被害者参加制度を利用する

概要

被害者参加制度は、一定の刑事事件の被害者や遺族等が、裁判所の許可を受けて刑事裁判に参加できる制度です。

被害者参加制度を利用したい場合は、まず事件を担当している検察官に参加希望を伝えます。検察官から裁判所へ通知され、裁判所が許可した場合に、被害者参加人として刑事裁判へ参加できます。裁判所へ直接申し込む制度ではありません。

この記事では、対象となり得る事件・対象者、申出先、申出から許可までの流れ、参加後にできることの範囲、弁護士の援助に関する制度を確認できます。

このページで分かること

  • 自分の事件が被害者参加制度の対象となり得るか
  • 参加を希望するとき、まず誰に伝えればよいか
  • 参加希望を伝えてから参加できるようになるまでの流れ
  • 参加希望を伝えることができる時期
  • 被害者参加人になるとできる主なこと
  • 弁護士の援助を受けたい場合に確認すること
  • 参加にあたって不安や配慮が必要な場合の確認先

対象読者

  • 起訴された刑事事件の被害者本人
  • 被害者が死亡した場合や心身に重大な故障がある場合の一定の遺族・親族等
  • 被害者参加制度の利用を検討しているが、傍聴や意見陳述との違いが分からない人

更新日

更新日:2026年9月5日

まず確認すること

被害者参加制度を利用できるかどうかは、事件の内容や進行状況、申出をする人の立場によって異なります。次の3点を確認しましょう。

あなたの事件が対象となり得るか

被害者参加制度の対象となり得る事件には、次のようなものがあります。

  • 殺人
  • 傷害
  • 危険運転致死傷
  • 不同意性交等
  • 不同意わいせつ
  • 逮捕・監禁
  • 過失運転致死傷

など、法律で定められた一定の事件が対象です。上記はあくまで代表的な例であり、これらの事件であれば必ず対象になる、あるいはこれら以外の事件は対象にならない、という意味ではありません。自分の事件が対象となり得るかどうかは、事件を担当する検察官に確認してください。

あなたが申出できる立場か

対象となり得るのは、被害者本人のほか、被害者が死亡した場合または心身に重大な故障がある場合の一定の親族等です。

自分がこれに該当するかどうかの個別の判断は、事件を担当する検察官に確認してください。

事件が起訴されているか

被害者参加制度は、刑事裁判への参加を認める制度です。参加希望の申出は、事件が起訴された後から可能とされています。

まだ起訴されているかどうか分からない場合や、起訴前の段階にある場合は、現時点の事件の状況を検察官等に確認してください。

被害者参加制度を利用する流れ

被害者参加制度の利用は、次の順番で進みます。申出をしても自動的に参加できるわけではなく、裁判所の許可を受けて初めて参加人になれます。

1.事件担当の検察官に参加希望を伝える

被害者参加制度の利用を希望する場合は、あらかじめ事件を担当している検察官へ申し出ます。裁判所へ直接申し込む制度ではありません。

2.検察官から裁判所へ通知される

申出を受けた検察官は、被害者等が刑事裁判に参加することについての意見を付して、裁判所へ通知します。

3.裁判所が参加を許可するか判断する

検察官から通知を受けた裁判所が、法定要件その他を踏まえて、参加を許可するかどうかを判断します。申出をした人が全員参加人になれるわけではありません。

4.許可後、被害者参加人として刑事裁判に参加する

裁判所が参加を許可した場合に、被害者参加人として刑事裁判へ参加できるようになります。

いつまでに申し出るか

法テラスの案内では、事件が起訴された後から、上訴または裁判の確定に至るまでの間、参加希望を申し出ることができるとされています。実際にどの期日から参加できるかは事件の進行にも関わるため、参加を希望する場合は早めに事件担当検察官へ伝えてください。

「○日前まで」といった全国共通の固定期限は確認されていません。

被害者参加人になるとできること

裁判所の許可を受けて被害者参加人になった場合、主に次のことができます。ただし、いずれも無条件に自由に行えるものではなく、行為ごとに法律上の要件があります。

公判期日に出席する

原則として、公判期日に出席することができます。

検察官に意見を述べたり説明を求めたりする

検察官の訴訟活動について、意見を述べたり、説明を求めたりすることができます。

一定の場合に証人を尋問する

一定の要件のもと、情状に関する証人の供述の証明力を争うための証人尋問を行うことができます。誰でもどのような証人でも自由に尋問できるわけではなく、要件を満たす場合に限られます。

一定の場合に被告人へ質問する

意見を述べるために必要と認められる場合に、被告人へ質問することができます。自由に質問できるわけではなく、必要性が認められる場合に限られます。

事実や法律の適用について意見を述べる

証拠調べ終了後、事実または法律の適用について意見を述べることができます。この意見は、裁判所の判断を拘束するものではありません。

弁護士に援助を依頼することもできる

被害者参加人は、被害者参加の行為を弁護士へ委託して、援助を受けることができます。

弁護士への委託は可能ですが、制度を利用するために必ず弁護士を付けなければならないわけではありません。

国選被害者参加弁護士を利用できる場合がある

経済的に余裕のない被害者参加人向けに、法テラスを経由して裁判所へ国選被害者参加弁護士の選定を請求できる制度があります。

  • 経済的に余裕のない被害者参加人向けの制度である
  • 法テラスを経由して裁判所へ選定を請求する
  • 資力要件がある(現金・預貯金等の合計額から、犯罪行為を原因として選定請求日から6か月以内に支出すると認められる治療費等を差し引いた額が200万円未満であることなどが案内されています)
  • 詳細は法テラスへ確認する

誰でも無料で利用できる制度ではなく、対象となるかどうかは資力等の要件によります。詳しい手続は、この記事では扱いません。法テラスに確認してください。

必要なもの・確認しておくこと

被害者参加制度そのものの申出について、全国共通で固定された書類一式は確認されていません。次の内容を準備・確認しておくとよいでしょう。

  • 事件を特定できる情報
  • 担当検察官・担当検察庁
  • 参加を希望する意思
  • 自分が被害者本人か遺族等かの別
  • 弁護士に依頼している場合はその情報

検察官から書面等の案内があった場合は、その指示に従ってください。

費用

被害者参加制度への参加申出そのものについて、固定の申出手数料は確認されていません。

弁護士費用については、私選で弁護士に依頼する場合と、国選被害者参加弁護士制度を利用できる場合とで扱いが異なります。

このほか、公判期日等へ出席した被害者参加人に対する被害者参加旅費等の支給制度もありますが、詳細な支給条件・請求方法はこの記事では扱いません。

参加するときに不安や配慮が必要な場合

被害者参加人が公判期日等へ出席する場合、裁判所が被告人や傍聴人との間を遮へいする措置や、適当と認める者の付き添いを認める場合があります。

希望すれば必ず認められるとは限りません。次のような不安がある場合は、早めに検察官・弁護士へ相談してください。

  • 被告人と直接顔を合わせることへの不安
  • 傍聴人から見られることへの不安
  • 付き添いの必要
  • 出廷そのものへの不安

よくある間違い

誤解 正しい整理
裁判所へ直接申し込めばよい まず事件担当検察官へ申し出る
被害者ならどの刑事事件でも参加できる 対象事件・対象者が法律で限定される
申し出れば必ず参加できる 裁判所の許可が必要
参加すれば何でも質問・尋問できる 行為ごとに法律上の要件がある
傍聴と被害者参加は同じ 傍聴とは別の制度
心情意見陳述と被害者参加は同じ 別制度であり、利用できる行為も異なる
国選被害者参加弁護士は誰でも無料で使える 被害者参加人で、資力等の要件がある
弁護士を付けないと参加できない 弁護士への委託は可能だが、制度利用の必須条件ではない

行動前チェックリスト

相談先

中心となる相談先は、事件を担当する検察官・検察庁です。参加の申出、参加後にできる行為、配慮を希望する場合の相談は、まず担当検察官・検察庁へ行ってください。

弁護士の援助を希望する場合は、被害者参加弁護士に相談してください。国選被害者参加弁護士制度等の確認は、法テラスが窓口となります。

固定の電話番号は、この記事では掲載していません。最新の連絡先は公式サイトで確認してください。

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