所得税の延納をする
対象読者
- 確定申告で所得税及び復興特別所得税の「納める税金」がある人
- 税額の全額を通常の納期限までに納めず、一部を延納したい人
- 確定申告書等作成コーナーまたは書面の確定申告書で延納を届け出たい人
- すでに確定申告書を提出済みで、延納の届出内容を確認したい人
- 通常の納期限を過ぎてしまい、延納・延滞税・納税の猶予のどれを確認すべきか迷っている人
更新日
更新日:2026年10月5日
概要
所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」)の確定申告分には、通常の延納という制度があります。確定申告で納める税額の2分の1以上を通常の納期限までに納付すれば、残りを原則5月31日まで延ばして納付できます。
この延納は、納付が困難な人だけが利用できる許可制の制度ではありません。税務署の審査や担保も必要ありません。ただし、延納の届出をしただけでは、通常の納期限までに必要な納付を済ませたことにはなりません。
この記事では、延納の届出、通常の納期限までの納付、延納残額の納付という三つの行動を混同せずに完了できるところまで案内します。
このページで分かること
- 所得税等の延納をいつ、誰が利用できるか
- 延納届出額と、申告期限までに納付する金額の決め方
- 確定申告書または確定申告書等作成コーナーでの延納の届け出方
- 通常の納期限、延納残額の期限、振替納税を利用する場合の違い
- 延納期間中にかかる利子税
- 通常の納期限を過ぎてしまった場合や、納付自体が難しい場合の初動
この前に確認する
この記事は、所得税等(所得税及び復興特別所得税)の確定申告分にかかる通常の延納を扱います。消費税の確定申告分には、ここで説明する延納は適用されません。
延納を検討する前に、次を確認してください。
- 対象年分の確定申告で納める税金の総額
- その年分の所得税等の通常の納期限
- 振替納税を利用しているかどうか
最初にやること
所得税等の延納は、確定申告で納める税額の2分の1以上を通常の納期限までに納付し、残りを所定の期限まで延ばす制度です。
延納を利用するかどうかにかかわらず、まず自分が確定申告の手続きのどの段階にいるかを確認してください。段階によって、これから行う行動が異なります。
まず現在地を確認する
次の三つのうち、自分がどれに当たるかを確認してください。
A.確定申告書をまだ提出していない、または提出前に延納を選びたい
通常の延納手順に進みます。申告書の「延納の届出」欄へ、延納届出額と申告期限までに納付する額を記載し、必要な額を期限までに納付します。
B.確定申告書は提出済みで、延納の届出をしたか確認したい
申告書の控えや、e-Taxで送信した内容から、延納届出額を確認してください。届出をしていない、届出内容が分からない、または訂正が必要と思われる場合は、後から同じ手続きが当然にできると決めつけず、所轄の税務署へ確認してください。
C.通常の納期限を過ぎている、または必要額を期限までに納付できなかった
通常の延納手順にそのまま進むことはできません。延納の前提を満たしているか、延滞税が生じるか、納付が一時に困難な場合は納税の猶予の対象になり得るかを、所轄の税務署へ確認してください。国税庁の案内では、納期限までに納付が間に合わなかった場合、法定納期限の翌日から完納日まで延滞税がかかることがあるとされています。
所得税を延納できる条件
所得税等の通常の延納には、相続税や贈与税の延納のような「金銭で一時に納付することが困難であること」「担保の提供」「税務署長の許可」といった要件はありません。
一方で、次の条件は必ず満たす必要があります。
- 確定申告で納める税額の2分の1以上を、通常の納期限まで(振替納税を利用する場合は振替日まで)に納付すること
この2分の1以上の納付を行わない場合、延納の届出だけでは延納は成立しません。
延納する金額を決める
確定申告で納める税額をA、延納届出額をB、申告期限までに納付する金額をCとすると、次の関係になります。
- B(延納届出額)は、A(納める税額)の2分の1以下
- C(申告期限までに納付する金額)は、A-B
延納届出額は、税額の2分の1以下であれば自由に設定できます。「2分の1」が固定の届出額になるわけではありません。
計算例
- 納める税金:200,000円
- 延納届出額:100,000円以下
- 申告期限までの納付額:100,000円以上
この例は考え方を示すものであり、個別の税額計算はご自身の申告内容に基づいて行ってください。
延納届出額は、千円未満の端数を切り捨てて計算します。
状況別に確認すること
確定申告書をまだ提出していない場合
確認すること:納める税金の総額、延納したい金額、通常の納期限。
行動:延納届出額を計算し、申告書の延納欄へ記載して提出したうえで、期限までに2分の1以上を納付します。
確定申告書等作成コーナーを使う場合
確認すること:申告期限までに納付する金額、延納届出額の上限。
行動:延納を届け出る選択を行い、画面に表示される延納届出額の欄へ、納付する金額の2分の1以下の額を入力します。画面の名称や操作手順は更新されることがあるため、最新の作成コーナーの案内に従ってください。
書面の確定申告書を使う場合
確認すること:確定申告書第一表の「延納の届出」欄。
行動:申告期限までに納付する金額と、延納届出額をそれぞれ記載します。欄の番号は年分によって変わることがあるため、対象年分の申告書・手引で位置を確認してください。
振替納税を利用する場合
確認すること:振替日、振替日に必要な残高、延納届出額。
行動:振替日に必要な額が引き落とされるよう、口座の残高を確保します。延納残額の期限は、通常納付の場合とは別に管理してください。
確定申告書をすでに提出した場合
確認すること:提出した申告書の控えや、e-Taxの送信内容に延納届出があるかどうか。
行動:届出済みであれば、初回の納付状況と延納残額の期限を確認します。届出をしていない、内容が分からない、または訂正が必要と思われる場合は、当然に後から変更できると判断せず、所轄の税務署へ確認してください。
通常の納期限までに2分の1以上を納付できなかった場合
確認すること:法定納期限、これまでの納付済額、延納届出の有無。
行動:通常の延納の要件を満たしていると自己判断せず、速やかに納付するとともに、税務署へ確認してください。延滞税が生じていないかもあわせて確認します。
延納残額の期限を過ぎてしまった場合
確認すること:残額、延納の期限、未納の期間。
行動:放置せず速やかに納付してください。延納が期限後も自動的に続くことはありません。必要に応じて税務署へ確認してください。
税額の全額を通常の納期限までに払える場合
延納を利用する必要はありません。通常どおり全額を納付してください。
2分の1以上の初回納付自体が難しい場合
確認すること:一時に納付できない事情。
行動:通常の延納だけで解決できる前提にせず、所轄の税務署へ納税相談や納税の猶予制度について確認してください。
贈与税・相続税の延納を調べている場合
この記事で扱う制度とは異なります。贈与税・相続税の延納には、許可や担保などの別の要件があります。それぞれの専門記事や国税庁の案内で確認してください。
手順
- 確定申告で納める所得税等の総額を確認する
- 延納する額を、総税額の2分の1以下で決める
- 申告期限までに納付する額を計算する
- 確定申告書または確定申告書等作成コーナーで延納を届け出る
- 通常の納期限まで(振替納税を利用する場合は振替日まで)に、必要な額を納付する
- 延納残額の期限と利子税を確認する
- 延納残額を期限までに納付し、納付結果・記録を確認する
延納の「届出」「初回の納付」「残額の納付」は、それぞれ別の行動です。ひとつの手続きで完了したと思い込まないようにしてください。
納付方法自体の詳しい手順は、この記事では扱いません。残額の納付でも利用できる方法を、最新の国税庁の案内で確認してください。
期限・いつまでに
所得税等の延納を利用する場合、通常の納期限まで(振替納税を利用する場合は振替日まで)に、納付すべき税額の2分の1以上を納付します。
延納残額は、原則として5月31日まで納付できます。5月31日が土曜、日曜、祝日等に当たる場合は、翌営業日が期限になります。
参考:令和8年分の期限
- 所得税等の法定納期限:2027年3月15日(月)
- 振替納税の振替日:2027年4月中旬~下旬(具体日は国税庁が確定次第掲載)
- 延納残額の期限:2027年5月31日(月)
これらの日付は令和8年分の案内です。延納残額の期限は原則5月31日であり、土日祝日等に当たる年は実際の日付が変わります。年分ごとの正確な法定納期限・振替日は、最新の国税庁の案内で確認してください。
法定納期限をすでに過ぎている場合は、この通常の手順にそのまま進まず、「まず現在地を確認する」のCを確認してください。
必要なもの
- 対象年分の確定申告書、または作成中の申告データ
- 確定申告で納める税金の総額
- 延納したい金額
- 申告期限までに納付する金額
- 通常の納期限
- 延納残額の納付期限
- 利用する納付方法に必要な情報・手段
振替納税を利用する場合
- 振替口座の情報
- 振替日
- 振替日に必要な残高
提出済みの届出内容を確認する場合
- 申告書の控え
- e-Taxの送信内容・受信通知など、提出内容が確認できる資料
- 納付済額が分かる記録
延納期間中の利子税
延納期間中は利子税がかかります。
延納届出額に対して、延納残額を納付するまでの期間に応じて利子税が課されます。利子税の割合は年分によって変わり得るため、最新の国税庁の案内で確認してください。参考として、令和7年分の国税庁のQ&Aでは、現行の具体的な割合が案内されていますが、これは年分ごとに見直されるものであり、恒久的に固定された割合ではありません。
利子税は延納を利用する際に必ず生じる費用です。延納残額の納付額を考えるときは、元の残額に加えて利子税がかかることも見込んでおいてください。
相談先
所轄税務署
次のような場合に確認してください。
- 延納届出の内容について確認したいとき
- 申告済み後の届出状況や訂正の可否に疑義があるとき
- 通常の納期限を過ぎてしまったとき
- 延納残額の期限を過ぎてしまったとき
- 一時に納付が困難で、納税の猶予制度を確認したいとき
国税庁の相談窓口(国税相談専用ダイヤル等)
所得税等の延納制度の一般的な内容や、利子税・納期限についての一般的な案内を確認したいときに利用できます。
e-Tax・確定申告書等作成コーナーの案内
作成コーナーで延納を届け出る操作、送信内容の確認、システム上の不明点については、e-Tax・作成コーナーの案内を確認してください。
公式リンク
- 国税庁「手順5 延納の届出」
- 国税庁「税金の納付」
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「税金の延納について(令和7年分)」
- 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」
- 国税庁「納期限までに納付することが困難な方へ」
- 国税庁「国税に関するご相談について」
注意点
- 所得税等の延納は、納付困難な人だけが利用できる許可制の制度ではありません。税務署の審査や担保は必要ありません。
- ただし、通常の納期限までに税額の2分の1以上を納付することは必須です。半分「だけ」納めれば残りが自動的に延納扱いになるわけではなく、届出をあわせて行う必要があります。
- 申告書に延納の届出を記載して提出しただけでは、通常の納期限までに必要な初回納付を行ったことにはなりません。届出と納付は別の行動です。
- 延納残額の期限は原則5月31日ですが、土日祝日等の場合は翌営業日になり、年分によって実際の日付は変わります。「毎年6月1日」と覚えないでください。
- 延納期間中は利子税がかかります。割合は年分によって変わるため、固定の割合として覚えないでください。
- 所得税等の延納と、国税の納税の猶予は別の制度です。延納で対応できない場合に、猶予が必ず認められるとは限りません。
- 贈与税・相続税の延納とは、要件や手続きが異なります。この記事の内容をそのまま当てはめないでください。
- 通常の納期限を過ぎた場合、「今から同じ延納の手続きをすればよい」と自己判断せず、納付状況の確認と税務署への相談を優先してください。数日程度の遅れであっても、延滞税がかからないとは限りません。