所得税の青色申告の取りやめ届出書を提出する

概要

「所得税の青色申告の取りやめ届出書」は、所得税の青色申告の承認を受けている人が、青色申告書による申告をやめようとする場合に提出する届出書です。所得税法151条に基づく手続で、提出先は納税地を所轄する税務署長です。

青色申告を取りやめると、青色申告特別控除や青色事業専従者給与など、青色申告者に認められている取扱いが使えなくなります。取りやめても、事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき業務を続ける場合は、記帳・帳簿等の保存義務がなくなるわけではありません。提出する前に、何が変わり、何が変わらないのかを確認しておくことが重要です。

このページで分かること

  • この届出書が必要になる場面
  • 提出する前に確認しておくべき影響
  • 何年分から青色申告を取りやめるかの決め方
  • 提出期限と提出先
  • e-Tax・持参・郵送それぞれの提出方法
  • 届出書の主な記載項目
  • 再び青色申告を希望する場合の注意点
  • 事業を廃止する場合につながる関連手続

対象読者

主に次に該当する人を対象としています。

  • 所得税の青色申告の承認を受けている人
  • 事業所得、不動産所得または山林所得について青色申告をしている人
  • 事業等は続けながら、青色申告だけをやめることを検討している人
  • 個人事業等を廃止するため、青色申告もあわせてやめようとしている人
  • 記帳の負担を理由に取りやめを考えているが、本当に届出が必要か確認したい人

次に該当する場合は、このページの対象外です。

  • 法人税の青色申告を取りやめる法人
  • そもそも青色申告の承認を受けていない人
  • 税務署長から青色申告の承認を取り消された人で、その取消処分について調べたい人
  • 青色申告承認申請書をこれから新規に提出したい人
  • 確定申告書そのものの作成・提出方法を知りたい人

更新日

更新日:2026年10月2日

最初に確認すること

届出書の準備を始める前に、次の3点を確認してください。

1. 現在、所得税の青色申告の承認を受けているか

承認を受けていない場合や、受けているかどうか分からない場合は、この届出書を提出する前に、自分の承認状況を確認してください。

2. 事業等を続けるか、廃止するか

事業等を続けながら青色申告だけをやめる場合と、事業等を廃止して青色申告もやめる場合とでは、その後に必要な手続が異なります。廃止する場合は、この届出書に加えて別の届出が必要になります。

3. 取りやめる理由が、記帳の負担を減らしたいだけかどうか

記帳が大変という理由だけで取りやめを検討している場合は、取りやめる前に、青色申告のまま利用できる簡易な記帳方法や控除の要件も確認してください。青色申告をやめること以外にも選択肢がある場合があります。

この届出書を提出する人

この届出書は、青色申告の承認を受けていた人が、青色申告書による所得税の申告を取りやめようとする場合に提出します。

事業等を続ける人だけでなく、事業を廃止する人も対象です。この届出書は廃業した人だけが提出するものではありません。事業を続けながら、記帳方法の見直しなどを理由に青色申告だけをやめる場合にも使用します。

青色申告を取りやめる前に確認すること

青色申告を取りやめると、青色申告者に認められているいくつかの取扱いが利用できなくなります。次の項目について、自分が現在利用しているかを確認してください。

青色申告特別控除

青色申告を取りやめる年分について、青色申告者としての青色申告特別控除を利用できる前提が失われます。控除額や適用可否の詳細は、申告方法や所得区分によって異なるため、このページでは扱いません。

青色事業専従者給与

青色事業専従者給与は青色申告者に認められている制度です。現在この制度を利用している場合は、取りやめによる影響を取りやめ前に確認してください。白色申告の事業専従者控除との違いについて、このページでは詳細な比較は行いません。

貸倒引当金

事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者に認められている貸倒引当金の取扱いを利用している場合は、取りやめによる影響を確認してください。

純損失の繰越し・繰戻し

純損失の繰越し・繰戻しには、青色申告に関係する要件があります。過年度からの繰越損失や当年の損失がある場合、「影響なし」と一律に判断せず、該当する場合は国税庁または税理士等へ確認してください。このページでは個別の税額計算は行いません。

記帳・帳簿の保存義務

青色申告を取りやめても、事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき業務を続ける場合、記帳・帳簿等の保存が不要になるわけではありません。

「白色申告になれば記帳しなくてよい」という理解は誤りです。国税庁は白色申告者についても記帳・帳簿等の保存制度を設けています。取りやめ後も、必要な記帳と帳簿保存を続けてください。

青色申告を取りやめると何が変わるか

ここまでの内容を整理すると、青色申告を取りやめることで生じる主な変化は次のとおりです。

項目 取りやめによる変化
青色申告特別控除 利用できる前提が失われる
青色事業専従者給与 利用している場合は影響を確認する必要がある
貸倒引当金 利用している場合は影響を確認する必要がある
純損失の繰越し・繰戻し 該当する場合は影響を確認する必要がある
記帳・帳簿の保存義務 なくならない(白色申告でも記帳・保存制度がある)

記帳の負担を減らすことだけが目的であれば、青色申告のまま利用できる簡易な記帳方法や、控除要件の見直しも選択肢になります。取りやめること自体が唯一の解決策とは限りません。どの制度を利用し続けるかを整理したうえで判断してください。

期限・いつまでに

提出期限は、青色申告を取りやめようとする年分の所得税の確定申告期限までです。

例えば、2026年分から青色申告を取りやめる場合は、2026年分の所得税の確定申告期限までに提出します。

期限が土曜日・日曜日・祝日等にあたる場合は、その翌日が期限になります。

届出書には、何年分の所得税から青色申告書による申告を取りやめるかを記載します。取りやめる年分と、届出書を提出する年は同じとは限らないため、混同しないよう注意してください。

郵便・信書便で提出する場合の期限判定は、国税庁が示す発信主義の取扱いが基準になります。「税務署に届いた日だけで期限が決まる」わけではありません。詳しくは「郵送する場合」で説明します。

提出先

提出先は、納税地を所轄する税務署長です。

提出方法

提出方法には、e-Tax、税務署への持参、郵送・信書便による送付の3つがあります。それぞれの特徴は次のとおりです。

方法 特徴
e-Tax 利用者識別番号等が必要。送信後は受信通知等の電子的な提出記録を保存する
持参 納税地所轄の税務署へ提出。総合窓口の受付時間は原則9時から15時。受付時間外でも開庁時間内(8時30分から17時)は各種手続を利用可能。時間外収受箱への提出も可能
郵送・信書便 送付先を国税庁の現行案内で確認する。期限判定は発信主義に基づく

いずれの方法でも、令和7年1月以降、書面で提出した場合の控えに収受日付印は原則として押されません。提出したことを自分で記録しておく必要があります。

届出書を準備する

国税庁の現行様式「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を使用します。旧様式や一部の民間記事にある「取りやめ理由」欄などは、現行様式には存在しない場合があります。現行様式に記載欄がない項目を、必須の記入事項として扱わないでください。

準備する前に、次の情報を整理しておくと記入がスムーズです。

  • 納税地を所轄する税務署名
  • 氏名・フリガナ、生年月日、職業、屋号
  • 納税地の住所
  • 青色申告を取りやめる年分

届出書の書き方

現行様式では、最低限次の項目を記入します。

  1. 提出年月日
  2. 提出先の税務署長
  3. 氏名・フリガナ
  4. 生年月日
  5. 職業
  6. 屋号
  7. 納税地の区分
  8. 納税地
  9. 納税地以外の住所地等(該当する場合)
  10. 青色申告を取りやめる年分
  11. その他参考事項
  12. 税理士が作成した場合の税理士欄

「その他参考事項」欄に何を記入すべきかについて、独自のルールはありません。特に案内が必要な事項がある場合に記入する欄です。

e-Taxで提出する場合

所得税関係の申請・届出手続として、e-Taxから提出できます。

  • パソコンからe-Taxソフトを使って作成・提出する方法が、国税庁の現行手続ページで案内されています。
  • 利用者識別番号等、e-Tax利用の前提となる登録が必要です。
  • 送信後は、受信通知等の電子的な提出記録を必ず保存してください。

確認していないWEB版やスマートフォン単独での対応を独自に案内することはできません。「マイナンバーカードさえあれば必ず提出できる」といった単純化もしていません。実際の利用可否や操作方法は、国税庁のe-Tax案内で確認してください。

税務署へ持参する場合

  • 納税地を所轄する税務署へ提出します。
  • 令和8年10月1日から、税務署の総合窓口の受付時間は原則として9時から15時です。
  • 総合窓口の受付時間外でも、開庁時間内(8時30分から17時)に来署した場合は各種手続を利用できますが、国税庁は可能な限り受付時間内の来署を案内しています。
  • 閉庁日(土曜日・日曜日・祝日・年末年始)は、通常の窓口受付を行っていません。
  • 開庁時間外でも、時間外収受箱への投函による提出が可能です。
  • 令和7年1月以降、持参した場合でも、控えに収受日付印が押されることを前提にしないでください。

郵送する場合

  • 書面を送付して提出することもできます。
  • 令和8年7月10日から、全税務署が内部事務のセンター化の対象となりました。書面で申告書・申請書・届出書等を送付する場合は、所轄税務署に対応する業務センターへ郵送します。所轄税務署自体が変わるわけではありません。
  • 実際の郵送先は、国税庁の業務センター案内や所轄税務署の個別ページで確認してください。業務センターへ書面を直接持参することはできません。
  • 郵便・信書便を利用してください。信書を送ることができない配送サービスとは区別する必要があります。
  • 必要であれば、提出前に自分で控えを作成し、提出年月日を記録しておいてください。
  • 期限の判定は、国税庁が示す発信主義の現行案内に従います。「税務署に届いた日だけで提出日が決まる」わけではありません。

提出後に確認すること

  • 提出方法に応じた提出記録(受信通知、自作の控えなど)を保管してください。
  • 届出書を提出しただけでは、その年分の確定申告そのものは完了しません。取りやめる年分の申告方法をあらためて確認してください。
  • 事業を廃止する場合は、次の「事業を廃止する場合」で説明する関連手続を確認してください。

再び青色申告をしたい場合

取りやめ後に再び青色申告を希望する場合は、すぐに元へ戻せるとは限りません。国税庁は、青色申告の承認の取消しの通知を受けた場合や、青色申告の取りやめ届出書を提出した場合について、その日以後1年以内に青色申告承認申請書を提出していないか等を審査基準としています。

近い将来に青色申告へ戻る可能性がある場合は、提出前に、いつから申請できるかを確認してください。

次のような理解は、一次情報が示す範囲を超えた一般化であるため避けてください。

  • 「1年間は絶対に申請できない」
  • 「1年経てば必ず承認される」
  • 「取りやめた翌年から自動的に青色申告へ戻れる」
  • 「取りやめ届出書を撤回すればすぐ戻れる」

事業を廃止する場合

事業を廃止し、青色申告もあわせて取りやめる場合は、次の届出をそれぞれ確認してください。

  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書(このページで扱う届出書)
  • 個人事業の開廃業等届出書

この届出書の提出だけで、廃業に関する手続がすべて完了するわけではありません。

消費税の課税事業者、または課税事業者を選択している人で、廃業する事業のほかに課税売上となる所得がない場合は、消費税の「事業廃止届出書」もあわせて確認してください。詳細は別の手続として扱います。

また、この届出書を提出しても、廃業した年分の所得税の確定申告まで完了するわけではありません。廃業した年の確定申告については、別途確認が必要です。

よくある間違い

  • 青色申告を取りやめれば、記帳が一切不要になると思い込む
  • 記帳が大変という理由だけで、他の青色申告の方法を確認せずに取りやめる
  • 何年分から取りやめるかを決めずに提出する
  • 提出期限を「取りやめを決めた日から○日以内」と誤解する
  • 青色申告特別控除だけを確認し、専従者給与等への影響を見落とす
  • 近いうちに青色申告へ戻る可能性を考えずに提出する
  • 事業を廃止したのに、個人事業の開廃業等届出書を確認しない
  • 消費税の課税事業者等であるのに、消費税側の廃業届出を確認しない
  • e-Tax送信後の受信通知を保存し忘れる
  • 書面で提出すれば、必ず収受日付印付きの控えがもらえると思い込む
  • 郵送方法と提出期限の判定方法を確認しない
  • 届出書を提出すれば、その年分の確定申告まで不要になると思い込む

判断が難しい場合

次のような場合は、このページの結論を独自に断定せず、国税庁や所轄税務署、税理士等へ確認してください。

再び青色申告をしたい可能性がある場合

  • 取りやめ届出書を提出した日
  • 再度青色申告を開始したい年分
  • 青色申告承認申請書を提出しようとする日
  • 過去に青色申告の承認を取り消されたことがあるか
  • 新規開業や相続による事業承継など、特殊な事情の有無

純損失の繰越し・繰戻しがある場合

  • 過年度から繰り越している純損失の有無
  • 取りやめる年分
  • 損失が発生した年分
  • 繰越し・繰戻しの利用状況

青色事業専従者給与を利用している場合

  • 現在、青色事業専従者給与に関する届出を利用しているか
  • 取りやめる年分
  • 専従者への給与の支払時期
  • 取りやめ後の事業専従者控除との関係

事業を廃止し、消費税の扱いも関係する場合

  • 事業を廃止する日
  • 消費税の課税事業者かどうか
  • 課税事業者を選択しているかどうか
  • 廃業する事業以外に課税売上となる所得があるか
  • 適格請求書発行事業者かどうか

公式リンク

チェックリスト

相談先

自分の状況が判断できない場合や、個別の税務上の有利・不利を確認したい場合は、次の窓口へ確認してください。

  • 納税地を所轄する税務署
  • 国税庁の電話相談窓口(国税相談専用ダイヤル等)
  • 税理士等の専門家

このページは、公式の判断や個別の税務相談に代わるものではありません。