土砂災害から避難する

概要

大雨が続き、がけ崩れ・土石流・地すべりなどの土砂災害が心配な状況では、制度や災害の仕組みを詳しく理解することよりも、「いま避難する必要があるか」「どこへ逃げるか」を早く判断し、行動へ移すことが優先されます。

この記事は、土砂災害警戒区域等の危険な場所にいる人が、危険が切迫する前に安全な場所へ立退き避難するための判断と行動を案内するものです。避難指示や警戒レベル5、土砂キキクルの最も高い危険度が出るのを待つのではなく、それより前の段階で避難を始めることを中心的なメッセージとしています。

対象は、大雨・土石流・がけ崩れ・地すべりなどが心配な人、自宅や滞在先が土砂災害警戒区域等に含まれるか確認したい人、自治体の避難情報や気象庁の防災気象情報を見て避難すべきか迷っている人です。専門的な砂防・地質の知識は前提としません。

この記事では、危険な場所にいるかどうかの確認方法、雨が降り出してから確認する情報、避難を始めるタイミング、避難先の考え方、避難の際の注意点、すでに外へ出ることが危険になった場合の対応、避難後の過ごし方までを扱います。がけ崩れなどの発生メカニズムの詳しい解説や、大雨・洪水全般の避難判断は、この記事の主な対象ではありません。

このページで分かること

  • 自分が土砂災害の危険な場所にいるかどうかの確認方法
  • 雨が降り出してから確認するべき情報とその役割
  • 避難を始めるべきタイミングの目安
  • 土砂キキクルの色ごとの意味と行動
  • 避難先として考えられる場所と、その安全性の確認方法
  • 避難するときに気をつけること
  • 斜面や渓流の異変に気づいたときにとる行動
  • すでに外へ出ることが危険なときの緊急的な対応
  • 避難したあとに確認すること

対象読者

次のいずれかに当てはまる人を主な対象とします。

  • 大雨が続き、がけ崩れ・土石流・地すべりなどが心配な人
  • 自宅・滞在先が土砂災害警戒区域等に含まれるか確認したい人
  • 自治体の避難情報や気象庁の防災気象情報を見て、避難すべきか迷っている人
  • 土砂キキクルで危険度が高まっている地域にいる人
  • 夜間・豪雨・道路冠水などにより、外への避難がかえって危険になっている人
  • 普段と異なる斜面・渓流の状況に気づき、どう行動すべきか判断したい人

専門的な砂防・地質の知識は前提としません。

更新日

更新日:2026年9月7日

最初にやること

次の順番で確認し、行動してください。すべての情報を確認し終えてから避難しようとすると、避難が遅れます。

  1. 自分が崖・急傾斜地・渓流の近くや、土砂災害警戒区域等の危険な場所にいるかを確認する
  2. 自治体の避難情報と、気象庁の土砂災害に関する防災気象情報・土砂キキクルを確認する
  3. 高齢者等は警戒レベル3の段階で、それ以外の人も遅くとも警戒レベル4の段階で、危険な場所から避難する
  4. 自治体から避難指示等が発令されたら、速やかに避難する
  5. 斜面や渓流の異変を感じたら、情報を待たずに避難する
  6. すでに外へ出るほうが危険な状況であれば、その場でできる緊急安全確保に切り替える

自分が危険な場所にいるか確認する

まず、自分がいる場所やこれから向かう場所が、がけ崩れ・土石流・地すべりなどの危険がある場所かどうかを確認します。

自治体が公開しているハザードマップなどで、現在地や自宅などが土砂災害警戒区域等に含まれているかを確認できます。区域に含まれている場合は、危険が高まる前の段階から避難先や避難経路を考えておくことが望まれます。

一方で、ハザードマップ上で区域外とされていることだけを理由に、その場所を絶対に安全だと判断しないでください。区域の指定は、確認できた範囲に基づくものであり、周囲の地形、自治体からの情報、現地で気づく異変なども合わせて考える必要があります。崖や急な斜面、渓流のそばにいる場合は、区域指定の有無だけで安全かどうかを決めつけずに注意してください。

雨が降り出したら確認する情報

雨が降り出したら、次の情報をそれぞれの役割を踏まえて確認します。

  • 自治体の避難情報:市区町村が発令する情報です。警戒レベル3「高齢者等避難」、警戒レベル4「避難指示」、警戒レベル5「緊急安全確保」があり、危険な場所にいる人がとるべき行動の段階を示します。
  • 気象庁の土砂災害に関する防災気象情報:気象庁が発表する情報です。土砂災害注意報(レベル2)、土砂災害警報(レベル3)、土砂災害危険警報(レベル4)、土砂災害特別警報(レベル5)があり、気象状況からみた危険度の高まりを示します。
  • 土砂キキクル:気象庁が提供する、より詳細な地域単位での危険度を示す情報です。次の見出しで詳しく説明します。

自治体の避難情報と気象庁の防災気象情報は、発令する主体が異なる別の情報です。どちらか一方だけを確認し続けるのではなく、両方を確認したうえで、危険な場所にいる場合は避難行動を判断してください。

いつ避難を始めるか

危険な場所にいる場合は、警戒レベル4までに避難を終えることを基本とします。

  • 高齢者等、避難に時間がかかる人は、警戒レベル3「高齢者等避難」の段階で避難を始めてください。
  • それ以外の人も、遅くとも警戒レベル4「避難指示」の段階までに、危険な場所からの避難を終えてください。

土砂キキクルでは、警戒(赤)の段階で高齢者等は遅くとも避難を始め、一般の人も行動を見合わせて準備や自主避難を始めることが望まれます。危険(紫)の段階になった場合は、一般の人も遅くとも危険な場所から避難を始めてください。この段階では、自治体からの避難指示等を待たず、自ら判断して避難することが必要です。

自治体からの避難情報の発令を待ち続けるのではなく、危険度や状況から自ら避難の判断が必要になる場面があります。警戒レベル5「緊急安全確保」は、すでに安全な立退き避難ができなくなっている可能性がある段階であり、必ず発令されるとは限りません。警戒レベル5の発令や、土砂キキクルで最も高い危険度が出ることを、避難を始める目安にしないでください。

土砂キキクルで危険度を確認する

土砂キキクルは、土砂災害発生の危険度の高まりを1km四方の領域ごとに5段階で示す情報で、10分ごとに更新されます。

  • 注意(黄):避難先や避難経路などを確認しておく段階です。
  • 警戒(赤):高齢者等は遅くとも避難を始めてください。一般の人も、行動を見合わせて準備を始めるか、状況によっては自主的に避難を始めることが望まれます。
  • 危険(紫):一般の人も遅くとも危険な場所からの避難を始めてください。自治体からの避難指示等が出ていなくても、自ら判断して避難する段階です。
  • 災害切迫(黒):命に危険が及ぶ災害がすでに切迫しているか、発生している可能性が高い段階です。この段階になるまで避難を待たないでください。

土砂キキクルの色だけで避難の判断を完結させず、自分がいる場所が土砂災害警戒区域等に含まれているかどうかと合わせて考えてください。また、自治体から避難指示等が発令された場合は、土砂キキクルの色にかかわらず速やかに避難行動をとってください。

どこへ避難するか

避難とは、必ずしも指定避難所へ行くことだけを意味しません。目的は、危険な場所から離れることです。

避難先としては、災害に対応した指定緊急避難場所のほか、安全な親戚・知人の家なども含めて考えることができます。土砂災害警戒区域等の外にある安全な場所へ立退き避難することを基本としてください。

どこへ避難する場合も、その避難先や避難経路が土砂災害に対して本当に安全かどうかを、自治体のハザードマップなどで確認してください。避難先の候補が複数ある場合は、それぞれが土砂災害に対して安全な場所かどうかを確認したうえで選んでください。

避難するときに気をつけること

避難する際は、次の点に注意してください。

  • 危険な崖や渓流に近づかない
  • 斜面や渓流の様子を確認するために、あえて危険な場所へ近づかない
  • 危険が高まる前に避難を始め、危険が切迫してから無理な移動をしない

持ち物の準備などの一般的な注意点は、大雨・洪水に関する記事と重複するため、ここでは最小限にとどめます。土砂災害に固有の注意点は、危険な場所や異変が起きやすい場所へ近づかないことです。

斜面や渓流の異変に気づいたとき

斜面や渓流などで、普段と異なる状況に気づいた場合は、その現象が土砂災害の前兆かどうかを自分で判断しようとする必要はありません。

「いつもと違う」「危険を感じる」と思ったら、それだけで直ちに安全な場所へ避難してください。異変の内容を確認したり、写真を撮ったりするために、危険な場所へ近づかないでください。

安全な場所へ移動したあと、必要であれば市区町村などへ連絡してください。

すでに外へ避難することが危険なとき

道路の冠水、暴風、夜間の視界不良、土砂災害がすでに切迫しているなど、遠くの避難先まで移動することがかえって危険な場合は、無理に立退き避難をしないでください。

その場合は、その時点で可能な次善の安全確保として、近隣の堅牢な建物へ移る、または自宅などの中でも崖から少しでも離れた部屋へ移るといった行動をとってください。

これは、通常の早期避難に代わる方法として推奨するものではありません。避難が遅れ、逃げ場を失った切迫した状況における緊急的な対応であり、崖から離れた部屋などへ移ることが絶対に安全というわけではないことに注意してください。避難の基本は、危険が切迫する前の早い段階で、危険な場所から離れることです。

避難したあと

避難したあとは、自治体などが発信する情報を確認し、危険な斜面や渓流の周辺、規制がかかっている区域には、安全が確認されるまで戻らないでください。

避難情報が解除されたことだけをもって、個々の場所が安全になったと判断しないでください。自分がいた場所や自宅周辺の状況については、自治体などの情報で個別に確認してください。

よくある迷い

  • 避難指示がまだ出ていない:避難指示の発令を待ち続けるのではなく、土砂キキクルの危険度や、斜面・渓流の異変から、自ら避難を判断する必要がある場面があります。
  • ハザードマップで区域外だった:区域外であることは、絶対に安全であることを意味しません。周囲の地形や自治体からの情報、異変の有無にも注意してください。
  • 避難所が遠い:指定避難所だけでなく、安全な親戚・知人の家なども避難先の候補になります。ただし、その場所が土砂災害に対して安全かどうかは確認してください。
  • 夜になってしまった:危険になる前の早期避難が基本です。すでに外へ出ることが危険な状況になっている場合は、緊急安全確保への切り替えを検討してください。
  • 土砂キキクルが黒になるまで様子を見たい:黒になるのを待たないでください。危険(紫)が出現した時点では、危険な場所から速やかに避難してください。

チェックリスト

相談先

  • 市区町村の防災担当窓口:避難情報の内容、指定緊急避難場所の開設状況、避難経路の安全性など、地域固有の状況について問い合わせる窓口です。
  • 市区町村の土砂災害・砂防担当窓口:自宅や周辺が土砂災害警戒区域等に含まれるかどうかなど、地域固有の確認を行う窓口です。

公式リンク