家族が救急搬送されたときに対応する
概要
家族が救急車で搬送されることになったとき、付き添う人も後から病院へ向かう人も、混乱した状態のまま何をすればよいか判断を迫られます。この記事は、119番通報後、救急隊が到着して搬送が決まった段階、またはすでに家族が搬送された段階から、家族が病院で行動できるようになるまでを案内します。救急隊への情報提供、搬送先の確認、病院へ持って行くものを中心に、優先順位をつけて整理します。119番通報をするかどうかの判断や、応急手当そのものは扱いません。
このページで分かること
- 搬送直後にまず何をすればよいか
- 救急隊に伝えること
- 搬送先が決まったときに確認すること
- 病院へ持って行くもの(優先順位)
- 救急車に同乗できない場合・しない場合の対応
- 病院に着いてからの流れと、医師・看護師からの説明の受け方
- 帰宅になった場合・入院になった場合、それぞれで確認すること
- 困ったときの確認先
対象読者
- 同居・別居を問わず、家族が救急搬送されることになった人
- 救急隊の到着後、家族として情報提供を求められている人
- 救急車に同乗するか、後から搬送先へ向かうか、これから判断する人
- 本人が十分に説明できず、持病・服薬・連絡先などを家族が補う可能性がある人
- 救急搬送後に初めて病院へ向かう人
なお、この記事は家族関係の法的な範囲を厳密に定めるものではありません。実務上、患者の情報を把握し、付き添いや連絡、来院対応を行う近親者等を想定しています。
更新日
更新日:2026年9月15日
まずすること
救急隊がすでにいる場合は、制度の説明より先に、まず次を行います。
救急隊がいるなら、まず本人の持病・服薬・アレルギー・かかりつけ医など、分かる情報を伝えます。搬送先が決まったら病院名を確認し、救急隊の指示に従って「同乗するか」「後から向かうか」を決めます。持ち物をすべてそろえるために、搬送を遅らせないでください。
行動の優先順位は次のとおりです。
- 救急隊の活動を妨げないようにしながら、求められた情報を伝える。
- 搬送先が決まったら、病院名を確認する。
- 救急隊の指示に従い、自分が同乗するか、別の方法で向かうかを確認する。
- すぐに手元で用意できる範囲で、必要なものを持つ。
- 戸締まりや火の元の確認、他の家族への連絡などは、搬送を遅らせない範囲で行う。
準備を完璧に整えてから動く必要はありません。救命と搬送を最優先にしてください。
救急隊に伝えること
救急隊は、氏名や生年月日に加えて、かかりつけ医や服薬などの情報も必要とします。家族が分かる範囲で伝えることに実務上の価値があります。分からないことを推測で埋めず、「分からない」と伝えてかまいません。
| 伝える情報 | 内容・ポイント |
|---|---|
| 本人の氏名、生年月日 | 分かる範囲で正確に伝える |
| いつ・どこで・何が起きたか | 分かる範囲でよい |
| 持病・既往歴 | 家族が把握している範囲で伝える |
| 服用中の薬 | お薬手帳や薬剤情報があれば併せて伝える |
| 薬や食物等のアレルギー | 分かる場合は伝える |
| かかりつけ医・通院先 | 分かる範囲で伝える |
| 最近の受診・手術等で重要と思われること | 判断がつかない場合も分かる範囲で伝える |
| マイナ保険証の有無 | 持っているかどうかを伝える |
| 本人が自分で説明できない場合に家族が把握している情報 | 家族が代わりに伝える |
搬送先が決まったら確認すること
搬送先は、救急隊が傷病者の症状や身体所見、バイタル等を踏まえて受入医療機関へ連絡し、決定します。家族が希望する病院へ必ず搬送されるとは限らず、「近い病院だから搬送先になる」とも限りません。搬送先が決まったら、次を確認します。
- 病院の正式名称
- 所在地(必要な場合)
- 自分が同乗するか、後から向かうか
- 家族が病院へ持参するよう求められたもの
- 他の家族への連絡が必要かどうか
病院が決まる前に、家族の判断だけで移動を始めないようにしてください。
病院へ持って行くもの
持ち物は、優先度で分けて考えます。すべてがそろわなくても病院へ向かってかまいません。
最優先候補
- マイナ保険証、または資格確認書等
- お薬手帳、薬剤情報、実際に服用している薬(安全に持参できる場合)
- 本人の連絡・身元確認に使える情報
- 携帯電話
あれば持つ
- 診察券
- かかりつけ医の情報
- アレルギーや持病が分かる資料
- 眼鏡、補聴器等、本人との意思疎通に必要なもの
- 最低限の現金・決済手段
入院決定後でもよいもの
- 着替え
- 洗面用品
- 長期入院向けの日用品
なお、マイナ救急は2025年10月1日から全国で実施されており、救急隊がマイナ保険証を活用して過去の受診歴や薬剤情報等を確認し、搬送先の選定や処置に役立てる仕組みです。ただし、マイナ保険証がないことが搬送や受診を妨げるわけではありません。また、病院側にも救急時医療情報を閲覧する仕組みがありますが、導入・運用の状況には医療機関ごとの差があり、マイナ保険証があれば必ず同じ情報を閲覧できるとは限りません。
救急車に同乗しない・できない場合
救急車への家族の同乗は、全国一律に保証された権利ではありません。救急隊の指示、患者の状態、車内の活動、安全、地域の運用等に従います。同乗できない場合は、次のように対応します。
- 搬送先を確認してから向かう。
- 自家用車で救急車を追走することを前提にしない。
- 焦って速度超過や信号無視などをしない。
- 運転できる状態でなければ、他の家族、タクシー、公共交通機関等を検討する。
- 家族が救急車と同時に病院へ到着することを、必須の条件と考える必要はありません。
病院に着いたらすること
- 救急受付等で、搬送された本人の家族であることを伝える。
- 求められた本人の情報・医療情報を伝える。
- 持参したマイナ保険証等やお薬手帳を提示する。
- 待機場所・連絡方法を確認する。
- 診療を急かすのではなく、呼ばれるまで待つ必要がある場合があることを理解しておく。
医師・看護師から説明を受けるとき
混乱していても、最低限次の4点を確認できるようにします。
- 現在分かっている状態
- これから行う検査・処置
- 入院か帰宅か、まだ未定か
- 家族が次にすること
メモを取れる場合は取ってください。分からない用語は聞き返してかまいません。医療上の判断は医療者に委ねるものであり、家族が独力で判断する必要はありません。
帰宅になった場合
帰宅になった場合は、次について医療機関の指示を確認します。
- 帰宅後の注意点
- 処方薬
- 再受診の目安
- 次回受診先
- 移動手段
入院になった場合
入院になるかどうかは医療機関が判断します。本記事では、入院が決まった後の具体的な準備までは扱いません。入院が決まった場合は、医療機関からの案内に従って必要な準備を確認してください。
困ったときの確認先
- 現在対応にあたっている救急隊
- 搬送先医療機関の救急受付・案内
- 搬送前の段階で、救急車を呼ぶかどうか迷っている場合に限り、地域で利用できるなら#7119等(本記事が扱う範囲の前段階にあたる相談先です)
チェックリスト
公式リンク
次の公式情報源で、搬送先の決まり方、マイナ救急やマイナ保険証、救急時医療情報閲覧の仕組みについて確認できます。
- 総務省消防庁「救急・救助(レスキュー)に関する質問」:救急車で搬送される医療機関の決まり方を確認できます。
- 総務省消防庁「あなたの命を守る『マイナ救急』」:マイナ保険証を活用した救急業務の仕組みについて確認できます。
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」:マイナ保険証と資格確認書等による資格確認の現行案内を確認できます。
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用対応の医療機関・薬局等についてのお知らせ」:救急時医療情報閲覧機能に対応する医療機関と、実際の運用が医療機関ごとに異なり得ることを確認できます。
- 厚生労働省「オンライン資格確認について」:救急時医療情報閲覧機能の制度・運用資料を確認できます。