離婚したときに必要な手続きを確認する
概要
離婚が成立すると、氏や戸籍、住所、健康保険、年金など、複数の手続きの確認が必要になることがあります。ただし、これらの手続きは全員に一律に発生するわけではなく、婚姻中に氏を変更していたか、子どもがいるか、どのような健康保険・年金に加入していたかなど、個々の状況によって必要な手続きが異なります。
この記事は、日本国内で離婚が成立した人を対象に、離婚後に必要となり得る主要な手続きを、期限の有無・自分に該当する条件・確認先の3つの観点から整理し、まず何を確認すべきかを判断できる状態まで案内します。離婚前の協議・調停・訴訟の進め方や、離婚原因・慰謝料に関する一般的な解説は、この記事の対象外です。
読者は、期限が短い手続きから順に確認し、氏・住所・健康保険・年金という生活の基盤に関わる手続きを確認したうえで、子どもがいる場合の追加の手続き、財産分与・年金分割の期限、そして証明書や勤務先・金融機関などの名義変更へと進みます。すべての項目が自分に当てはまるとは限らないため、各項目の条件を確認しながら、自分に必要な手続きだけを選び取ることができます。
このページで分かること
- 離婚後の手続きのうち、期限が短く優先して確認すべきもの
- 氏や戸籍について確認すべきこと
- 住所や世帯が変わる場合に確認すべきこと
- 健康保険をどこに切り替えるか確認する方法
- 国民年金の加入区分を確認する方法
- 子どもがいる場合に追加で確認すべき手続き
- 財産分与・年金分割の期限を逃さないための確認事項
- 氏名や住所が変わった場合に確認すべき証明書・登録
- 勤務先や金融機関、契約の名義変更で確認すべきこと
- 自分に必要な手続きを整理するためのチェックリスト
対象読者
- 日本国内で離婚が成立した人
- 離婚が成立した直後で、氏・住所・健康保険・年金・子ども・財産・名義変更のうち、自分に何が必要か分からない人
- 全国共通で確認できる部分と、自治体・勤務先・事業者ごとに確認が必要な部分を切り分けたい人
なお、次に当てはまる人は、この記事の主な対象ではありません。
- まだ離婚が成立しておらず、離婚の方法そのものを知りたい人
- 離婚調停・離婚訴訟の進め方を主な目的としている人
更新日
更新日:2026年9月15日
まず期限が短い手続きを確認する
離婚後の手続きの中には、期限が短く、優先して確認する必要があるものがあります。次のうち、自分に該当するものがないか確認してください。
| 手続き | 期限 | 対象となる人 |
|---|---|---|
| 裁判離婚が成立した後の離婚届 | 原則10日以内 | 判決・調停・審判等によって離婚が成立し、まだ離婚届を提出していない人(起算点は裁判の確定日等、離婚成立の形態によって異なります) |
| 国民健康保険への加入届 | 原則14日以内 | 離婚により国民健康保険の加入資格を取得した人 |
| 離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届) | 離婚の日から3か月以内 | 婚姻で氏を改め、離婚後も婚姻中の氏を引き続き使いたい人 |
| 財産分与の家庭裁判所への申立て | 2026年4月1日以降に離婚した場合は5年、2026年3月31日以前に離婚した場合は2年 | 財産分与を請求したい人 |
| 年金分割の請求 | 2026年4月1日以降に離婚した場合は原則5年、2026年3月31日以前に離婚した場合は原則2年 | 離婚時の厚生年金の分割を受けたい・行いたい人 |
協議離婚がすでに受理されている場合、離婚届の提出はすでに完了しているため、上記の「裁判離婚後の離婚届」は対象外です。
なお、児童手当や児童扶養手当など、子どもに関する手続きにも早めの確認が望ましいものがありますが、全国一律の期限を確認できていないため、この表には含めていません。該当する人は、後述の「子どもがいる場合に確認する手続」で自治体への確認を行ってください。
氏と戸籍を確認する
婚姻によって氏を改めた人は、離婚により婚姻前の氏に戻ります。ただし、離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」を本籍地または所在地の市区町村へ提出すると、婚姻中の氏を引き続き使うことができます。
氏をどちらにするかは、本人の判断に委ねられており、この記事ではどちらかを推奨するものではありません。3か月の期限を過ぎた後に氏を変更する場合は、家庭裁判所の氏変更許可など別の手続きが関係することがあるため、まずは期限内に自分の希望を確認することが重要です。
婚姻で氏を変更していない人は、この氏の届出は原則として対象外です。
子どもがいる場合、親が離婚しても、子どもの氏や戸籍が自動的に離婚後の親の戸籍へ移るとは限りません。子どもの氏を変更し、親の戸籍へ移す場合は、原則として家庭裁判所の「子の氏の変更許可」を経て、市区町村へ入籍届を行う必要があります。子どもの氏・戸籍に関する具体的な手続きの分岐は、後述の「子どもがいる場合に確認する手続」で確認してください。
住所・世帯が変わる場合の手続きを確認する
離婚そのものと、住所変更・世帯変更は別の手続きです。離婚に伴って引っ越しをする場合は、住民登録に関する手続きが必要になりますが、住所や世帯に変更がない場合は、これらの手続きは原則として対象外です。
具体的な期限や必要書類は、転居・転出・転入の状況によって異なるため、住民異動に関する個別の手続き案内または居住地の市区町村で確認してください。
健康保険を切り替える
離婚により元配偶者の健康保険の被扶養者でなくなった場合は、別の医療保険へ切り替える必要があります。切り替え先は、主に次のいずれかになります。
- 自分の勤務先の健康保険に加入する
- 家族など、他の人の健康保険の被扶養者になる
- 国民健康保険に加入する
離婚をしたからといって、全員が国民健康保険に加入するわけではありません。自分がどの区分に当てはまるかを確認してください。
国民健康保険の加入資格を取得した場合、市区町村国保では原則14日以内に届出が必要です。資格喪失証明書など、加入に必要な具体的な書類は保険者や自治体によって異なるため、加入手続きを行う市区町村で確認してください。
年金の加入区分を確認する
離婚により国民年金第3号被保険者でなくなった場合、その後の勤務状況に応じて、国民年金第1号被保険者または第2号被保険者に区分が変わります。
- 厚生年金に加入して働いている場合は、第2号被保険者として扱われます。
- 元配偶者の扶養として国民年金第3号被保険者だった場合で、厚生年金に加入していないときは、第1号被保険者への切り替えが必要になることがあります。
- その他の状況に該当する場合は、加入区分の変更が必要かどうかを確認してください。
離婚をしたからといって、全員が国民年金第1号被保険者になるわけではありません。第1号被保険者への変更が必要な場合は、住所地の市区町村等で加入手続きを行います。元配偶者の扶養に入っていた人は、特に優先して確認してください。
子どもがいる場合に確認する手続
子どもがいる場合は、次の手続きについても確認が必要になることがあります。子どもがいない場合、この項目は対象外です。
親権の形態を確認する
2026年4月1日から、離婚後の親権は単独親権だけでなく、共同親権も選択肢となりました。ただし、共同親権だからといって、行政手続で常に父母双方の署名・押印が必要になるとは限りません。各手続きごとに要件が異なるため、共同親権であることを理由に一律に対応を決めつけず、手続きごとに要件を確認してください。
子の氏・戸籍を確認する
子どもの氏や戸籍は、親の離婚に伴って自動的に希望する親の戸籍へ移るものではありません。子どもの氏を変更し、親の戸籍へ移したい場合は、原則として家庭裁判所の「子の氏の変更許可」を経て、市区町村へ入籍届を行う必要があります。
2026年4月1日の制度改正後は、15歳未満の子どもの氏変更において、共同親権か単独親権かなどにより申立ての方法が分かれる場合があります。具体的な申立て方法は、裁判所の公式案内で確認してください。
児童手当の受給者を確認する
離婚後、父母が別居し、生計を同じくしていない場合は、子どもと同居している人が児童手当の受給者となり得ます。受給者が変わる場合などは、市区町村での手続きが必要です。
離婚しただけで自動的に受給者が変更されるわけではないため、現在の受給者、子どもとの同居状況、生計の関係を確認してください。
児童扶養手当の対象を確認する
離婚し、子どもをひとりで育てる場合、所得等の要件を満たせば児童扶養手当の対象となる可能性があります。受給できるかどうかはこの記事では判断できないため、対象となる可能性がある人は、必要書類や所得判定の最新の案内を市区町村で確認してください。
養育費の取決めを確認する
2026年4月1日以降に離婚し、離婚時に養育費の取決めがない場合は、一定の条件のもとで法定養育費制度が関係することがあります。法定養育費は暫定的・補充的な制度であり、父母の話し合いや家庭裁判所の手続きで適正な額を取り決めることが重要とされています。まずは養育費の取決めがあるかどうかを確認し、取決めがない場合は制度の内容を確認してください。
学校・保育・医療助成等を確認する
学校、保育施設、ひとり親向けの医療費助成など、自治体や施設ごとに条件・手続きが異なる事項については、この記事では扱いません。該当する場合は、居住地の自治体または利用している施設に直接確認してください。
財産分与と年金分割の期限を確認する
財産分与と年金分割は、離婚時に自動的に行われる手続きではありません。割合や対象が決まっていても、実際に請求や申立てを行わなければ、分与・分割は成立しません。
財産分与
家庭裁判所へ財産分与を申し立てられる期間は、2026年4月1日以降に離婚した場合は離婚から5年、2026年3月31日以前に離婚した場合は2年です。分与額や対象財産の具体的な判断は、この記事では扱いません。
年金分割
離婚時の年金分割の請求期限は、2026年4月1日以降に離婚した場合は原則、離婚日の翌日から5年です。2026年3月31日以前に離婚した場合は原則2年です。年金分割には合意分割・3号分割があります。分割の按分割合の具体的な判断は、この記事では扱いません。
いずれも、2026年4月1日という制度改正の境界日をまたぐと期限が異なるため、自分の離婚がどちらの期間に該当するかを確認してください。
氏名・住所が変わった証明書や登録を変更する
離婚と、住所変更・氏名変更は別の事実であり、離婚届を提出しただけで、住所や各種証明書の記載が自動的に変更されるわけではありません。氏名や住所が変わった場合に確認が必要になり得る証明書・登録には、次のようなものがあります。
- マイナンバーカードの氏名・住所の変更
- 運転免許証の記載事項の変更
- パスポートの記載事項の変更・申請区分の確認
氏名・住所に変更がない場合、これらの手続きは対象外です。変更があった証明書・登録だけを確認してください。具体的な必要書類や手続き方法は、それぞれの発行機関の案内で確認してください。
勤務先・銀行・保険・契約の名義などを確認する
氏名、住所、扶養関係、給与振込口座、緊急連絡先、保険金の受取人などが変わる場合、勤務先や金融機関、保険会社、通信会社、公共料金の契約先などで、変更の手続きが必要になることがあります。
確認先の例:
- 勤務先:健康保険・扶養関係、氏名・住所・給与振込口座・緊急連絡先の変更
- 金融機関:口座名義、届出印、住所等の変更
- 保険会社:契約者・被保険者・受取人の氏名や住所の変更
- 通信会社・公共料金等の契約先:契約者名義や請求先住所の変更
変更が必要な書類や手続き方法は、事業者ごとに異なります。この記事では個々の事業者の必要書類までは特定しないため、該当する契約先に直接確認してください。
手続チェックリスト
自分に必要な手続きを確認するためのチェックリストです。該当しない項目は、そのままで問題ありません。
相談先
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| 離婚届の提出、住民異動、戸籍関係の届出 | 本籍地または居住地の市区町村役場 |
| 国民健康保険の加入・健康保険の切り替え | 居住地の市区町村(国民健康保険担当)、勤務先の健康保険担当窓口 |
| 国民年金の加入区分変更 | 居住地の市区町村、年金事務所 |
| 年金分割の請求 | 年金事務所 |
| 財産分与・子の氏の変更許可等 | 家庭裁判所 |
| 児童手当・児童扶養手当 | 居住地の市区町村 |
| マイナンバーカードの氏名・住所変更 | 居住地の市区町村 |
| 運転免許証の記載事項変更 | 警察署・運転免許センター等 |
| パスポートの記載事項変更 | 旅券窓口(都道府県等) |
| 勤務先・金融機関・保険・通信・公共料金等の名義変更 | 各契約先 |