転職したときに必要な手続きを確認する
概要
転職の際、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・年末調整などの手続きは、そのすべてを本人が役所へ行って行うわけではありません。健康保険・厚生年金保険と雇用保険は、加入要件を満たす場合、原則として新しい勤務先(事業主)が資格取得の届出を行います。本人は、新しい勤務先から求められる本人確認情報や年金・雇用保険・扶養関係の情報を提出・申告する立場になります。
また、年の途中で転職し年末まで新しい勤務先に在職する場合は、前職の給与を含めて新勤務先で年末調整が行われることがあります。そのため、前職の「給与所得の源泉徴収票」は重要な引き継ぎ書類になります。
この記事は、日本国内で前職を退職して別の会社へ転職した給与所得者を主な対象とし、「自分が新しい勤務先へ提出・申告すること」「勤務先側が行う手続き」「条件によって自分で追加対応が必要になること」を整理して、抜け漏れを確認できるようにするものです。退職から入社までの空白期間がある場合や扶養家族がいる場合の確認軸も扱いますが、自営業への転向・海外転職・公務員固有の制度は、この記事だけでは案内を完結できません。
このページで分かること
- 転職時の手続きのうち、自分が新しい勤務先へ提出・申告するもの
- 健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、会社側が行う届出と自分が行うことの違い
- 前職の源泉徴収票が新勤務先の年末調整でなぜ必要になるか
- 扶養家族がいる場合に確認する内容
- 退職から入社まで空白期間がある場合に確認する内容
- 手続き後に自分で確認しておくべきこと
対象読者
- 日本国内で、前職を退職して別の会社(会社員)へ転職した人
- 入社直後で、社会保険・雇用保険・税金の手続きに抜け漏れがないか確認したい人
次の状況に該当する人も、条件付きでこの記事の対象に含まれます。
- 退職から新しい勤務先への入社まで空白期間がある人
- 扶養家族がいる人
- 前職で企業年金・企業型確定拠出年金等に加入していた人
自営業への転向、海外転職、公務員固有の制度については、この記事だけで案内を完結させていません。
更新日
更新日:2026年9月16日
まず確認すること
新しい勤務先から渡された入社手続きの案内を確認し、提出を求められている書類・情報と、それぞれの期限を一覧にします。
全国共通の制度手続きだけでなく、勤務先が独自に求める提出物や期限があるため、これを最初の行動とします。
転職したときの手続き早見表
| 確認項目 | 主に手続きする人 | 読者がすること | 条件 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 新勤務先 | 必要な情報を提出し、資格が反映されたかを確認する | 加入要件を満たす場合 |
| 厚生年金 | 新勤務先 | 基礎年金番号を確認できる情報などを伝える | 加入要件を満たす場合 |
| 雇用保険 | 新勤務先 | 雇用保険被保険者番号を確認できる情報を提出する | 加入要件を満たす場合 |
| 所得税・年末調整 | 新勤務先+本人 | 前職の源泉徴収票などを提出する | 同一年に前職の給与がある場合など |
| 扶養関係 | 新勤務先+本人 | 扶養に関する情報・必要書類を提出する | 扶養家族がいる場合 |
| 国民年金・健康保険の切替 | 本人 | 空白期間中の制度を確認して手続きする | 退職から入社まで空白期間がある場合 |
| 企業年金等 | 本人+関係機関 | 移換・継続の要否を確認する | 対象の制度に加入していた場合 |
新しい勤務先へ提出・申告するもの
会社ごとに求められる書類や様式は異なりますが、一般に確認対象となるものは次のとおりです。
- マイナンバーを確認するための情報
- 基礎年金番号を確認できる情報
- 雇用保険被保険者番号を確認できる情報
- 前職の源泉徴収票
- 扶養家族に関する情報・書類
- 給与振込口座など、会社独自の入社書類
これらの提出書類・提出期限は会社によって異なるため、新しい勤務先が指定する様式・期限を優先して確認してください。
健康保険・厚生年金の手続き
70歳未満で厚生年金保険の適用事業所に勤務し、加入要件を満たす場合、健康保険・厚生年金保険への加入手続きは新しい勤務先が行います。日本年金機構の案内では、資格取得届は事実発生から5日以内に事業主が提出するものとされています。この5日以内という期限は、新勤務先(事業主)側の届出期限であり、本人が5日以内に年金事務所へ行くという意味ではありません。
短時間労働者などは、加入要件に該当するかどうかの確認が必要です。
本人が行うことは、新しい勤務先の指示に従って基礎年金番号を確認できる情報などの必要な情報を提出し、資格取得後に自分の資格情報が反映されているかを確認することです。
医療機関を受診する際の手段についても変更があります。2025年12月2日以降、従来の健康保険証は使用できません。マイナ保険証による受診が基本となり、マイナ保険証を利用できない人には資格確認書が用意されます。「資格情報のお知らせ」は、自身の健康保険の資格情報を確認するための書類です。これ単独では、原則として医療機関の受診には使用できません。
雇用保険の手続き
加入要件を満たす場合、雇用保険被保険者資格取得届は新しい勤務先が提出します。提出期限は、被保険者となった日の属する月の翌月10日までとされています。この期限も、事業主側の届出期限です。
資格取得が確認されると、雇用保険被保険者証などで加入状況を確認できます。雇用保険被保険者番号が分からない場合でも、氏名・生年月日・前職の会社名などからハローワークで確認できる場合があります。被保険者証を紛失していることが、そのまま転職時の手続きができないことを意味するわけではありません。
税金・年末調整の手続き
年の中途で就職し、年末まで勤務している人は、一定の条件で年末調整の対象になります。
同じ年に前職からも給与を受けていた場合、新しい勤務先は前職分の給与額・源泉徴収税額・社会保険料額などを源泉徴収票などで確認し、前職分を含めて年末調整を行います。
前職分の内容が確認できない場合、新しい勤務先ではその前職分を含めた年末調整を行うことができません。そのため、前職の源泉徴収票を確保し、新しい勤務先へ提出できるようにしておくことが重要です。
扶養家族がいる場合
扶養家族がいる場合は、次の内容を確認します。
- 新しい勤務先の健康保険で被扶養者として認定されるか
- 配偶者が国民年金第3号被保険者に該当するか
- 扶養状況や収入状況を確認するために、何を提出する必要があるか
税法上の扶養と、健康保険上の扶養は同じ制度ではありません。それぞれ別の制度として確認してください。
被扶養者として認定されるかどうかの個別の判断は、この記事では行いません。新しい勤務先または加入先の健康保険の窓口で確認してください。
退職から入社まで空白期間がある場合
退職から新しい勤務先への入社まで空白期間がある場合は、次の内容を確認します。
- 前職の退職日の翌日から、新しい勤務先の資格取得日までに空白があるか
- 空白期間中、健康保険をどの制度でつなぐか
- 国民年金への切替が必要か
- 新しい勤務先での資格取得後に、重複や未加入の期間が残っていないか
空白期間があるからといって、必ず同じ制度を選ぶことになるわけではありません。状況に応じて確認してください。
そのほか勤務先ごとに確認するもの
次の項目は、全員が必ず対応するものではありません。該当する場合に、勤務先の案内に沿って確認してください。
- 企業型確定拠出年金・企業年金
- 財形貯蓄
- 持株会
- 団体保険
- 通勤手当・通勤経路
- 住民税の給与天引きの扱い
- 会社独自の福利厚生
手続き後に確認すること
提出したことで終わりにせず、少なくとも次を確認します。
- 健康保険の資格情報が、新しい勤務先の加入内容へ切り替わっているか
- 雇用保険の資格取得が行われているか
- 年末調整に必要な源泉徴収票を提出できているか
- 扶養家族に関する手続きの結果を確認したか
- 空白期間がある場合、年金・健康保険に未処理の期間が残っていないか
チェックリスト
相談先
- 新しい勤務先の人事・総務担当:提出書類・提出期限・扶養関係の確認先
- 年金事務所:基礎年金番号や厚生年金の加入内容の確認先
- ハローワーク:雇用保険被保険者番号が分からない場合の確認先
- 前職の勤務先:源泉徴収票の発行を依頼する先