心肺蘇生を行い、AEDを使用する
概要
目の前で人が倒れている、または突然反応を失った人を見つけたとき、一般市民が行う心肺蘇生とAED(自動体外式除細動器)の使い方を、行う順番に沿って説明します。
制度や医学知識の解説ではなく、その場で「次に何をするか」が分かることを目的にしています。人工呼吸ができない、AEDの操作に自信がない、講習を受けたことがないという場合でも、行動を止めずに進められるよう構成しています。
このページで分かること
- 倒れている人を見つけたら最初に何をするか
- 反応がないときの助けの呼び方
- 119番通報とAEDの手配のしかた
- 呼吸を確認する方法と、判断に迷ったときの行動
- 胸骨圧迫の位置・深さ・テンポ
- 人工呼吸ができない場合の対応
- AEDが届いてから使い始めるまでの手順
- 「ショック不要」と表示されたときにすること
- 子ども・乳児に対応するときに成人と異なる点
- AEDパッドを貼るときに注意すること
- 心肺蘇生をいつまで続けるか
対象読者
- 倒れている人、突然反応を失った人を目の前にしている一般市民
- 心肺蘇生やAEDを習ったことはあるが、手順に自信がない人
- 心肺蘇生やAEDをほとんど知らない人
- 人工呼吸に抵抗や不安がある人
- 成人だけでなく、子どもや乳児への対応に迷う可能性がある人
医療従事者向けの高度な蘇生手順は、この記事の対象に含みません。
更新日
更新日:2026年9月16日
最初にやること
倒れている人、反応がない人を見つけたら、まず周囲の安全を確認してください。
そのうえで、肩をやさしくたたき、大きな声で呼びかけて反応を確認してください。
反応がなければ、大声で応援を呼び、119番通報とAEDの手配をすぐに進めます。
心肺蘇生とAEDの流れ
全体の流れは、次のとおりです。迷ったときは、この順番に戻って確認してください。
- 周囲の安全を確認する
- 反応を確認する
- 119番通報とAEDを依頼する
- 普段どおりの呼吸があるか確認する
- 呼吸がない、または判断に迷うなら胸骨圧迫を始める
- AEDが届いたら、音声・表示の指示に従って使用する
- ショックの有無にかかわらず、直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開する
- 救急隊へ引き継ぐまで、心肺蘇生を継続する
1.周囲の安全を確認する
倒れている人へ近づく前に、まず周囲の安全を確認してください。
危険な状況がないことを確認してから、傷病者に近づきます。
2.反応を確認する
肩をやさしくたたき、大きな声で呼びかけて反応を確認します。
反応がある場合は、傷病者の状態を見ながら必要な対応を行ってください。反応がない場合は、次の行動に進みます。
3.119番通報とAEDを依頼する
反応がなければ、大声で応援を求めます。
周囲に人がいる場合は、次を具体的に依頼してください。
- 119番通報をお願いします
- AEDを持ってきてください
誰もいない場合は、あなた自身がまず119番通報を行い、通信指令員の指示に従ってください。
4.普段どおりの呼吸があるか確認する
胸や腹の動きを見て、普段どおりの呼吸があるかを10秒以内で確認します。
次のいずれかに当てはまる場合も、胸骨圧迫を開始してください。
- 普段どおりの呼吸がない
- 呼吸があるかどうか判断できない
- 判断に迷う
- しゃくりあげるような、途切れ途切れの呼吸がある
迷ったときは、胸骨圧迫を開始することを優先してください。
5.胸骨圧迫を始める
成人の胸骨圧迫は、次の方法で行います。
- 胸の真ん中(胸骨の下半分が目安)に手の付け根を当てる
- その上にもう一方の手を重ねる
- 肘を伸ばし、真上から圧迫する
- 深さの目安は約5cm
- テンポの目安は1分間に100〜120回
- 中断をできるだけ少なくし、絶え間なく続ける
人工呼吸はどうする?
心肺蘇生には、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせる方法があります。
ただし、次のいずれかに当てはまる場合は、胸骨圧迫だけを継続してかまいません。
- 人工呼吸の方法を知らない
- 忘れた
- 自信がない
- 実施できない、またはためらいがある
人工呼吸ができないことを理由に、救命行動全体を止めないでください。胸骨圧迫だけでも、続けることが重要です。
6.AEDが届いたら使用する
AEDは、電気ショックが必要かどうかを機器が自動的に判断します。AEDが届いたら、可能な限り胸骨圧迫の中断を短くしながら、次の順で進めます。
- AEDの電源を入れる
- 音声・画面の指示に従う
- 傷病者の胸を露出する
- パッドの図示に従って素肌へ貼る
- 心電図解析中は、誰も傷病者に触れない
- ショックを指示された場合は、誰も触れていないことを確認する
- ショックボタン式の場合は、指示に従ってボタンを押す
- オートショックAEDの場合は自動的にショックが行われるため、音声の指示に従って傷病者から離れる
- ショックの実施後は、直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開する
機種ごとの細かい操作は、AED本体の音声・表示の指示に従ってください。現場では、119番通信指令員の指示を優先してかまいません。
「ショック不要」と言われた場合
AEDが「ショック不要」と判断した場合でも、そのことだけで終了しないでください。
AEDの音声・表示の指示に従い、普段どおりの呼吸や目的のある動きが認められない場合は、直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開してください。
子ども・乳児の場合
AEDパッドの選び方
- 小学校入学前の子ども(未就学児)には、未就学児用パッド・未就学児用モードがあれば使用してください。
- 未就学児用パッド・モードがない場合は、小学生~大人用パッドを使用してかまいません。
- 小学生以上には、小学生~大人用パッドを使用してください。小学生以上に未就学児用パッド・モードは使用しません。
設置されているAEDには、「小児用パッド/小児用モード」「成人用パッド」という旧表記が残っている場合があります。混乱しないよう、必要に応じて新旧の名称をあわせて確認してください。
胸骨圧迫の深さ
小児・乳児の胸骨圧迫は、胸の厚さのおよそ3分の1が沈む深さを目安にしてください。成人と同じ約5cmを、そのまま当てはめないでください。
詳しい手の使い方は、消防庁の図解・講習等で確認できます。現場では、救命開始を遅らせない範囲で、簡潔に行ってください。
AEDパッドを貼るときの注意
- 胸が濡れている場合は、パッドを貼る部分と周辺を乾いた布等で拭いてください。
- 貼り薬が貼付位置にある場合は、はがして薬剤を拭き取ってください。
- ペースメーカー等の植込み機器による出っ張りがある場合は、その真上を避けて貼ってください。
- パッド同士が接触しないようにしてください。
- 服の上からではなく、素肌へ密着させてください。
パッドを正しく貼るために胸部を露出する必要がある場合でも、救命を優先してください。そのうえで、可能な範囲で、周囲の人に壁を作ってもらう、衣服や布で不要な露出部分を覆うなど、人目への配慮を行ってください。ただし、配慮のためにAEDの使用を遅らせないでください。
いつまで続ける?
心肺蘇生は、次のいずれかまで続けます。
- 救急隊へ引き継ぐまで
- 傷病者に普段どおりの呼吸や目的のある動きが認められるまで
複数の救助者がいる場合は、疲労による圧迫の質低下を避けるため、交代しながら続けてください。
傷病者に普段どおりの呼吸や目的のある動きが戻った場合は、状態を観察しながら、119番通信指令員や到着した救急隊の指示に従ってください。
相談先
救命現場では、119番通信指令員の指示を優先して従ってください。
応急手当の内容についてさらに学びたい場合は、お住まいの地域の消防本部・消防局へご確認ください。
公式リンク
次の公的機関の情報で、心肺蘇生・AEDの詳しい内容を確認できます。
- 総務省消防庁「一般市民向け 応急手当WEB講習」
- 総務省消防庁「応急手当WEB講習」修了テスト・解説
- 総務省消防庁「救急蘇生法の指針2020(市民用)」関連通知
- 厚生労働省「非医療従事者によるAEDの使用について」
- 政府広報オンライン「応急手当の知識と技術」
注意点
- 一般市民がAEDを使用することは認められています。講習を受けていないことは、AEDを使用しない理由にはなりません。
- 人工呼吸ができない、またはためらいがある場合でも、胸骨圧迫だけで心肺蘇生を続けられます。
- AEDが「ショック不要」と判断した場合も、普段どおりの呼吸や目的のある動きが認められなければ、直ちに胸骨圧迫を再開してください。
- 未就学児用パッド・モードがない場合、小学生~大人用パッドを使用してかまいません。逆に、小学生以上に未就学児用パッド・モードは使用しないでください。
- AED解析中とショック実施の指示があったときは、誰も傷病者に触れないようにしてください。