個人事業税の申告をする
概要
個人事業税には申告制度があります。
しかし、所得税の確定申告または住民税の申告をした場合、通常は個人事業税の申告書を別に提出する必要はありません。
この記事は、まず「自分は個人事業税の申告書を別途提出する必要があるか」を確認したい方のための記事です。所得税の確定申告または住民税の申告をしている通常ケースを先に切り分け、そのうえで、年の途中で事業を廃止した場合、死亡により事業を廃止した場合、損失などの繰越控除を受けたい場合など、個人事業税の申告書を別途提出する必要・有用性があるケースを判定し、期限、申告先、申告内容、提出方法、提出後の確認までを案内します。
個人事業税という制度そのものの詳しい説明や、課税対象となる業種、税額の計算方法については、この記事では扱いません。制度全体を確認したい場合は、別の記事で案内しています。
このページで分かること
- 個人事業税の申告書を自分が別途提出する必要があるかどうか
- 所得税の確定申告をした場合の扱い
- 住民税の申告をした場合の扱い
- 所得税・住民税どちらの申告もしていない場合の扱い
- 年の途中で事業を廃止した場合の期限と確認事項
- 死亡により事業を廃止した場合の期限と確認事項
- 損失などの繰越控除を受けるために申告が必要・重要となる場合
- 申告期限、申告先、申告前に準備するもの
- 申告書の入手方法・提出方法を確認する手順
- 申告後に確認すること
対象読者
- 個人事業税の申告書を自分で提出する必要があるかどうか分からない人
- 所得税の確定申告を済ませれば個人事業税も終わるのか確認したい人
- 所得税の確定申告義務がない、または住民税の申告との関係を確認したい個人事業者
- 年の途中で事業を廃止した人
- 事業主が死亡し、個人事業税の申告を確認する相続人など
- 損失などの繰越控除を個人事業税で受けるための申告を確認したい人
- 都道府県の個人事業税申告書を提出する必要がある人
更新日
更新日:2026年10月3日
まず結論:個人事業税の申告書は通常は別に出さない
個人事業税には申告制度があります。
所得税の確定申告または住民税の申告をした場合、通常は個人事業税の申告書を別に提出する必要はありません。
ただし、これは「個人事業税について何も確認しなくてよい」という意味ではありません。次の点を必ず確認してください。
- 所得税・住民税の申告書にある事業税関係事項を、必要に応じて記載したか
- 年の途中で事業を廃止していないか
- 死亡により事業を廃止した場合ではないか
- 損失などの繰越控除を翌年度以後に受ける予定がないか
所得税の確定申告または住民税の申告を済ませており、これらにも当てはまらなければ、通常はこの記事での対応は完了です。当てはまる場合や、所得税・住民税のどちらも申告していない場合は、該当する見出しへ進んでください。
まず確認すること
次の項目を、上から順に確認してください。
- 所得税の確定申告書を提出したか
- 個人住民税の申告書を提出したか
- 事業税に関する事項を適切に記載したか
- 年の途中で事業を廃止したか
- 廃止が本人の死亡によるものか
- 損失などの繰越控除を翌年度以後に受ける予定があるか
- 通常年の申告義務が生じる所得水準・対象事業に該当するか
これらの確認結果によって、対応が分かれます。次の見出しから、それぞれの条件に応じた内容を確認してください。
個人事業税の申告が必要か判断する
個人事業税には、制度として申告手続きが定められています。ただし、実際に個人事業税の申告書を別途提出する必要があるかどうかは、所得税・住民税の申告状況や事業の状況によって変わります。
そのうえで、実際に個人事業税の申告書を別途提出する必要があるかどうかは、次の条件によって変わります。
- 所得税の確定申告書を提出したか
- 個人住民税の申告書を提出したか
- 年の途中で事業を廃止したか
- 死亡により事業を廃止したか
- 損失などの繰越控除を受ける予定があるか
以下の見出しで、それぞれの条件に該当する場合の扱いを確認してください。
所得税の確定申告をした場合
所得税の確定申告または住民税の申告をした場合、通常は個人事業税の申告書を別に提出する必要はありません。
別途提出が不要でも、事業税に関する事項の記載が必要になることがあります。所得税の確定申告書には、事業税に関係する事項を記載する欄があります。この欄を必要に応じて記載したかを確認してください。
個人事業税について何も確認しなくてよい、という意味ではありません。次のいずれかに当てはまる場合は、通常年の扱いとは別に確認が必要です。
- 年の途中で事業を廃止した場合
- 死亡により事業を廃止した場合
- 損失などの繰越控除を受ける予定がある場合
これらに当てはまらなければ、所得税の確定申告をしたことにより、個人事業税申告書の別途提出は通常不要です。
住民税の申告をした場合
所得税の確定申告をしておらず、個人住民税の申告をした場合も、通常は個人事業税の申告書を別に提出する必要はありません。
この場合も、住民税の申告書にある事業税に関する事項を、必要に応じて記載したかを確認してください。
所得税の確定申告をした場合と同様に、年の途中で事業を廃止した場合、死亡により事業を廃止した場合、損失などの繰越控除を受ける予定がある場合は、通常年の扱いとは別に確認が必要です。
所得税・住民税の申告をしていない場合
所得税の確定申告書も個人住民税の申告書も提出していない場合は、個人事業税の申告義務がある場合、個人事業税申告書を提出する必要があります。
この場合の申告義務の有無は、通常年の申告義務が生じる所得水準や対象事業に該当するかによって決まります。具体的な対象業種や事業主控除額との関係を含めた申告義務の詳しい判定は、この記事の責任範囲外です。個人事業税の制度全体を解説する記事、または所在地の都道府県の公式情報で確認してください。
申告義務があると分かった場合は、この記事の「申告期限・いつまでに」以降の見出しに沿って、申告先の確認、必要な準備、申告書の入手・提出方法の確認へ進んでください。
年の途中で事業を廃止した場合
年の途中で事業を廃止した場合は、通常年とは別の申告期限があります。
全国共通の法的論点として、事業を廃止した日から1か月以内という申告期限があります。
年途中廃業時の所得税確定申告との関係は、所在地の都道府県の現行案内を確認してください。所得税の確定申告を同じ期間内に行った場合に、個人事業税申告書の別途提出が不要となるかどうかについて、都道府県の公式案内には差があります。東京都主税局は年途中廃業では所得税の確定申告・住民税の申告とは別に個人事業税の申告が必要と案内している一方、埼玉県の個人事業税Q&Aは、廃止日から1か月以内に所得税の確定申告書を提出すれば個人事業税申告書は不要と案内しています。
そのため、この点を全国一律の答えとして案内することはできません。所在地の都道府県の公式情報、または都道府県税事務所などの窓口で、次を確認してください。
- 自分の廃業日
- 廃業日から1か月以内という期限の起算点
- 所得税の確定申告を期限内に行った場合に、個人事業税申告書の別途提出が必要か不要か
死亡により事業を廃止した場合
死亡による事業廃止では、4か月以内という期限を確認します。
この期限は、年の途中で事業を廃止した場合の1か月以内という期限とは異なります。両者を混同しないよう注意してください。
所得税の準確定申告との関係、および個人事業税申告書を別途提出するかどうかは、所在地の都道府県の案内を確認してください。死亡廃業についても、都道府県の公式案内には差があります。
相続人などが手続きを行う場合は、次を確認してください。
- 死亡による事業廃止の日
- 死亡による事業廃止の日から4か月以内という期限の起算点
- 所得税の準確定申告と個人事業税申告書の関係
- 個人事業税申告書を別途提出する必要があるかどうか
損失などの繰越控除を受ける場合
申告義務がない場合でも、損失等の繰越控除を受けるために申告が必要となる場合があります。
翌年度以後に個人事業税の損失などの繰越控除を受ける場合は、損失が生じた年分の申告・記載が重要になります。
対象となり得る主な項目は、次のとおりです。
- 損失の繰越控除
- 被災事業用資産の損失の繰越控除
- 事業用資産の譲渡損失の繰越控除
これらの繰越控除を受けるために必要な具体的な適用要件は、この記事では扱いません。該当する損失の種類と、その種類ごとに必要な申告・記載の内容を、所在地の都道府県で確認してください。
申告期限・いつまでに
個人事業税の申告期限は、申告のケースによって異なります。
| ケース | 期限 |
|---|---|
| 通常年の申告 | 3月15日まで |
| 年の途中で事業を廃止した場合 | 事業を廃止した日から1か月以内 |
| 死亡により事業を廃止した場合 | 死亡による事業廃止の日から4か月以内 |
| 損失などの繰越控除を受ける場合 | 対象年分について所定期限までの申告・必要事項の記載を確認する |
個人事業税の申告期限は確定申告と常に同じとは限りません。それぞれのケースに応じた期限を、上の表で確認してください。
通常年の3月15日という期限について、休日などによる具体的な期限調整は、当該年度・所在地の公式情報で確認してください。
損失などの繰越控除を受ける場合の具体的な適用要件、連続申告要件などは、所在地の都道府県の公式情報で確認してください。
申告先
個人事業税申告書の提出先は、事務所・事業所の所在地を管轄する都道府県側の税務機関です。
個人事業税そのものの申告先は、所得税の申告先である税務署や、住民税の申告先となる市区町村とは異なります。個人事業税は都道府県税であり、都道府県税事務所、都税事務所、府税事務所など、所在地を管轄する都道府県側の税務機関へ申告します。
具体的な機関名・管轄は都道府県ごとに異なるため、所在地の都道府県公式サイトで確認してください。
申告前に準備するもの
個人事業税申告書を提出する前に、次の情報を準備してください。
- 事業所得などの所得に関する情報
- 専従者に関する情報(該当する場合)
- 損失などの繰越控除に関する情報(該当する場合)
- 事業所・事務所の所在地に関する情報
- 廃業日、または死亡による廃業日(該当する場合)
申告書に記載する所得・専従者・損失などの事項の具体的な様式・記載欄は、都道府県ごとの申告書によって異なります。詳細は、次の「申告書に記載する主な内容」および「申告書を入手する」で確認してください。
申告書に記載する主な内容
個人事業税申告書には、一般的に次の内容を記載します。
- 事業の概要、事業所・事務所の所在地
- 所得金額に関する事項
- 専従者に関する事項(該当する場合)
- 損失などの繰越控除に関する事項(該当する場合)
- 廃業日、または死亡による廃業日(該当する場合)
申告書の正式名称・様式は都道府県ごとに異なります。実際に記載する項目・欄の名称は、所在地の都道府県が公開している申告書・記載要領で確認してください。
申告書を入手する
個人事業税申告書は、所在地の都道府県から入手します。
入手方法は、都道府県公式サイトからのダウンロード、都道府県税事務所などの窓口での受け取りなど、都道府県によって異なります。
申告書・添付書類・提出方法は全国共通ではありません。所在地の都道府県公式サイトで、最新版の申告書と入手方法を確認してください。
申告方法を確認する
個人事業税申告書の提出方法は、都道府県によって異なります。
郵送、窓口への持参、電子申告・電子申請の利用可否など、利用できる提出方法は所在地の都道府県で確認してください。
eLTAXで全国一律に同じ方法で提出できるとは限りません。電子的な提出方法を利用したい場合は、所在地の都道府県が対応しているかどうかを個別に確認してください。
添付書類についても、全国共通の一覧はありません。所在地の都道府県公式サイトまたは申告書の記載要領で、必要な添付書類を確認してください。
申告する流れ
個人事業税申告書を提出する一般的な流れは、次のとおりです。
- 自分が申告書を別途提出する必要があるかを確認する
- 該当する申告期限を確認する
- 申告先の都道府県税務機関を確認する
- 申告書を入手する
- 申告前に準備するものを整える
- 申告書に必要事項を記載する
- 添付書類を確認し、そろえる
- 確認した提出方法で申告書を提出する
- 控え・受付記録を保存する
具体的な様式・添付書類・提出方法の詳細は、都道府県ごとに異なるため、この記事では一般的な流れのみを示します。個別の記載方法については、所在地の都道府県の案内に従ってください。
申告後に確認すること
申告後は、申告書の控えや受付記録を保存してください。
個人事業税は、通常、申告時に自分で税額を納付する仕組みではなく、課税される場合は都道府県からの納税通知書につながります。申告と同時に税額を自分で計算して納付するものではない点に注意してください。
申告後、課税対象となる場合は、所在地の都道府県から納税通知書が送付されます。納税通知書を受け取った後の納付方法については、この記事では扱いません。個人事業税の納付に関する記事で案内しています。
開業・廃業などの届出とは別の手続き
個人事業税の申告と、都道府県への開業・廃業などの届出は同じ手続きではありません。
開業届・廃業届を出せば個人事業税の申告も完了する、というものではありません。開業・廃業などの届出と、個人事業税の申告は、それぞれ別の手続きとして確認する必要があります。
年の途中で事業を廃止した場合や、死亡により事業を廃止した場合は、都道府県への開業・廃業などの届出が別途必要となることがあります。この記事では、個人事業税の申告に関する事項を中心に扱っており、都道府県独自の開業・廃業などの届出の詳細は扱いません。該当する場合は、所在地の都道府県で、個人事業税の申告とは別に、開業・廃業などの届出の要否を確認してください。
都道府県ごとに確認すること
この記事で扱った内容のうち、次の事項は都道府県ごとに案内が異なるため、所在地の都道府県で個別に確認してください。
- 自分が個人事業税申告書を別途提出する必要があるか
- 所得税の確定申告・住民税の申告による省略が自分のケースに適用されるか
- 年の途中で事業を廃止した場合、所得税の確定申告との関係で別途提出が必要か
- 死亡により事業を廃止した場合、準確定申告との関係で別途提出が必要か
- 損失などの繰越控除を受けるため、個人事業税側で必要な申告・記載は何か
- 申告期限(休日による調整を含む)
- 申告書の正式名称・最新版の様式
- 申告書の入手方法
- 提出先
- 電子・郵送・窓口など、利用できる提出方法
- 添付書類
- 控え・受付記録の取得方法
- 開業・廃業などの別の届出があるか
確認先は、事務所・事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所・都税事務所・府税事務所など、および所在地の都道府県公式サイトです。
相談先
個人事業税申告書の提出や、申告に関する具体的な確認は、事務所・事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所・都税事務所・府税事務所などへ相談してください。
相談先は、実際に申告書の提出、記載内容の確認、提出方法の確認などを行う窓口です。所在地によって窓口の名称・連絡先が異なるため、この記事では具体的な窓口名は案内していません。所在地の都道府県公式サイトで、管轄する窓口を確認してください。
公式リンク
個人事業税は都道府県税です。自分に適用される具体的な申告書・提出方法・窓口は、所在地の都道府県の現行案内で確認してください。全国共通の法的骨格と、都道府県ごとの案内差を確認する一次情報として、次の公式ページを参照できます。
上記は全国共通の様式・提出窓口ではありません。実際に申告する場合は、事務所・事業所の所在地を管轄する都道府県の公式サイトで、最新版の申告書、提出先、提出方法、添付書類を確認してください。
注意点
- 個人事業税には申告制度があります。所得税の確定申告または住民税の申告をした場合は、通常、個人事業税の申告書を別に提出する必要はありませんが、これは個人事業税の申告制度自体がないという意味ではありません。
- 別途提出が不要な場合でも、所得税・住民税の申告書にある事業税に関する事項の記載が必要になることがあります。
- 年の途中で事業を廃止した場合の1か月以内という期限と、死亡による事業廃止の場合の4か月以内という期限は、それぞれ別の期限です。混同しないよう注意してください。
- 年途中廃業時に所得税の確定申告を期限内に行った場合に、個人事業税申告書の別途提出が必要かどうかは、都道府県によって案内が異なります。全国一律の答えとして扱わず、所在地の都道府県で確認してください。
- 死亡廃業についても、準確定申告との関係や個人事業税申告書の別途提出の要否は、都道府県によって案内が異なります。
- 申告義務がない所得水準であっても、損失などの繰越控除を受けるためには申告・記載が必要となる場合があります。事業主控除額以下だからといって、繰越控除のための申告も一律に不要とは限りません。
- 個人事業税は申告納税方式ではありません。申告と同時に税額を自分で計算して納付するものではなく、課税される場合は都道府県からの納税通知書につながります。
- 申告書の名称・様式・提出方法・添付書類は、所在地の都道府県で確認してください。全国共通ではありません。
- 個人事業税の申告と、都道府県への開業・廃業等の届出は同じ手続きではありません。
よくある間違い
- 個人事業税には申告手続き自体がないと思い込む
- 確定申告をした後は、事業税に関する事項を確認しなくてよいと思い込む
- 所得税の確定申告をしていない場合に、個人事業税も申告不要だと思い込む
- 住民税の申告との関係を確認しない
- 年の途中で事業を廃止した場合でも、翌年3月15日まで待てばよいと思い込む
- 年の途中で事業を廃止した場合、全国どこでも確定申告とは別に必ず申告書が必要だと思い込む
- 逆に、年の途中で事業を廃止した場合でも、全国どこでも確定申告だけで足りると思い込む
- 死亡による廃業の期限を、通常の廃業と同じ1か月だと思い込む
- 準確定申告と個人事業税の申告を同じ手続きだと思い込む
- 赤字であれば申告に意味がないと思い込む
- 事業主控除額以下であれば、繰越控除のための申告も不要だと思い込む
- 損失の種類を区別せずに繰越控除できると思い込む
- 開業届・廃業届を出せば、個人事業税の申告も済んでいると思い込む
- 個人事業税申告書を税務署へ提出しようとする
- 申告書の様式・添付書類が全国共通だと思い込む
- 申告と同時に税額を自分で納めるものだと思い込む
- 控え・受付記録を残さない
- 都道府県の公式情報を確認せず、他地域の案内をそのまま自分のケースに当てはめる
チェックリスト
まとめ
個人事業税には申告制度があります。ただし、所得税の確定申告または住民税の申告をした場合、通常は個人事業税の申告書を別に提出する必要はありません。
一方で、年の途中で事業を廃止した場合、死亡により事業を廃止した場合、損失などの繰越控除を受ける予定がある場合は、通常年とは別に申告を確認する必要があります。これらのケースに該当するかどうか、また都道府県ごとの案内差については、この記事の該当する見出しに沿って確認してください。
判断に迷う点は、事務所・事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所・都税事務所・府税事務所などへ確認してください。