アナフィラキシーが疑われるときに対応する
概要
アナフィラキシーは、食べ物や薬、ハチ刺傷などをきっかけに、短時間で全身に急激なアレルギー症状が現れる状態です。命に関わることがあり、皮膚にじんましんなどの症状が出ない場合もあります。「じんましんがないから大丈夫」と判断せず、呼吸や意識の状態など緊急性の高い症状があれば、ためらわずに119番へ通報してください。
このページは、本人または周囲の人にアナフィラキシーが疑われる症状が出たときに、まず何をすべきかを案内するものです。原因を詳しく突き止めることよりも、今どう動くかを優先します。医療従事者向けの詳しい診断・投薬手順は扱いません。
このページで分かること
- 緊急性の高い症状が出たときに、まず119番通報すべきかどうか
- 処方されたエピペンをいつ、どのように使うか
- 救急車を待つ間、どのような姿勢で過ごすべきか
- 反応がなく呼吸がないとき、何をすべきか
- 症状が軽く見えても注意すべき点
- 緊急時と緊急対応後、それぞれの相談先・確認先
対象読者
- 食物、薬、ハチ刺傷などのあと、本人または周囲の人に急なアレルギー症状が出て、アナフィラキシーではないかと疑っている人
- アナフィラキシーの既往があり、処方されたエピペンを携帯している本人または介助者
- 家族・同僚など、周囲の人の急な体調変化に遭遇した人
医療従事者向けの専門的な診断・投薬手順を確認したい方は、このページの対象外です。
更新日
更新日:2026年9月16日
最初にやること
- ぐったりしている、呼吸が苦しそう、意識がもうろうとしているなど、緊急性の高い症状があれば、すぐに119番へ通報してください。
- 本人に処方されたエピペンがあり、使用すべき症状に当てはまる場合は、速やかに使用してください。
- 一人で対応している場合でも、原因を確かめることより、119番通報と必要な応急対応を優先してください。
- 何が原因かをこの時点で詳しく調べようとする必要はありません。
すぐに119番通報する症状
次のような症状が一つでもあれば、様子を見ずに119番へ通報してください。症状の判断に迷うほど強い場合や、急速に悪化している場合も、119番通報を優先してください。
全身の様子
- ぐったりしている、意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が悪い
呼吸・のど
- のどや胸が締め付けられる感じがする、声がかすれる
- 息がしにくい、持続する強い咳、ゼーゼーという呼吸音がある
- 唇や爪が青白い
消化器
- 持続する強い腹痛
- 繰り返し吐き続ける
これらは代表的な症状です。ここに挙げていない症状であっても、急速に悪化している、強い違和感があるなど判断に迷う場合は、119番通報を優先してください。皮膚にじんましんなどの症状が見られない場合でも、アナフィラキシーではないと判断しないでください。
119番へ通報する際は、次を伝えてください。
- アナフィラキシーが疑われること
- 現在の症状
- エピペンを使用したかどうか
エピペンを持っている場合
ここでは、本人に処方されたエピペンを対象とします。他人の処方薬を使用したり、処方されていないアドレナリン製剤を使用したりしないでください。
- 処方時に医師から指示された症状、または上記のような緊急性の高い症状があるときは、速やかにエピペンを使用してください。
- 注射する場所は、太ももの前外側です。
- 衣服の上から使用することもできます。
- 具体的な使用手順は、処方時に受け取った患者向け資料、またはPMDA(医薬品医療機器総合機構)が公開している患者向け情報で確認してください。
エピペンを使用した後も、それだけで対応を終えないでください。使用後は必ず119番へ通報し、救急車で医療機関を受診してください。症状が改善したように見えても、救急要請と受診は省略しないでください。
救急車を待つ間の対応
救急車を待つ間は、次のように過ごしてください。
- 急に立たせたり、歩かせたりしないでください。
- 体位は、基本的に仰向けにします。
- 呼吸が苦しそうな場合は、本人が呼吸しやすい姿勢をとらせてください。
- 意識がないが呼吸がある場合は、体を横向きにする回復体位にしてください。
- 妊娠中の場合は、体の左側を下にして、上半身を少し起こした姿勢を必要に応じてとってください。
衣服がきつい場合は緩めるなど、無理のない範囲で楽な状態を保ちます。原因と思われる食べ物を吐かせるなど、根拠のない対応は行わないでください。
緊急性の高い症状がある場合は、「様子を見てから救急車を呼ぶ」ことはせず、この段階までに119番通報を済ませておいてください。到着までの間も、症状の変化を注意して見ておいてください。
反応がなく、正常な呼吸がない場合
呼びかけへの反応がなく、正常な呼吸をしていない場合は、119番通報・AEDの手配とあわせて、心肺蘇生を行ってください。AEDが近くにある場合は使用してください。
心肺蘇生の詳しい手順は、心肺蘇生とAEDの使い方を確認するで確認してください。
症状が軽く見える場合でも注意すること
アナフィラキシーの症状は急速に変化することがあります。今は軽く見えても、短時間で悪化することがあるため、自己判断で軽症と決めつけないでください。
また、皮膚にじんましんなどの症状が目立たない場合もあります。皮膚症状がないことだけを理由に、アナフィラキシーではないと判断しないでください。
エピペンを使用して症状が一時的に改善した場合も、再び症状が悪化することがあります。改善したように見えても、救急要請・医療機関の受診は省略しないでください。
相談先
緊急性の高い症状がある場合、相談・要請先は119番です。まずは119番へ通報してください。
緊急対応が終わったあとの相談先としては、次のようなところがあります。
- 受診した医療機関
- かかりつけ医
- アレルギー専門の医療機関
緊急時には、これらの相談窓口を探すことよりも、119番通報を優先してください。
公式リンク
- 日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」:定義、症状、重症度、初期対応、体位、エピペン使用後の受診などを確認できます。
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)「エピペン注射液0.15mg/0.3mg」患者向け情報:エピペンの現行の製品情報、使用タイミング、使用方法、安全上の注意を確認できます。
- 厚生労働省掲載「食物アレルギー緊急時対応」資料:緊急性の高い症状、119番通報、エピペン、安静、心肺蘇生への移行について確認できます。
注意点
- 抗ヒスタミン薬などの内服薬は、皮膚症状などを和らげることがありますが、気道の閉塞や血圧低下・ショックを防ぐ・改善するための救命処置の代わりにはなりません。内服薬を探すために、119番通報やエピペンの使用を遅らせないでください。
- 自分で車を運転して受診しないでください。
- 急に立たせたり、歩かせたりしないでください。
- エピペンを使用したあとも、救急対応を続けてください。
- 原因がはっきりしなくても、緊急対応を遅らせないでください。