収支内訳書を作成する

概要

収支内訳書は、青色申告者ではない事業所得者等が、その年の総収入金額や必要経費の内容を記載する書類です。営業等の事業所得、農業所得、不動産所得があり青色申告を選んでいない人が、確定申告書に添えて提出します。業務に係る雑所得がある人でも、前々年の収入金額が1,000万円を超え確定申告書を提出する場合は、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になります。

収支内訳書には、一般用・農業所得用・不動産所得用があり、所得の種類に応じて使い分けます。この記事では、営業等の事業所得がある人を中心に、一般用収支内訳書を帳簿から完成させるまでの流れを、準備するものから確定申告書への転記まで順を追って説明します。農業所得用・不動産所得用は、様式の選び方までを扱い、各様式の記入欄すべては扱いません。

青色申告をしている人は、収支内訳書ではなく青色申告決算書を確認してください。

このページで分かること

  • 自分に収支内訳書が必要かどうか
  • 一般用・農業所得用・不動産所得用のどれを使うか
  • 作成前にそろえる帳簿・資料
  • どの順番で売上・仕入・棚卸・経費等を集計するか
  • 一般用収支内訳書へどう反映するか
  • 作成後に何を照合するか
  • 確定申告書へどうつなげるか

対象読者

この記事は、主に次の人を対象としています。

  • 営業等の事業所得があり、青色申告者ではない人
  • 農業所得があり、青色申告者ではない人
  • 不動産所得があり、青色申告者ではない人
  • 業務に係る雑所得があり、前々年のその収入金額が1,000万円を超え、確定申告書を提出する人
  • 初めて白色申告の決算書類を作る人
  • 帳簿は付けているが、収支内訳書への集計・転記方法が分からない人

次の人は、この記事の主な対象ではありません。

  • 青色申告決算書を作成する人
  • 法人
  • 給与所得・公的年金等だけで収支内訳書を必要としない人
  • 所得区分そのものの個別判定だけを知りたい人
  • 消費税申告・インボイス制度を詳しく知りたい人
  • 電子帳簿保存法の詳細を知りたい人

更新日

更新日:2026年10月4日

この前に確認する

収支内訳書の作成に入る前に、次の3点を確認してください。この判断を誤ると、作成する書類そのものが変わります。

青色申告かどうか

青色申告の承認を受けている人は、収支内訳書ではなく青色申告決算書を作成します。この記事は、青色申告者ではない人を対象としています。

所得区分

営業等の事業所得、農業所得、不動産所得、業務に係る雑所得のうちどれに当たるかによって、使用する様式や添付の要否が変わります。事業所得か業務に係る雑所得かの判断が自分でできない場合は、収支内訳書を作り始める前に、国税庁の情報や税務署等で所得区分を確認してください。

使用する収支内訳書の種類

所得区分が確認できたら、一般用・農業所得用・不動産所得用のどれを使うかを次の章で判断します。

最初にやること

まず、次の順番で確認してください。

  1. 青色申告か、青色申告以外かを確認する
  2. 所得の種類が営業等・農業・不動産・業務に係る雑所得のどれかを確認する
  3. 業務に係る雑所得の場合は、前々年の収入金額が1,000万円を超えるかを確認する
  4. 使用する様式が一般用・農業所得用・不動産所得用のどれかを判断する
  5. 一般用を使う場合は、この記事の作成手順に沿って進める

農業所得用・不動産所得用を使う場合、様式の選択まではこの記事で判断できますが、各様式の記入欄の詳細は、国税庁の該当する書き方・手引きで確認してください。

状況別


状況 最初の対応


青色申告者 収支内訳書ではなく青色申告決算書を確認する

営業等の事業所得があり、白色申告 一般用の収支内訳書を使い、この記事の作成手順へ進む

農業所得があり、白色申告 農業所得用の収支内訳書を使う

不動産所得があり、白色申告 不動産所得用の収支内訳書を使う

業務に係る雑所得がある 前々年の収入金額が1,000万円を超えるかを確認する

所得区分が自分で判断できない 収支内訳書を作り始めず、国税庁の情報や税務署等で所得区分を確認する

棚卸資産がない業種 棚卸を無理に作らず、該当欄が必要かどうかを確認する

家事関連費がある 使用面積・使用時間等の適切な基準で事業分だけを区分する

減価償却資産がある 減価償却欄を先に計算し、必要経費へ反映する

事業専従者がいる 事業所得があるか、要件を満たすか、控除額を確認する

特殊な事業・組合等 一般化せず、国税庁の手引きや税務署等で必要な様式を確認する

収支内訳書を作成する流れ

一般用収支内訳書は、次の順序で作成すると迷いにくくなります。

  1. 帳簿・請求書・領収書等をそろえる
  2. 売上・その他の収入を集計する
  3. 仕入と期首・期末棚卸高を確認し、売上原価を計算する
  4. 必要経費を科目別に集計する
  5. 家事関連費が含まれる場合は、事業分だけに区分する
  6. 減価償却費を計算する
  7. 事業所得があり、事業専従者控除の対象者がいる場合は控除額を確認する
  8. 収支内訳書の各欄へ記入する
  9. 所得金額を確認する
  10. 帳簿・収支内訳書・確定申告書の数字を照合する

以降の章では、この順序に沿って、それぞれの集計方法を説明します。

作成前に必要なもの

全員がそろえるもの

  • その年分の帳簿
  • 売上・収入を確認できる資料
  • 仕入・経費を確認できる資料
  • 通帳・決済記録等、帳簿との照合に使う資料
  • 使用する年分の収支内訳書、または確定申告書等作成コーナー

該当する場合だけ必要なもの

  • 棚卸表・棚卸記録
  • 減価償却資産の取得価額・取得年月等が分かる資料
  • 家事関連費の按分根拠が分かる資料
  • 給料賃金の内訳
  • 税理士・弁護士等への報酬の内訳
  • 地代家賃・借入金利子等の内訳
  • 事業専従者控除の対象者を確認する情報
  • 消費税の経理処理に関する資料

売上・収入を集計する

その年分の売上・収入金額を集計します。

掛け売りなど、まだ代金を受け取っていない場合でも、その年中に売り上げたものは、原則としてその年分の収入金額に含めます。未入金分を集計から漏らさないよう、年末時点の未収分を確認してください。

事業用の商品を家事のために使った分や、贈与した商品等がある場合は、その分も収入金額へ反映する必要があります。

空箱の売却代金、リベート、課税対象となる助成金等は、「その他の収入」に含まれる場合があります。帳簿上で見落としやすいため、該当するものがないか確認してください。

業務に係る雑所得には、一定の条件を満たす場合の現金主義の特例がありますが、これは事業所得の一般的な収支内訳書作成のルールとは別条件です。両者を混同せず、自分がどちらに当たるかを踏まえて集計してください。

仕入と棚卸から売上原価を計算する

商品や製品を扱う事業で棚卸資産がある場合は、次の式で売上原価を計算します。

期首商品(製品)棚卸高+仕入金額-期末商品(製品)棚卸高=売上原価

期首棚卸高は前年末時点の在庫額、仕入金額はその年の仕入合計額(未払いの仕入分も含める)、期末棚卸高はその年末時点の在庫額です。年末の実地棚卸を行い、棚卸表として記録を残しておくと、集計時の確認がしやすくなります。

サービス業など、そもそも棚卸資産を持たない業種では、この欄を無理に作る必要はありません。自分の事業に棚卸資産があるかどうかを、まず確認してください。

必要経費を科目別に集計する

必要経費は、現行一般用収支内訳書の主要科目に沿って、帳簿から科目別に集計します。

  • 給料賃金
  • 外注工賃
  • 減価償却費
  • 貸倒金
  • 地代家賃
  • 利子割引料
  • 租税公課
  • 荷造運賃
  • 水道光熱費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 接待交際費
  • 損害保険料
  • 修繕費
  • 消耗品費
  • 福利厚生費
  • 雑費
  • 事業内容に応じたその他の経費科目

科目に迷う支出は、支出内容と国税庁の手引きを照らして、内容に合う科目を確認してください。判断できない場合は、無理に科目を決めず、税務署等へ確認します。

所得税、住民税、国民健康保険税、国民年金保険料、一定の延滞税・加算税・罰金等は、事業の租税公課として必要経費にするものではありません。事業の租税公課として扱えるものと、扱えないものを分けて整理してください。

家事関連費を事業分と家事分に分ける

家事上の費用は、必要経費になりません。

店舗兼住宅の家賃、水道光熱費等のように事業と家事の両方に関わる支出(家事関連費)は、使用面積、使用時間等の適切な基準で、事業分と家事分を区分します。

按分の基準に「これなら安全」という一律の数値はありません。自分の事業の使用実態に沿った基準で按分し、その根拠を記録として残しておくと、後で見直す際に確認しやすくなります。

減価償却費を計算する

収支内訳書の「減価償却費の計算」欄を作るために、次の項目を資産ごとに確認します。

  • 取得価額
  • 取得年月
  • 耐用年数
  • 償却率
  • 事業専用割合

個別の資産がどの耐用年数・償却方法に当たるかの最終判定は、この記事では代行しません。判断できない場合は、国税庁の手引きや確定申告書等作成コーナーで確認してください。

取得価額が10万円以上20万円未満の一定の減価償却資産については、一括償却資産として、取得した年以後3年間にわたり、取得価額合計額の3分の1ずつを必要経費にする方法を選択できます。

青色申告者に認められている30万円未満の少額減価償却資産の特例は、白色申告者には適用できません。

事業専従者控除を確認する

白色申告者の営む事業に、生計を一にする配偶者やその他の親族が専ら従事している場合は、要件を満たせば事業専従者控除を受けられることがあります。

農業による所得は事業所得に含まれるため、農業所得用の収支内訳書を使う人も対象になり得ます。不動産所得では、不動産貸付けが事業として行われている場合に事業専従者控除の適用があります。業務に係る雑所得については、この控除の対象として扱いません。

事業専従者控除の対象となる親族は、白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族で、その年の12月31日現在で15歳以上であり、その年を通じて6か月を超える期間、その事業に専ら従事していることなどの要件があります。

控除額は、次の金額を上限とします。

  • 配偶者:最高86万円
  • その他の15歳以上の親族:最高50万円

ただし、これは単純な定額控除ではありません。事業専従者控除前の事業所得等の金額を、専従者の数に1を足した数で割った金額とも比較し、小さい方が実際の控除額になります。上限額と、この計算による金額の両方を確認してください。

白色申告の事業専従者控除は、青色申告者が利用する青色事業専従者給与とは異なる制度です。また、白色申告者の事業専従者となる人は、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。

収支内訳書に記入して所得金額を確認する

ここまでで集計した数字を、収支内訳書の各欄へ記入します。

売上・収入から売上原価と必要経費を差し引き、家事関連費を除外し、減価償却費を反映し、事業専従者控除がある場合はその額を控除して、所得金額を確認します。

記入の際は、各欄の合計額が次の欄・次のページへ正しく引き継がれているかを確認してください。集計段階の数字と、収支内訳書に転記した数字が一致しているかも、あわせて確認します。

確定申告書と数字を照合する

収支内訳書は、確定申告書と一緒に提出する書類です。

確定申告書等作成コーナーを使う場合は、収支内訳書を先に作成すると、確定申告書へ数値を引き継げる流れで案内されます。

書面で作成する場合は、収支内訳書で算出した収入金額・所得金額等を、現行の確定申告書の該当欄と照合してください。氏名・住所等の基本情報が、収支内訳書と確定申告書で一致しているかもあわせて確認します。

期限・いつまでに

収支内訳書自体に、単独の提出期限はありません。収支内訳書は、確定申告書と一緒に提出する書類として扱われます。

2026年10月4日時点では、令和8年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告は、通常の場合、令和9年2月16日から3月15日までです。申告期限は毎年3月15日が原則で、土曜日・日曜日等に当たる場合や、個別に期限延長等がある場合は取扱いが変わることがあります。

対象年分の確定申告期間・提出期限は、公開時点の国税庁の情報で確認してください。

相談先

記事の内容だけでは判断できない場合や、個別の税務判断が必要な場合は、次を確認先として利用できます。

  1. 所轄の税務署
  2. 国税庁が案内する国税相談専用ダイヤル等の相談窓口
  3. 個別の税務判断が必要な場合は、税理士

相談する際は、自分の所得区分、迷っている点、手元にある帳簿・資料の状況を整理しておくと、確認がスムーズになります。

公式リンク

次の国税庁の情報で、最新の様式・記入方法・個別の取扱いを確認できます。

2026年10月4日時点では、一般用の詳細な「書き方」と「白色申告者の決算の手引き」は令和7年分が国税庁の掲載最新版です。令和8年分を作成する場合は、対象年分の資料が公開された時点で最新資料に置き換えて確認してください。

注意点

白色申告でも帳簿は必要です

白色申告者にも、記帳・帳簿等保存制度があります。事業所得、不動産所得または山林所得のある人は、収入・仕入・経費等を帳簿へ記載する必要があります。「白色申告だから帳簿を付けなくてよい」という理解は誤りです。

所得区分は自己判断で決めつけない

士業や委託業務による収入だからといって、それだけで「業務に係る雑所得」と決まるわけではありません。事業所得か業務に係る雑所得かは、個別の判断が必要です。前々年の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超え、確定申告書を提出する場合に、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類の添付が必要になります。

複数の事業がある場合の扱いは一律ではない

同じ所得区分の複数事業を必ず1枚へ合算できるとは限りません。組合事業のように、事業ごとに作成する例外もあります。判断に迷う場合は、国税庁の手引きや税務署等で確認してください。

一括償却資産は3年・3分の1です

取得価額10万円以上20万円未満の一定の減価償却資産を一括償却資産として扱う場合は、取得した年以後3年間、取得価額合計額の3分の1ずつを必要経費にします。「5年間、毎年15%」という計算方法とは異なります。

減価償却の方法は資産や条件によって変わり得ます

現行の一般的な取扱いを一律に当てはめず、取得時期や資産の種類、届出等によって取扱いが変わり得ることを踏まえ、判断できない場合は国税庁の手引きや作成コーナーで確認してください。

家事按分に安全な比率はありません

使用面積・使用時間等の適切な基準で、事業分と家事分を区分してください。「この割合なら税務署が認める」といった一律の基準はありません。

事業専従者控除は対象となる事業と要件を確認します

農業による所得は事業所得に含まれます。不動産所得では、不動産貸付けが事業として行われている場合に事業専従者控除の適用があります。対象となる親族の年齢や従事期間などの要件も確認してください。

事業専従者控除は上限額だけで決まりません

配偶者86万円、その他の親族50万円という上限額と、事業専従者控除前の事業所得等の金額を専従者数に1を足した数で割った金額とを比較し、小さい方が実際の控除額になります。

赤字の扱いは、この記事の範囲を超えます

白色申告の赤字が一般的に翌年以降へ繰り越せるとは、この記事では説明していません。損失の取扱いは所得区分や特例等によって異なるため、収支内訳書の作成に必要な範囲を超える判断は、国税庁の情報や税理士等へ確認してください。

「確定申告書B」という呼び方は前提としていません

この記事では、旧来の様式呼称を固定して案内していません。現行の確定申告書の該当欄へ転記・連携する、という理解で読み進めてください。

提出期限は毎年同じ日と決めつけない

収支内訳書は確定申告書と一緒に提出する書類であり、対象年分の確定申告期間・期限は、公開時点の国税庁の情報で確認してください。

消費税・インボイス制度、電子帳簿保存法は範囲外です

この記事では、消費税の経理処理やインボイス制度、電子帳簿保存法の詳細は扱っていません。該当する人は、必要な注意点だけをこの記事で押さえたうえで、別記事や国税庁の公式情報を確認してください。

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