所得税の予定納税について知る
対象読者
- 税務署から「予定納税額の通知書」が届いた人
- e-Taxで予定納税額の通知を受けた人
- 「予定納税」という言葉を初めて見て、追加の税金なのか不安な人
- なぜ自分が対象になったのか知りたい人
- 第1期・第2期をいつ、いくら納めるのか知りたい人
- 前年より売上や所得が下がりそうな人
- 廃業・休業・失業、業況不振、控除の増加等により今年の税額が少なくなりそうな人
- 第1期または第2期の納期限を過ぎた人
- 振替納税で残高不足等により引き落とされなかった人
- 翌年の確定申告で予定納税額をどう扱うか知りたい人
更新日:2026年10月5日
概要
予定納税は、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納める制度です。予定納税は、別の税金が追加される制度ではありません。予定納税額は、翌年の確定申告で年間の税額から差し引いて精算します。
予定納税基準額が15万円以上となる場合は、原則として予定納税が必要です。対象者には税務署から予定納税額が通知されます。通知を受けたら、まず通知額と納期限を確認してください。
今年の所得や税額が前年より下がる見込みがある場合は、予定納税額の減額申請をできることがあります。減額申請の期限は予定納税の納期限より早いため、先に確認してください。
このページでは、予定納税の基本的な仕組みから、通知後の確認事項、減額申請、納付方法、納期限を過ぎた場合の対応、確定申告での精算までを順に案内します。
このページで分かること
- 予定納税が何のための制度か
- 自分が予定納税の対象になる基本的な条件
- 予定納税額がどのように決まるか
- 第1期・第2期をいつ、いくら納めるか
- 今年の税額が下がりそうな場合に検討できる減額申請の対象と期限
- 予定納税の主な納付方法
- 納期限を過ぎた場合・振替できなかった場合の初動
- 翌年の確定申告で予定納税額をどう扱うか
- 令和8年分(2026年分)に関する時点情報
最初に確認すること
制度の詳しい仕組みを読む前に、次の順で確認してください。
- 予定納税額の通知が届いているか
- 第1期・第2期それぞれの金額と納期限を確認する
- 今年の所得や税額が、前年より大きく下がりそうか確認する
- 下がりそうな場合は、減額申請の期限を先に確認する
- 下がる見込みが特にない場合は、納付方法を確認して期限内に納付する
- 期限をすでに過ぎている場合は、速やかな納付または税務署への確認に切り替える
制度の計算式を理解してから行動する必要はありません。まず通知の有無と期限を確認することが優先です。
予定納税とは
予定納税は、その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納める制度です。予定納税は、別の税金が追加される制度ではありません。
会社員の給与から天引きされる源泉徴収とは別に、事業所得などがあり前年に一定額以上の税額があった人を対象に、その年の税額の一部を前もって納めておく仕組みです。
納めた予定納税額は、翌年の確定申告で年間の税額から差し引いて精算します。予定納税額が年間の税額より多ければ還付され、少なければ不足分を納めます。予定納税を納めたからといって、確定申告が不要になるわけではありません。
表1.予定納税の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何の税金か | 所得税及び復興特別所得税の前払い |
| 対象の基本 | 予定納税基準額が15万円以上 |
| 通知 | 原則6月15日までに税務署から通知 |
| 第1期 | 原則7月、予定納税基準額のおおむね3分の1 |
| 第2期 | 原則11月、予定納税基準額のおおむね3分の1 |
| 最終精算 | 翌年の確定申告で年間税額から差し引く |
予定納税の対象になる人
その年の5月15日現在で確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した予定納税基準額が15万円以上となる人は、原則として予定納税が必要です。
原則的なケースでは、前年分の申告納税額が予定納税基準額になります。ただし、前年に譲渡所得・一時所得・雑所得等の一定の所得がある場合や、外国税額控除・災害減免法の適用がある場合などは、前年の申告納税額がそのまま予定納税基準額にならないことがあります。
読者自身がこの基準額を詳しく計算する必要はありません。予定納税が必要な人には、税務署から予定納税基準額と予定納税額が通知されます。まずは通知された金額を確認することを基本にしてください。
予定納税額はどう決まるか
通知
予定納税が必要な人には、原則として所轄税務署長から、その年の6月15日までに、書面またはe-Taxで予定納税額等が通知されます。
e-Taxによる電子交付を希望している場合は、書面ではなくe-Taxで通知されることがあります。令和8年分の国税庁案内では、電子通知を希望した人には納付書が送付されない旨が案内されています。e-Taxでの電子通知を利用している場合は、書面の到着を待つのではなく、メッセージボックスも確認してください。
通常の予定納税額
特別農業所得者以外の人は、原則として、予定納税基準額の3分の1相当額を第1期分、第2期分としてそれぞれ納付します。
前年分と同額を3回に分けて納めるわけではありません。次の構造で理解してください。
- 第1期:予定納税基準額のおおむね3分の1
- 第2期:予定納税基準額のおおむね3分の1
- 残りを含む年間税額全体:翌年の確定申告で精算
いつ・いくら納めるか
特別農業所得者以外の原則的な納期は、次のとおりです。
- 第1期:その年の7月1日から7月31日まで
- 第2期:その年の11月1日から11月30日まで
- 納期限が土曜日、日曜日、祝日・休日にあたる場合は、翌日が期限になります
令和8年分(2026年分)の納期限
| 区分 | 令和8年分の法定納期限 |
|---|---|
| 第1期予定納税 | 2026年7月31日(金) |
| 第2期予定納税 | 2026年11月30日(月) |
2026年10月5日時点では、第1期の納期限はすでに経過しています。第1期の納期限を過ぎている場合の対応は、このページの「納期限を過ぎた・振替できなかった場合」で確認してください。第2期の納期限は、まだ先にあります。
今年の税額が下がりそうな場合は減額申請を確認する
予定納税額は、前年の所得や税額などを基に計算されています。そのため、今年の事情が前年と大きく変わった人にとっては、通知された金額が今年の年間見込みより高くなっていることがあります。
次の問いにあてはまる場合は、通常の納付へ進む前に、減額申請の対象と期限を確認してください。
今年の所得や税額は、前年より大きく下がりそうですか。
「はい」または「その可能性がある」と思う場合は、このまま通常どおり納付するのではなく、減額申請の期限を先に確認してください。
減額申請できる主なケース
本年分の申告納税見積額が、通知された予定納税基準額より少なくなると見込まれる場合に、減額申請を検討できます。主な例は次のとおりです。
- 廃業・休業・失業した
- 業況不振などで、所得が前年より明らかに少なくなる見込みがある
- 災害・盗難・横領等により一定の損害を受けた
- 医療費控除が新たに生じる、または増える見込みがある
- 配偶者控除、扶養控除、障害者控除等の対象が増える見込みがある
- 社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除等が増える見込みがある
- 住宅借入金等特別控除等の税額控除を新たに受ける、または増える見込みがある
- その他、特殊な事情により本年分の申告納税見積額が下がる見込みがある
これらに当てはまる場合でも、必ず減額が承認されるとは限りません。減額申請を提出しただけで自動的に減額されるわけではありません。
減額申請の期限・いつまでに
減額申請の期限は、予定納税の納期限より早いため、先に確認してください。「納付期限までに減額申請すればよい」わけではありません。
7月の減額申請
- 基準:その年6月30日の現況で、本年分の申告納税見積額を見積もる
- 対象:第1期分・第2期分の減額
- 提出期間:その年7月1日から7月15日まで
- 期限が土曜日、日曜日、祝日・休日にあたる場合は翌日
11月の減額申請
- 基準:その年10月31日の現況で見積もる
- 対象:原則として第2期分のみの減額
- 提出期間:その年11月1日から11月15日まで
- 期限が土曜日、日曜日、祝日・休日にあたる場合は翌日
表2.期限一覧
| 区分 | 期限(原則) | 令和8年分の目安 |
|---|---|---|
| 7月の減額申請 | 6月30日現況、7月1日から7月15日まで | 2026年7月15日まで |
| 第1期予定納税 | 7月1日から7月31日まで | 2026年7月31日(金)まで |
| 11月の減額申請 | 10月31日現況、11月1日から11月15日まで | 2026年11月16日(月)まで |
| 第2期予定納税 | 11月1日から11月30日まで | 2026年11月30日(月)まで |
| 確定申告での精算 | 翌年の確定申告期間内 | 翌年の確定申告で反映 |
表のとおり、減額申請の期限は、対応する納期限より必ず早く設定されています。7月15日と7月31日、原則の11月15日(令和8年分は11月16日)と11月30日を混同しないよう注意してください。
減額申請の方法
- e-Taxソフトを利用して提出できます
- 書面で作成し、持参または送付で提出することもできます
- 申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類を提出します
- 提出先は、納税地を所轄する税務署長です
申請書の具体的な記載方法や添付書類の詳細は、国税庁の公式情報で確認してください。
税務署は、申請について承認・一部承認・却下のいずれかを決定し、結果を通知します。申請した時点で自動的に減額が確定するわけではありません。
今年の税額が下がる見込みが特にない場合
前年と比べて所得や税額が大きく変わらない見込みの場合は、通知された金額のとおりに、期限内の納付へ進んでください。
表3.通常納付と減額申請の判断
| 今年の所得・税額見込み | まず確認すること | 期限 | 次の行動 |
|---|---|---|---|
| 前年と大きく変わらない | 通知された金額と納期限 | 第1期7月31日、第2期11月30日(原則) | 期限内に納付方法を確認して納付する |
| 前年より下がりそう | 6月30日または10月31日時点の年間見積り | 7月15日または11月15日(原則。令和8年分の11月は11月16日) | 減額申請の対象になり得るか確認する |
予定納税の納付方法
予定納税でも、国税の納付方法として主に次を利用できます。
| 方法 | 事前準備 | 主な注意 |
|---|---|---|
| 振替納税 | 事前の口座振替登録 | 振替日前に口座残高を確認する |
| ダイレクト納付 | e-Taxでの事前登録 | 登録完了後、別途納付操作が必要 |
| インターネットバンキング等による電子納税 | e-Taxの利用登録等 | 利用可能な金融機関を事前に確認する |
| クレジットカード納付 | 専用サイトでの手続き | 決済手数料がかかる |
| スマホアプリ納付 | 対応アプリの準備 | 納付税額30万円以下が対象 |
| 納付書による窓口納付 | 納付書の準備 | 金融機関・税務署等の窓口で納付する |
振替納税をすでに利用している場合は、振替日前の残高を必ず確認してください。残高不足等で引き落とせなかった場合、再振替は自動的には行われません。速やかに他の納付方法を確認してください。
各納付方法の詳細な仕様や操作方法は、国税庁の公式情報で確認してください。
状況別
| 状況 | 確認すること | 行動 |
|---|---|---|
| 予定納税額の通知書が届いた | 第1期・第2期の金額、納期限 | 今年の税額見込みを確認し、通常納付か減額申請かを判断する |
| e-Taxで通知された | メッセージボックス、納付区分番号通知等 | 紙の納付書を待つ前提にせず、利用可能な納付方法を確認する |
| 前年と今年の所得が大きく変わらない | 通知額、納期限 | 原則として期限内納付へ進む |
| 売上・所得が大きく減りそう | 6月30日または10月31日時点の年間見積り | 減額申請の期限を確認する |
| 廃業・休業・失業した | 今年の所得見込み | 減額申請の対象になり得るか確認する |
| 医療費・扶養・障害者控除等が増えそう | 本年分の所得控除・税額控除の見込み | 減額申請の対象になり得るか確認する |
| 第1期の納期限を過ぎた | 未納額、納付可能な方法 | できるだけ早く納付し、必要なら税務署へ確認する |
| 振替納税ができなかった | 残高不足等の有無、未納状態 | 再振替を前提にせず、速やかに納付方法を確認する |
| 第1期後に事情が悪化した | 10月31日時点の年間見積り | 11月の第2期分減額申請を検討する |
| 翌年に確定申告する | 第1期・第2期の予定納税額合計 | 確定申告書へ記載し、年間税額から差し引いて精算する |
納期限を過ぎた・振替できなかった場合
予定納税額の納付が期限に遅れた場合、または振替納税で残高不足等により引き落とされなかった場合、原則として法定納期限の翌日から納付日までの期間について延滞税がかかることがあります。
延滞税の率は年度によって変わり得るため、正確な率は国税庁の公式情報で確認してください。
期限を過ぎている場合の最初の行動は、延滞税を計算してから動くことではありません。できるだけ早く納付し、状況が分からない場合は所轄税務署へ確認してください。
確定申告で予定納税額を精算する
予定納税額は、それ自体で完結する税金ではありません。翌年の確定申告で、第1期分と第2期分の予定納税額を忘れずに確認し、年間の税額から差し引いて精算します。
差し引いた結果、年間の税額の方が多ければ不足分を納め、予定納税額の方が多ければ差額が還付されます。予定納税を納めたことで、確定申告が不要になるわけではありません。
令和8年分の注意
国税庁の令和8年分現行案内では、令和8年度税制改正における基礎控除の見直しは、予定納税額の計算および減額申請の申告納税見積額の計算上は考慮されておらず、確定申告で最終的な年間税額として精算するとされています。
令和8年分の基礎控除見直しが、すでに予定納税額へ反映されているとは限りません。このページで示した令和8年分の具体的な納期限・期限も、その年の時点情報です。翌年以降は、国税庁の公式情報で最新の期限を確認してください。
相談先
- 納税地を所轄する税務署
- 国税に関する相談窓口(国税局電話相談センター等)
具体的な電話番号・所在地・受付時間は、国税庁の公式情報で確認してください。
公式リンク
- 国税庁「No.2040 予定納税」
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」
- 国税庁「令和8年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書」
- 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」
- 国税庁「納税に関する総合案内」
- 国税庁「納付書の事前送付に関するお知らせ」
- e-Taxホームページ
- 国税庁「国税に関するご相談について」
注意点
- 予定納税は、所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納める制度です。別の税金が追加される制度ではありません。
- 前年の所得税額が15万円以上あったからといって、必ず予定納税の対象になるとは限りません。予定納税基準額の算定には例外があります。
- 減額申請の期限(原則7月15日・11月15日。令和8年分の11月は11月16日)は、予定納税の納期限(7月31日・11月30日)より早く設定されています。
- 減額申請を提出しただけでは、減額は確定しません。承認・一部承認・却下のいずれかが通知されます。
- 振替納税で引き落としができなかった場合、自動的に再振替されるとは限りません。
- 予定納税額は、翌年の確定申告で必ず記載し、年間税額から差し引いて精算します。