住民税の徴収猶予を申請する

対象読者

  • 住民税を納期限までに一時に納付することが難しい人
  • 災害・盗難に遭った人、本人または生計を一にする家族が病気・負傷した人
  • 事業を廃止・休止した人、事業に著しい損失が生じた人
  • 納期限が近い人、すでに納期限を過ぎている人、督促状等が届いている人
  • 住民税の減免と徴収猶予の違いが分からない人、徴収猶予と換価の猶予のどちらを相談すべきか分からない人
  • 徴収猶予を申請済みで審査結果を待っている人、許可され分割納付中の人
  • 猶予期間内に完納できそうにない人

更新日

更新日:2026年10月6日

概要

住民税を納期限までに一時に納付することが難しい場合、「徴収猶予」という制度を利用できる可能性があります。徴収猶予は、住民税そのものを減額・免除する制度ではありません。災害や病気、事業の休廃止など一定の事情があり、その事情に基づいて一時に納付することが難しいと認められる場合に、一定期間、徴収を猶予する制度です。

申請すれば必ず認められるわけではなく、自治体の審査があります。また、税額そのものは原則として残るため、許可後は納付計画に従って納付を続け、最終的に完納することが必要です。

放置せず、まずは課税した自治体の納税担当へ早めに相談することが最初の一歩になります。

このページで分かること

  • 徴収猶予がどのような制度か、減免・換価の猶予とどう違うか
  • 徴収猶予を確認すべき主な事情
  • 最初に行うべきこと
  • あなたの現在地に応じた対応
  • 申請の流れと必要なもの
  • 申請時期・期限の考え方
  • 申請後の審査から許可・不許可までの流れ
  • 許可された場合に確認すべきこと
  • 猶予期間内に完納できないときの相談方法
  • 困ったとき・分からないときの対応

最初に確認すること――徴収猶予・減免・換価の猶予の違い

住民税を一時に納付できないとき、検討すべき制度は一つとは限りません。「税額を減らしてほしい」のか、「今は一時に払えないので待ってほしい」のか、「差押財産の売却等を待ってほしい」のかによって、確認すべき制度が異なります。まずはこの違いを整理します。

制度 主な役割 入口となる事情 税額そのもの 読者の次の行動
住民税の減免 税額を減額・免除する可能性を確認する 自治体条例等の減免要件 減る・免除される場合がある 自治体の減免要件を確認して申請する
徴収猶予 一定期間、徴収を猶予する 災害、病気、事業休廃止、著しい損失等+一時納付困難 原則として残る 徴収猶予を申請し、許可後の納付計画に従う
換価の猶予 財産の換価等を猶予する 一時納付で生活維持・事業継続が困難になるおそれ等 原則として残る 自治体へ換価の猶予を相談・申請する

三つの制度は排他的に決まるものではなく、自治体の判断によっては、減免を確認した後の残額について猶予を検討する場合もあります。どの制度を使うべきか自己判断で決めきれない場合は、事情と納付可能額を伝えて自治体の納税担当へ相談してください。

この記事は、このうち徴収猶予を中心に扱います。換価の猶予、住民税の減免の詳しい申請方法は、それぞれ別の制度として自治体へ確認してください。


最初にやること

納税通知書や納付書を手元に用意し、課税した自治体の納税・収納担当へ「住民税の徴収猶予を相談したい」と早めに連絡してください。

申請書を先に書き始めることを最初の行動にする必要はありません。まずは相談です。

相談の際に確認する内容は、次のとおりです。

  • 自分の事情が徴収猶予の対象候補になるか
  • どの税額・納期分を申請するか
  • いつまで・いつまでに相談すべきか
  • どの申請書を使うか
  • どの財産・収支資料が必要か
  • 事情を証明する書類は何か
  • 担保が必要か
  • 申請方法・提出先
  • 申請中の納付・督促等の扱い
  • 徴収猶予以外に確認すべき制度があるか

徴収猶予を利用できる可能性がある主な事情

徴収猶予は、次のような法令上の事情があり、その事情に基づいて住民税を一時に納付することができないと認められる場合に利用できる可能性があります。事情があるだけで自動的に猶予されるわけではなく、一時納付が困難であることの両方が必要です。

主な事情は次の5類型です。

  1. 財産について災害を受け、または盗難に遭った
  2. 本人または生計を一にする親族が病気・負傷した
  3. 事業を廃止・休止した
  4. 事業について著しい損失を受けた
  5. 上記に類する事実があった

これらとは別に、法定納期限から1年を経過した後に税額が確定した場合にも、徴収猶予の対象となることがあります。この類型は、通常の事情による申請とは期限の扱いが異なるため、後述の「期限・いつまでに」で分けて説明します。

「一定の事情があり、その事情に基づいて住民税を一時に納付することが難しい場合に、利用できる可能性があります。」という点が、徴収猶予を検討する際の基本的な考え方です。

次のような単純化した理解は避けてください。

  • 「失業したら必ず徴収猶予」
  • 「病気なら必ず猶予」
  • 「収入が減ったら必ず猶予」
  • 「災害に遭えば税金を払わなくてよい」
  • 「払えないと言えば分割にできる」

実際に対象になるかどうかは、自治体の審査によって判断されます。


状況別

自分の現在地に近いものを確認してください。

A.納期限前で、一時納付が難しい

最優先で自治体へ相談してください。納期限を待ってから動く必要はありません。

B.納期限を過ぎた

「もう申請できない」と自己判断しないでください。徴収猶予の申請時期は理由によって扱いが異なるため、現在利用できる制度を自治体へ確認してください。

C.督促状が届いた

督促を放置せず、徴収猶予を含む納税相談を行ってください。申請中・相談中であっても通知が届く場合の扱いは自治体へ確認してください。

D.災害・盗難が理由

罹災証明書、被害届等、事情を証明する資料が必要になることがあります。自治体が求める証明資料を確認してください。

E.病気・負傷が理由

診断書、医療費領収書等が必要になることがあります。本人だけでなく、生計を一にする親族の病気・負傷も法令上の類型に含まれます。

F.事業の休廃止・著しい損失が理由

廃業届、決算・売上等の資料が必要になることがあります。事業上の損失が単なる売上減少だけで当然に該当するとは限らないため、自治体へ確認してください。

G.減免を受けたい

税額そのものの軽減を求める場合は、「住民税の減免を申請する」の対象になり得ます。どちらを先に確認すべきかは、自治体へ相談して構いません。

H.徴収猶予の事情には当てはまりそうにないが、一時納付すると生活維持が難しい

換価の猶予等の対象になり得るため、別制度を含めて納税担当へ相談してください。

I.徴収猶予を申請済み

申請しただけで許可されたとは扱いません。許可・不許可の通知、許可された期間、納付計画を確認してください。

J.猶予が許可されたが、計画どおり払えない

放置せず、分割納付計画の変更や猶予期間延長が可能か、理由とともに自治体へ早めに相談してください。


申請前に確認すること

申請書を作成する前に、次を整理しておくと相談・申請がスムーズになります。

  • 納税通知書・納付書等で、対象となる税目・年度・納期限・未納額を確認する
  • 一時に納付できない理由・事情を整理する
  • 現在支払える金額と、今後の収入・支出の見込みを整理する
  • 督促・差押え等の通知の有無を確認する
  • すでに行った納付・申請・相談があれば整理する

これらは、後述の「相談先」で窓口へ伝える内容とも重なります。


手続きの流れ

  1. 納税通知書・納付書等で税目、年度、納期限、未納額を確認する
  2. 徴収猶予を相談したい事情を整理する
  3. 課税した自治体の納税・収納担当へ早めに相談する
  4. 対象候補、申請時期、必要書類、提出方法を確認する
  5. 徴収猶予申請書を準備する
  6. 財産・負債・収支状況を示す書類を準備する
  7. 猶予理由を証明する書類を準備する
  8. 必要な場合は担保関係書類を準備する
  9. 申請書と添付書類を提出する
  10. 自治体の審査を待つ
  11. 許可・不許可の通知を確認する
  12. 許可された場合は猶予期間・分割納付計画・延滞金等の扱いを確認する
  13. 指定された計画に従って納付する
  14. 計画どおりの納付が難しくなった場合は早めに相談する
  15. 猶予対象税額を完納したことを確認する

「申請書を提出した」ことで手続きが終わるわけではありません。許可内容を確認し、計画に従って納付し、完納まで確認することが、一連の行動になります。


必要なもの

具体的な書類名・様式は自治体によって異なります。ここでは、必要となる資料の「種類」と「例」を示します。最終的な確認は自治体で行ってください。

基本資料

  • 納税通知書・納付書など、対象税額・年度・納期限が分かるもの
  • 徴収猶予申請書
  • 財産・負債・収入・支出の状況が分かる資料
  • 猶予を希望する金額・期間・納付計画を整理できる情報

猶予理由を証明する資料の例

  • 災害:罹災証明書等
  • 盗難:被害届の写し等
  • 病気・負傷:診断書、医療費領収書等
  • 事業休廃止:廃業届等
  • 事業上の著しい損失:決算書、売上・損失を確認できる資料等

条件により必要となるもの

  • 担保提供に関する書類
  • 自治体が追加で求める資料

「全国どこでもこの書類だけで申請できる」とは限りません。実際に必要な書類は、事情の内容や自治体によって異なるため、相談の際に確認してください。


期限・いつまでに

期限は、猶予理由の種類によって扱いが異なります。

災害・病気・事業休廃止・著しい損失等を理由とする場合

全国共通で「申請期限は◯日以内」と一律に決まっているわけではありません。自治体によっては、法定の固定申請期限を設けず、猶予を必要とする時期より前に、できるだけ早く相談するよう案内しています。

納期限前後を問わず、徴収猶予が必要だと分かった時点で早めに自治体へ相談してください。

法定納期限から1年を経過した後に税額が確定した場合

この場合は、通常の猶予事由とは期限の扱いが異なります。自治体によっては、その税額の納期限までの申請を求めています。

この類型は申請期限の扱いが異なるため、通知を受けたら納期限を確認し、すぐに自治体へ確認してください。

猶予期間

  • 原則として1年以内です。
  • 財産・収支状況等に応じて、必要と認められる期間が決められます。
  • やむを得ない事情があり、所定の要件を満たす場合は、延長が認められることがあります。当初期間と延長を合わせると、最長2年となる場合があります。自動的に2年になるわけではありません。

申請後に起こること

審査

申請書等を提出した後、自治体が要件、納付困難額、財産収支状況等を審査します。申請しただけで納付を止めてよいとは限らないため、申請中の扱いを自治体へ確認してください。

許可

許可された場合は、次を確認してください。

  • 猶予される税額
  • 猶予期間
  • 分割納付等の納付計画
  • 各納付期限・各回の納付額
  • 延滞金の扱い
  • 担保等の条件
  • 許可取消しにつながる条件

一部のみ許可

申請額の全額が猶予されるとは限りません。通知内容と、残る納付義務を確認してください。

不許可・却下

不許可・却下となった場合は、理由を確認してください。納付が困難な状態が続く場合は、換価の猶予等の別制度や納税相談を確認してください。


徴収猶予が認められた場合

徴収猶予が認められた場合でも、原則として税額そのものは残ります。

主な効果は次のとおりです。

  • 猶予された税について、一定期間、徴収が猶予されます
  • 新たな差押え・換価等の滞納処分が猶予される場合があります
  • すでに差押えがある場合、申請により解除される場合があります
  • 猶予期間中の延滞金は、全部または一部が免除される場合があります。
  • 猶予期間中に分割して納付することがあります

次のような理解は避けてください。

  • 「差押えは必ず解除される」
  • 「延滞金は必ずゼロになる」
  • 「申請すれば督促は止まる」
  • 「猶予中は何もしなくてよい」
  • 「1年間は払わなくてよい」

猶予中の納付

許可後は、通知された猶予期間や納付計画を確認し、その内容に従って納付します。

分割納付が指定された場合は、各回の納付期限・納付額を確認し、計画どおりに納付を進めてください。分割納付の回数・金額、口座振替中の場合や特別徴収中の場合の具体的な扱いは、自治体によって異なるため、申請時または許可通知の際に確認してください。


猶予期間内に完納できないとき

猶予期間内に計画どおり納付できなくなった場合は、放置せず早めに自治体へ相談してください。

やむを得ない事情がある場合、分割納付計画の変更や猶予期間の延長について相談できることがあります。ただし、延長が自動的に認められるわけではなく、所定の要件を満たす必要があります。相談せずに納付が滞ると、猶予が取り消される可能性もあるため、早めの連絡が重要です。


困ったとき・分からないとき

どの制度を使うべきか分からない

「減免」「徴収猶予」「換価の猶予」のどれを使うか自己判断で決めず、事情と納付可能額を伝えて自治体の納税担当へ相談してください。

必要書類がそろわない

代替資料の可否や後日提出の可否を自治体へ確認してください。自分で「申請できない」と判断しないでください。

申請期限を過ぎたかもしれない

猶予理由によって期限の扱いが異なります。納期限を過ぎていても自己判断で放置せず、現在利用できる対応を自治体へ確認してください。

督促状・差押えに関する通知が届いた

通知を放置せず、記載された担当部署または納税担当へ連絡してください。

申請中に納期限が来る

申請したことだけを理由に納付を止めず、申請中の取扱いを自治体へ確認してください。

許可後の納付計画を守れない

そのまま滞納せず、計画変更・期間延長等を相談できるか、早めに確認してください。


相談先

住民税を課税した市区町村の納税・収納・徴収担当部署が、第一の相談先です。窓口の名称は自治体によって異なります。

窓口へ相談する際に伝える内容は、次のとおりです。

  • 住民税の徴収猶予を相談したいこと
  • 対象の年度・期別
  • 納期限
  • 未納額
  • 一時に納付できない理由
  • 現在支払える金額
  • 今後の収入・支出の見込み
  • 督促・差押え等の通知の有無
  • すでに行った納付・申請・相談

公式リンク


注意点

  • 徴収猶予は、住民税そのものを減額・免除する制度ではありません。あくまで納付する時期・方法を猶予する制度です。
  • 「一時に納付できない」ことは、事情があるだけで自動的に成立するものではありません。
  • 分割納付の回数・金額、延滞金の免除割合、担保の要否といった具体的な条件は、全国一律ではなく自治体・個別の状況によって異なります。
  • 申請中であっても、納付や督促の扱いが自動的に止まるとは限りません。申請中の扱いは自治体へ確認してください。
  • 許可された後も、計画どおり納付を続け、完納を確認するまでが徴収猶予の利用にあたります。

チェックリスト