡って適用できる前提にはできません。やむを得ない事情がある場合は、特例承認申請の対象となるかを確認してください。
事業を廃止した
通常の「次の課税期間から免税へ戻る」ケースと同じ処理には固定できません。課税事業者を選択している個人事業者が事業を廃止した場合には、不適用届出書等の関係があり、事業廃止届出書との間でみなし提出の関係もあります。事業廃止に関する手続を優先して確認してください。
簡易課税制度も選択している
課税事業者選択の不適用と、簡易課税制度選択の不適用は別の届出です。必要な場合は、簡易課税制度選択不適用届出書に関する確認へ進んでください。
よくある間違い
- 売上が1,000万円以下になれば自動で免税事業者へ戻ると思ってしまう
- 不適用届出書を提出すれば必ず免税事業者になれると思ってしまう
- 選択届出書を提出した日から2年たてば必ず提出できると思ってしまう
- 2回申告したら必ず2年要件を満たすと思ってしまう
- 調整対象固定資産等の取得歴を確認しない
- 資産を売却・廃棄したので制限も消えたと思ってしまう
- 不適用届出書提出後の同一課税期間中の資産取得による影響を見落とす
- 免税へ戻りたい課税期間が始まってから通常の届出を出せばよいと思ってしまう
- 期限後の通常届出が当然に遡って適用されると考えてしまう
- 特例承認申請が単なる出し忘れにも必ず使えると思ってしまう
- 特例承認申請だけを出し、不適用届出書をあわせて出さない
- インボイス登録も不適用届出書で自動的に取り消されると思ってしまう
- 簡易課税制度の不適用届出書と混同してしまう
- 「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」と混同してしまう
- 事業廃止でも通常ケースと同じ期限・2年要件だけを見てしまう
- 事業廃止届出書とのみなし提出関係を無視して重複・漏れを起こす
- 提出先を事業所所在地だけで決めてしまう
- 提出後の記録を残さない
注意点
- 「選択をやめる」ことと「免税事業者になれる」ことは同じではありません。
- 原則2年の提出制限があります。
- 調整対象固定資産等により、追加の制限が生じる場合があります。
- 不適用届出書提出後の同一課税期間中の資産取得でも、影響が生じる場合があります。
- 原則期限は、免税へ戻ろうとする課税期間の初日の前日までです。
- インボイス登録状態は、別に確認する必要があります。
- 期限徒過の特例には個別の要件があり、単純な出し忘れの救済とは限りません。
- 事業廃止の場合は、通常ケースと分けて確認してください。
チェックリスト
相談先
基本の相談先は、納税地を所轄する税務署または国税庁の相談窓口です。
特に次の場合は、このページの内容だけで最終判断せず、確認したい内容を整理してから相談先へ問い合わせてください。
- 選択開始課税期間が分からない
- 調整対象固定資産・高額特定資産等の制限が関係するか分からない
- 課税期間を短縮・変更している
- インボイス登録との関係が複雑
- 期限を過ぎており、特例承認の対象か判断できない
- 事業廃止・相続等が重なっている
相談する際は、次の情報を整理しておくと確認がスムーズです。
- 選択届出書の提出・適用開始課税期間
- 希望する不適用開始課税期間
- 調整対象固定資産等の取得日・金額・資産内容
- 当時の課税方式
- 基準期間・特定期間等の売上状況
- インボイス登録状態
- 期限徒過がある場合はその事情と解消日
公式リンク
この記事の内容に関連する国税庁・e-Taxの現行案内は、次のページで確認できます。
- D1-5「消費税課税事業者選択不適用届出手続」
- No.6501「納税義務の免除」
- No.6502「高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例」
- No.6603「個人事業者が事業を廃止した場合」
- No.6629「消費税の各種届出書」
- 「消費税の届出書等について(令和8年2月)」
- D1-6「消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請手続」
- e-Tax「申請・届出手続(消費税(個人)関係)」
- e-Tax「申請・届出手続(消費税(法人)関係)」
この前に確認する
任意選択の効力をやめる前提と、現在の課税・免税の判定状況を先に確認しておくと、このページの内容を読み進めやすくなります。
あなたの場合はこちら
- 消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出する
- 消費税の事業廃止届出書を提出する
読者の目的が「課税事業者選択の取りやめ」ではなく、簡易課税の終了や事業廃止である場合は、それぞれの手続を確認してください。
あわせて確認する
- 消費税の確定申告をする
- 消費税を納付する
- 消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出する
不適用届出後も法定課税等により課税事業者となる場合や、あわせて確認しておきたい別の選択制度がある場合に参考にしてください。