個人事業の廃業届を提出する
概要
個人事業を廃業したときは、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。この届出書は開業時にも使う様式ですが、このページでは事業を廃止した場合の提出に限定して説明します。
現行の提出期限は、廃業した日の属する年分の所得税の確定申告期限までです。
なお、青色申告をしていた場合や消費税の課税事業者であった場合などは、廃業届とは別に確認しておきたい届出があります。詳しくは本文で順に説明します。
このページで分かること
- 廃業届の対象になる人
- 全部廃業と一部廃業の違い
- 現行の提出期限
- 提出前に準備する情報
- e-Tax・持参・郵送の提出方法
- 提出先
- 提出後に確認すること
- 青色申告・消費税・インボイス・給与関係で別に確認する手続
対象読者
このページは、個人事業の廃業届を初めて提出する人を中心に案内します。
更新日
更新日:2026年10月3日
最初に確認すること
廃業届には「廃業後1か月以内」という情報がインターネット上に残っていますが、現行の国税庁の専用手続ページ・廃業時の案内・記載要領では、提出期限は廃業した日の属する年分の所得税の確定申告期限までとされています。まずはこの現行期限で判断してください。
また、消費税の課税事業者が提出する事業廃止届出書などは、廃業届と同じ期限ではなく、事由が生じた場合に速やかに提出する扱いです。廃業届だけを見て他の届出を後回しにしないよう注意してください。
個人事業の廃業届とは
正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業などを開始、廃止した場合に使う様式で、開業のほか、事務所等の新設・移転・廃止の際にも同じ様式を用います。
このページでは、このうち「事業を廃止した場合」の提出に限定して説明します。
廃業届を提出する人
国税庁が示す対象者の定義に該当する人が、廃業届の提出対象になります。事業所得を生ずべき事業のほか、不動産所得や山林所得に関する事業の廃止も対象になり得るため、自分がどの所得区分に該当するかは、現行の様式・記載要領で確認してください。
全部廃業と一部廃業を確認する
事業所得を生ずべき事業を2以上行っている場合、廃業届では次のいずれかを選びます。
- 全部:行っているすべての事業を廃止する場合
- 一部:一部の事業だけを廃止する場合。この場合は、廃止する事業を廃業届に簡記します
一つの仕事をやめたからといって、必ず「全部」に該当するとは限りません。複数の事業を営んでいる場合は、全部廃業か一部廃業かを廃業届の提出前に確認してください。
期限・いつまでに
個人事業の廃業届は、廃業した日の属する年分の所得税の確定申告期限までに提出します。
提出期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は、翌日が期限になります。
廃業届とは別に早めに確認する手続
廃業届のほかに、状況に応じて次の届出や確認が必要になる場合があります。廃業届を提出したからといって、これらが自動的に済むわけではありません。
- 青色申告をしていた場合の「所得税の青色申告の取りやめ届出書」
- 消費税の課税事業者が確認する事業廃止届出書等
- 適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)が確認する関係手続
- 給与を支払っていた場合の給与支払事務・源泉所得税関係の手続
- 地方税・社会保険・労働保険・許認可等、国税以外の廃止手続
それぞれの詳しい確認事項は、このページの後段と「状況別」で案内します。
提出前に準備する情報・もの
廃業届の提出方法にかかわらず、共通して次の情報を確認しておきます。
- 廃業日
- 納税地
- 廃業した事業に係る所得の種類
- 全部廃業か一部廃業か
- 事業の概要
- 青色申告取りやめ届出書・消費税関係届出等、関連届出の提出有無
- 給与等の支払状況
このほか、提出方法によって次を確認します。
- 書面で提出する場合:個人番号(マイナンバー)を記載して提出するときの本人確認書類
- e-Taxで提出する場合:利用できる時間帯や利用者識別番号などの利用環境。詳しくはe-Taxの公式案内で確認してください
廃業届に記載する主な内容
現行の様式では、主に次の内容を記載します。
- 納税地
- 氏名・生年月日
- 個人番号
- 職業・屋号(該当する場合)
- 届出の区分(廃業)
- 廃業日
- 廃業した事業に係る所得の種類
- 全部廃業か一部廃業か、一部廃業の場合の廃止事業
- 法人成りに伴う廃業の場合は、設立した法人の名称・代表者名・納税地・設立登記日等
- 青色申告取りやめ届出書の提出有無
- 消費税関係の事業廃止届出書等の提出有無
- 給与等の支払状況
- その他参考事項
全欄をここで転載するのではなく、実際の記載は現行の様式および記載要領に従ってください。
提出方法を選ぶ
廃業届は、次の3つの方法で提出できます。
提出方法 自宅で完結できるか 本人確認の扱い 受付・提出記録の確認方法 時間・郵送等の制約
e-Tax できる 本人確認書類の提示・写しの添付は不要 送信結果・受信通知等で確認する 利用可能時間はe-Taxの公式案内で確認する
税務署へ持参 できない(税務署へ行く必要がある) マイナンバーを記載する場合、本人確認書類の提示または写しの添付が必要 自分で控えを作成・保有し、提出年月日を記録する 開庁時間や時間外収受箱の扱いを事前に確認する
郵送 できる(発送のみ自宅から) マイナンバーを記載する場合、本人確認書類の写しの添付が必要 自分で控えを作成・保有し、提出年月日を記録する 郵便・信書便では通信日付印の日が提出日になる。実際の郵送先は所轄税務署の所在地案内で確認する
以下では、それぞれの方法での進め方を説明します。
e-Taxで提出する
e-Taxでの提出は、税務署へ行く時間を取りにくい人や、オンラインで手続を完結させたい人に向いています。
事前準備として、e-Taxを利用できる環境と利用者識別番号等を用意します。具体的な操作方法や利用可能時間は、e-Taxの公式案内で確認してください。
e-Taxで送信する場合、本人確認書類の提示や写しの添付は必要ありません。
提出が完了したかどうかは、送信結果や受信通知等で確認します。
税務署へ持参して提出する
税務署へ持参する方法は、その場で提出を終えたい人や、対面で確認しながら提出したい人に向いています。
事前に廃業届を作成し、マイナンバーを記載して提出する場合は、本人確認書類を用意します。
税務署の窓口へ持参して提出します。開庁時間外に提出する場合の時間外収受箱の扱いは、所轄の税務署に確認してください。
書面提出では、提出したことを自分で確認できるよう、提出前に控えを作成し、提出年月日を自分で記録しておきます。
郵送で提出する
郵送は、税務署へ行く時間を取りにくいが、e-Taxの利用環境が整っていない人に向いています。
事前に廃業届を作成し、マイナンバーを記載して提出する場合は、本人確認書類の写しを添付します。
提出先は納税地を所轄する税務署長です。書面を郵送する場合の実際の送付先は、所轄税務署の所在地案内で確認してください。内部事務のセンター化の対象となっている税務署では、指定された業務センターが郵送先となる場合があります。
郵送でも、提出したことを自分で確認できるよう、提出前に控えを作成し、提出年月日を自分で記録しておきます。郵便または信書便で送付する場合は、通信日付印により表示された日が提出日になります。期限内の日付になるよう、余裕をもって送付してください。
提出先
廃業届の提出先は、納税地を所轄する税務署です。
個別の税務署の所在地・連絡先に加え、書面を郵送する場合の送付先も、国税庁の税務署検索・所在地案内で確認してください。内部事務のセンター化の対象署では、郵送先として業務センターが案内される場合があります。
提出後に確認すること
提出方法によって、提出後に確認する内容が異なります。
- e-Taxで提出した場合:送信結果や受信通知等で受付情報を確認します
- 書面で提出した場合:自分で作成した控えと提出年月日を保管します
2025年1月以降、書面提出の控えへ収受日付印を押してもらうことは、標準的な手順として前提にできません。控えの確認方法については、公開時点の国税庁の現行案内を確認してください。
あわせて、青色申告取りやめ届出書や消費税関係の届出など、廃業届とは別に必要な手続が残っていないかも確認してください。
青色申告をしていた場合
青色申告の承認を受けていた人が青色申告を取りやめる場合は、廃業届とは別に「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出します。
提出期限は、青色申告を取りやめようとする年分の所得税の確定申告期限までです。
具体的な記載方法は本ページでは扱いません。国税庁の現行案内で確認してください。
消費税・インボイスを確認する場合
消費税の課税事業者や適格請求書発行事業者に該当する場合は、次を確認します。
- 消費税の課税事業者である場合、「事業廃止届出書」等の消費税関係の届出を確認する
- 事業廃止届出書は、事由が生じた場合に速やかに提出する扱いであり、廃業届と同じ期限ではない
- 適格請求書発行事業者が事業廃止に伴って登録を終了する場合は、「登録の取消しを求める旨の届出書」ではなく、事業廃止届出書を確認する
- 消費税の課税事業者は、廃業した日の属する課税期間について消費税の申告が必要になる
- 廃業に伴い事業用資産を家事用へ転用した場合などは、みなし譲渡が問題になることがあるため、具体的な取扱いは国税庁の現行案内で確認する
具体的な申告額やみなし譲渡額の計算は、本ページでは扱いません。
給与を支払っていた場合
家族や従業員へ給与を支払っており、廃業に伴って給与等の支払事務を終了する場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を確認します。
「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を別途提出する場合の提出期限は、給与支払事務所等を廃止した事実があった日から1か月以内です。
ただし、個人事業者については、個人事業の開業・廃業等届出書に給与等の支払の状況を記載して提出した場合、この届出書を別途提出しなくてよい取扱いがあります。 国税庁の現行案内で令和8年1月1日以後の例外とされているのは「開業した場合」であり、廃業を一律に例外扱いするものではありません。
そのため、給与を支払っていた個人事業者が廃業する場合は、まず個人事業の開業・廃業等届出書に給与等の支払状況を記載して提出するかを確認し、それで省略できない場合に、この届出書を1か月以内に別途提出する必要があるかを確認してください。
また、給与支払事務を別の事務所等へ引き継ぐ場合は、その引継ぎを含めて現行の記載要領を確認します。
この届出書を提出しても、廃止前までの源泉所得税の納付、年末調整、源泉徴収票、法定調書等が自動的に完了するわけではありません。次を確認してください。
- 給与支払事務を終了した日
- 事務を引き継ぐ先があるか
- 「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を1か月以内に提出する必要があるか
- 源泉所得税の納付や年末調整、源泉徴収票、法定調書等の残務があるか
状況別
自分がどの状況に近いかを確認し、必要な対応を判断してください。
- 事業をすべてやめる:全部廃業として廃業届を提出します
- 複数事業の一部だけやめる:一部廃業として、廃止する事業を廃業届に簡記します
- 青色申告をしていた:廃業届とは別に、青色申告の取りやめ届出書を確認します
- 消費税の課税事業者である:事業廃止届出書等の消費税関係の届出を確認します
- インボイス発行事業者である:事業廃止届出書を含む消費税関係の手続を確認します
- 家族・従業員へ給与を支払っていた:給与支払事務・源泉所得税関係の手続を確認します
- 法人化するため個人事業を廃業する:個人事業の廃業届の提出は本ページの対象です。法人設立側の手続は本ページの対象外のため、別途確認してください
- 地方税等の廃業手続も確認したい:国税の廃業届とは別制度のため、都道府県税事務所・市区町村・年金事務所・労働基準監督署等、所管する機関ごとに確認してください
- 廃業後しばらく経っている:現行の期限を基準に確認し、期限を過ぎた場合の扱いを自己判断せず、税務署に確認してください
- 事業主が死亡した:通常の本人による廃業とは扱いが異なります。相続人による届出や準確定申告等が関係するため、本ページでは扱いません。公式情報で確認してください
- 廃業ではなく休止のつもりである:休業を廃業届の提出と同一に扱わないでください。何を廃止した事実として届け出るか判断できない場合は、税務署等に確認してください
相談先
- 納税地を所轄する税務署
- 国税に関する相談窓口
地方税、社会保険、労働保険、許認可に関する手続は、それぞれの所管機関に確認してください。
公式リンク
- 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
- 国税庁「廃業する場合」
- 国税庁「A1-9 所得税の青色申告の取りやめ手続」
- 国税庁「No.6603 個人事業者が事業を廃止した場合」
- 国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
- e-Tax
- 国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」
- 国税庁「税務署の内部事務のセンター化について」
- 国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」
注意点
- 「廃業後1か月以内」という情報を、現行の提出期限として使用しないでください
- 廃業届と消費税の事業廃止届出書等では、期限の扱いが異なります
- 廃業届を提出しても、青色申告の取りやめ、消費税・インボイス関係、給与関係、廃業年の確定申告などがすべて自動的に完了するわけではありません
- 青色申告の取りやめやインボイス関係の別届出は、状況によって必要かどうかが異なります。給与を支払っていた個人事業者が廃業する場合は、個人事業の開業・廃業等届出書に給与等の支払状況を記載することで給与支払事務所等の届出を省略できる取扱いがあるため、記載内容を確認したうえで別途提出の要否を判断してください
- 2025年1月以降、書面提出で収受日付印付きの控えをもらうことを前提にしないでください
- 地方税・社会保険・労働保険・許認可の手続は、地域や状況によって異なるため、全国一律のものとして扱わないでください
- 廃業した年分の所得税の確定申告は、廃業届の提出とは別に必要です