被災した住宅の応急修理を申請する
概要
災害で自宅が被害を受けた場合、災害救助法に基づく「住宅の応急修理」という制度を使えることがあります。これは、日常生活に必要不可欠な部分を応急的に修理し、元の住宅で生活を続けられるようにするための制度です。
この制度は、被災者へ現金を直接支給するものではありません。自治体が修理業者と契約して修理を行う仕組みで、修理業者に作成してもらった見積書を自治体窓口へ提出して申し込む形が基本です。
なお、ブルーシートの展張など「被災住宅の緊急修理」は本記事の対象ではなく、別の制度・別の行動として扱われます。混同しないよう注意してください。
対象となり得る被害の程度、費用の上限額、申込みの受付期限などは、災害ごと・自治体ごとに異なるため、必ず被災した住宅がある市町村へ確認する必要があります。
このページで分かること
- 自分がこの制度の対象になり得るかどうか
- 何を修理するための制度なのか
- 最初に何を確認すればよいか
- 申込み前に残しておくべきこと
- どのような流れで申し込むか
- 自治体へ何を確認する必要があるか
対象読者
災害で今住んでいる住宅が被害を受け、修理すれば引き続き住める可能性があり、公的な応急修理制度を利用できるか確認したい人を対象としています。
制度についてまだ詳しく知らない人でも読み進められる内容になっています。
更新日
更新日:2026年9月6日
この前に確認する
修理や片付けを進める前に、まず次を確認・準備してください。
1. 住宅の被害状況を写真に残す
修理業者に依頼する前ではなく、修理・片付けを進める前の段階で、住宅の外部・内部、被害を受けた箇所、浸水した場合はその高さなどが分かる写真を残しておく必要があります。片付けや応急的な補修を先に進めてしまうと、被害状況を証明できなくなるおそれがあります。
2. り災証明書の申請・発行状況を確認する
り災証明書は、住宅の被害程度を公的に証明する書類で、この制度の申込みでも必要になる場合があります。まだ申請していない場合は、申請状況を確認してください。
3. 被災した住宅がある市町村で、災害救助法の応急修理を受け付けているか確認する
災害救助法に基づく応急修理は、災害救助法が適用された地域で実施されます。まずは、被災した住宅がある市町村で、今回の災害について応急修理の受付が行われているか確認してください。
最初にやること
被災した住宅がある市町村の応急修理担当窓口へ、次の4点を確認してください。
- 自分の被害程度で対象になるか
- 対象となる工事の範囲
- 申込みの受付期限
- 必要書類・見積書の様式
この4点は、災害ごと・自治体ごとに異なるため、記事内の一般的な説明だけで判断せず、必ず窓口で確認してください。
対象になる人
被害の程度による対象
対象となり得る被害の程度は、次のように整理されています。
- 大規模半壊、中規模半壊、半壊(半焼)、準半壊のいずれかを受けた世帯:制度の対象になり得ます
- 全壊:原則として対象外ですが、修理によって居住可能となる場合は、個別に対象となり得ます
- 一部損壊のうち損害割合10%未満:対象外です
- 被害程度がまだ判定されていない:り災証明書の発行や自治体の判定を確認する必要があります
「半壊であれば誰でも利用できる」というような単純な判定はできません。最終的に対象になるかどうかは、自治体が確認します。
資力要件
この制度には、被害区分ごとに次のような資力の考え方があります。
- 中規模半壊・半壊:自分の資力では応急修理ができない人
- 大規模半壊:大規模な補修をしなければ住み続けることが難しい人
- 準半壊:自分の資力では応急修理ができない人
資力要件を満たすかどうかを自分で判定するのではなく、対象になり得るかどうかを自治体へ確認してください。
建物による対象
- 現在住んでいる住宅:対象として検討できます
- 倉庫、物置、車庫など住宅以外の建物:対象外です
- 借家:通常は所有者が修理を行いますが、事情によっては対象となり得るため、自治体へ確認してください
- 社宅・公営住宅など:原則として所有者側(管理者側)が対応するため、この制度ではなく管理者へ確認してください
対象になる修理
対象となる修理は、居室、炊事場、便所など、日常生活に必要不可欠な部分に限られます。優先的な対象として、次のような部位が示されています。
- 屋根、柱、床、外壁、基礎など
- ドア、窓などの開口部
- 上下水道、電気、ガスなどの配管・配線
- 便器、浴槽などの衛生設備
美観の向上や設備のグレードアップ、全面的な改修など、日常生活に不可欠とはいえない工事は、この制度の対象としては扱われません。
なお、倉庫、物置、車庫など住宅以外の建物は、修理の対象から外れます。
手続きの流れ
基本的な流れは、次のとおりです。
- 被害状況を写真に残す
- り災証明書を申請し、被害区分を確認する
- 自治体へ、制度の対象になるか、受付期限、必要書類を確認する
- 修理業者へ見積書の作成を依頼する
- 申込書、見積書、り災証明書等を自治体へ提出する
- 自治体の確認と修理業者との契約を経て、工事を進める
- 工事完了後、自治体が修理業者へ制度対象分の費用を支払う
順序や必要な様式は自治体ごとに異なる場合があるため、工事に着手する前に必ず窓口で確認してください。
必要なもの
必要書類は自治体によって異なるため、次を「自治体へ確認しておきたい主な書類」として整理します。
- 申込書
- 修理業者に作成してもらった見積書
- り災証明書の写し
- 被害状況が分かる写真(修理・片付け前に撮影したもの)
- 資力に関する申出書等(自治体から求められる場合)
- その他、自治体が指定する書類
「り災証明書が必ず申込時点で必要」など、全国一律の必須書類として断定できるものではありません。実際に何が必要かは、自治体窓口で確認してください。
費用はいくらまで
支出できる費用の上限額は、被害の程度によって異なり、金額は自治体・災害ごとの適用基準によって確認する必要があります。上限額を超える工事費用は、自己負担になります。
具体的な金額は本文では固定して掲載しません。金額を含めて、公開時点で適用される基準を自治体または公式情報で確認してください。
期限・いつまでに
修理の完了期限
原則として、災害が発生した日から3か月以内に修理を完了することとされています。
ただし、国の災害対策本部が設置された災害については、災害発生日から6か月以内に完了すればよいとされる場合があります。
申込みの受付期限
修理完了期限とは別に、申込みの受付期限が自治体ごと・災害ごとに設定されます。
「修理完了期限」と「申込受付期限」は異なるものなので、混同しないようにしてください。申込みの受付期限については、必ず被災した住宅がある市町村へ確認してください。
状況別
全壊と判定された場合
原則としてこの制度の対象外ですが、修理によって居住可能となる場合は、個別に対象となり得ます。り災証明書の被害区分を確認したうえで、自治体へ対象になるかどうかを確認してください。
借家に住んでいる場合
通常は所有者(貸主)が修理を行いますが、事情によっては借主が対象となる場合もあります。自分で判断せず、自治体へ確認してください。
工事に1か月以上かかりそうな場合
半壊以上の被害を受けた住宅で応急修理を申し込んだものの、工事完了までに1か月を超える見込みがある場合、工事完了まで応急仮設住宅に入居できることがあります。ただし、誰でも一律に併用できるわけではないため、該当しそうな場合は自治体へ確認してください。
被害程度がまだ分からない場合
り災証明書がまだ発行されていない、または被害区分が確定していない場合は、まずり災証明書の申請状況を確認し、被害区分が分かった段階で、あらためて自治体へ対象になるかを確認してください。
相談先
被災した住宅がある市町村の、住宅・建築・防災・被災者支援等を担当する、応急修理の担当窓口へ相談してください。
相談する際は、次を伝えられるようにしておくと確認がスムーズです。
- り災証明書の発行状況、または被害区分
- 住宅の種類(持ち家・借家など)
- 修理・片付け前に撮影した被害状況の写真の有無
具体的な電話番号や受付時間は自治体・災害ごとに異なるため、本文には固定して掲載していません。お住まいの自治体の窓口へ直接確認してください。
公式リンク
- 内閣府「災害救助法」:災害救助法に基づく応急修理制度全体の位置付けを確認できます
- 内閣府「被災者の住まいの確保」:応急修理制度の手引きを確認できます
- 内閣府「災害時の『住まい』と『生活』の再建に向けて」:対象者、修理対象部位、申込手続き、費用の考え方などの最新の案内を確認できます
これらに加えて、お住まいの自治体が公表している、今回の災害に関する応急修理の案内も、あわせて確認してください。
注意点
- 修理・片付けを始める前に、被害状況の写真を残してください。片付けを先に進めてしまうと、被害状況を証明できなくなるおそれがあります。
- 自治体の確認を受ける前に工事を始めてしまうと、制度の対象外になる可能性があります。
- この制度は、被災者へ現金を直接支給するものではありません。自治体が修理業者と契約し、修理業者へ費用を支払う仕組みです。
- 費用には被害程度ごとの上限があり、上限を超える部分は自己負担になります。
- 依頼しようとしている工事が対象工事に当たるかどうかは、見積りの段階で自治体へ確認してください。
- 災害に便乗した悪質な訪問業者や勧誘に注意してください。契約を急がされる場合は、契約前に自治体や消費生活センターへ相談してください。
- 「申込みの受付期限」と「修理の完了期限」は別のものです。両方を混同しないよう、それぞれ自治体へ確認してください。