賃貸住宅の設備が故障したときに対応する
概要
賃貸住宅に備え付けられている給湯器、エアコン、浴室、トイレ、換気扇、インターホンなどの設備に故障や不具合が生じたとき、多くの場合、修理そのものよりも先に「誰に何を伝えるか」「費用は誰が負担するのか」「自分で直してよいのか」が分からず不安になります。
このページでは、危険を広げないための最初の行動から、貸主・管理会社への連絡、修理費負担の基本、貸主が対応しないときの選択肢、設備が使えない期間の家賃の扱いまで、故障発生後に読者が次に取るべき行動を判断できるところまで案内します。
制度や条文の説明そのものが目的ではなく、まず「いま何をすればよいか」を先に示します。
このページで分かること
- 危険がある場合にまず何をするか
- 故障した設備が賃貸物件のものか、自分の所有物かの確認方法
- 貸主・管理会社への連絡で伝えるべきこと
- 修理費用を誰が負担するかの基本的な考え方
- 貸主が修理してくれないとき・急いで修理が必要なときにできること
- 設備が使えない期間の家賃がどう扱われるか
- 修理までに残しておくべき記録
対象読者
- 民間の賃貸住宅に居住している借主
- 給湯器、エアコン、浴室、トイレ、換気扇、インターホンなど、入居時から備え付けられていた設備に故障・不具合が生じた人
- 故障の原因や修理費用の負担がまだ確定していない人
- 貸主・管理会社へどのように連絡すればよいか分からない人
対象の設備かどうかは、契約書・設備表・入居時の資料などで確認することを前提とします。借主自身が購入した家電の故障は、このページの中心的な対象には含みません。
更新日
2026-09-11
まず最初にすること
設備の故障に気づいたら、次の順序で対応します。
- 危険な兆候がないかを確認する
- 危険がある場合は、その設備の使用をすぐに止める
- 故障箇所・症状・気づいた日時を記録する
- 故障した設備が賃貸物件のものかどうかを確認する
- 貸主・管理会社へ遅滞なく連絡する(設備区分の確認に時間がかかる場合も、連絡を遅らせない)
危険があるときは使用を止める
次のような症状がある場合は、通常の修理待ちにせず、まずその設備の使用を止めて安全を確保することを優先します。
- 発煙や焦げ臭いにおいがする
- ガス臭がする
- 漏電が疑われる
- 大量の漏水がある
これらの症状がある場合、詳しい緊急時の対処は別のテーマとして扱います。このページでは、危険を広げないために使用を止めることを優先し、その上で次の設備確認・連絡の手順へ進んでください。
故障したものが賃貸設備か確認する
故障した設備がどの区分に当たるかを、契約書・設備表などで確認します。確認に時間がかかる場合や、生活への支障が大きい場合は、確認が終わるまで連絡を遅らせず、貸主・管理会社へ故障状況を伝えた上で設備区分も確認してください。
区分 確認方法 対応の考え方
賃貸物件に備え付けられた設備 契約書・設備表・入居時の資料 貸主・管理会社への通知・修理手配の対象になり得る
借主が自分で購入・設置した家電 購入記録・所有物かどうか このページの中心的な対象外。自分の家電として対応する
契約上、借主が自ら行える軽微な修繕・消耗品交換 契約書の修繕負担に関する条項 契約内容に従う
国土交通省の賃貸住宅標準契約書には、別表に定める小規模な修繕を借主が自ら行うモデルがありますが、これがそのまま個々の契約に当てはまるとは限りません。自分の契約でどの区分に当たるかは、契約書・設備表で確認してください。
貸主・管理会社へ連絡する
賃貸設備の故障だと分かったら、遅滞なく貸主・管理会社へ連絡します。借主には、修繕が必要になったことを貸主へ遅滞なく通知する扱いがあります(民法(e-Gov法令検索))。
連絡の際は、次の内容を伝えます。
- 故障している箇所
- 症状に気づいた時期
- 具体的な症状
- 生活への影響
- 可能であれば写真
修理費を誰が負担するか
修理費用の負担は、次のような考え方を基本としつつ、契約内容と実際の事実関係によって変わります。
- 貸主は、賃貸物件を使用・収益するために必要な修繕を行う義務を基本として負います。
- ただし、借主の故意や過失など、借主の責めに帰すべき事由によって修繕が必要になった場合は、この基本の例外にあたる可能性があります。
- 契約上、借主が自ら行うと定められた軽微な修繕・消耗品交換にあたる場合は、契約内容に従います。
故障の原因や費用負担がどちらに当たるかを、自己判断で先に確定させず、貸主・管理会社との連絡の中で事実関係を確認しながら整理してください。
貸主が修理しないとき・急いで修理が必要なとき
貸主・管理会社へ連絡したあとも、次のいずれかに当てはまる場合は、借主自身が修繕できる場合があります。
- 貸主へ修繕が必要であることを通知した後、相当の期間が経過しても貸主が修繕をしないとき
- 急迫の事情があるとき
ただし、「相当の期間」がどのくらいかは、故障の内容や状況によって異なり、一律の日数で決まるものではありません。実際に業者を手配する前に、これまでの連絡記録、契約内容、想定される費用を確認してください。
また、借主が支出した必要な修繕費用については、貸主に対して償還を請求できる規定がありますが、支出した費用が自動的にすべて返ってくるとは限りません。
なお、急迫の事情がある場合でも、危険や安全に関わる故障については、専門業者や緊急の窓口へ連絡することを優先し、専門知識のない自己判断での修理は避けてください。
設備が使えない期間の家賃はどうなるか
借主の責任ではない事由によって、賃貸物件の一部が使用できなくなった場合、その使用できなくなった割合に応じて賃料が減額される規定があります(民法(e-Gov法令検索))。
ただし、具体的にどのくらいの割合・期間で賃料が減額されるかは、設備が使えない範囲・期間・生活への影響・代替手段の有無・契約条項などによって異なり、一律の割合で決まるものではありません。具体的な扱いは、事実関係を記録した上で貸主・管理会社と協議して確認してください。
なお、賃料の扱いについて意見の相違があっても、一方的に家賃全額の支払いを止めることは避けてください。協議を経ずに支払いを止めると、後のトラブルにつながるおそれがあります。
修理までに記録しておくこと
修理が完了するまでの間、次の内容を記録しておきます。
- 故障箇所の写真
- 連絡した日時と相手
- 連絡した内容と相手からの回答
- 修理の予定日程
- 設備が使えなかった期間
これらの記録は、修理費用の負担や賃料の扱いについて貸主・管理会社と協議する際の材料になります。
修理当日の確認
実際に業者が訪問して修理を行う場合は、次の点を確認しておきます。
- 訪問の日程
- 立ち入りが必要な範囲
- 当日行われる作業の範囲
- 修理完了後の動作確認
解決しないときの相談先
貸主・管理会社との協議で解決しない場合や、法的な判断が必要になる場合は、専門家への相談を検討してください。参考資料として、国土交通省の民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)も確認できます。この記事では、個別の紛争についての法的な結論までは扱いません。