検察審査会に審査を申し立てる
概要
検察審査会は、検察官が事件を裁判にかけなかった不起訴処分について、その当否を審査する制度です。誰でも申し立てられるわけではなく、法律で定められた申立権者に該当する場合に限られます。申立ては、審査申立書を作成し、管轄の検察審査会へ書面で提出して行います。申立てそのものや手続きの案内に費用はかかりません。
このページで分かること
- 自分が審査を申し立てられる立場かどうか
- どの検察審査会へ申し立てるか
- 審査申立書に何を書けばよいか
- 申立て前後に何を準備・確認すればよいか
- 費用や期限をどう考えればよいか
- 申立て後にどのような流れで審査が進むか
対象読者
この記事は、検察官の不起訴処分に納得できず、検察審査会への審査申立てを検討している人のうち、次のいずれかに該当する可能性がある人を対象とします。
- 告訴をした人
- 告発をした人
- 請求を待って受理すべき事件について請求をした人
- 犯罪により害を被った人
- 犯罪により害を被った人が死亡した場合の、その配偶者、直系親族または兄弟姉妹
「不起訴処分に納得できない人であれば誰でも申し立てられる」わけではありません。自分がこれらの立場に当たるか分からない場合は、後述する検察審査会事務局へ確認してください。
更新日
更新日:2026年9月29日
最初にやること
審査申立てを検討し始めたら、まず次の2点を手元で確認してください。
- 不起訴処分をした検察官が、どこの検察庁に属しているか
- 自分が、前述の申立権者に当たるかどうか
どちらか一方でも分からない場合は、管轄の候補となる検察審査会事務局へ、手続き案内として相談することができます。
審査を申し立てられる人
法律上、審査を申し立てられるのは、次のいずれかに当たる人です。
- 告訴をした人
- 告発をした人
- 請求を待って受理すべき事件について請求をした人
- 犯罪により害を被った人
- 犯罪により害を被った人が死亡した場合の、その配偶者、直系親族または兄弟姉妹
最後の「遺族」に当たる立場は、被害者が死亡した場合の配偶者、直系親族(親、子、祖父母、孫など)、または兄弟姉妹に限られます。
事件の種類によっては、一般の申立て対象から除かれる場合があります。自分の立場や事件が申立ての対象になるか判断しにくい場合は、管轄の検察審査会事務局へ確認してください。
申立先を確認する
審査申立書をどこへ提出するかは、自分の住所地や事件が発生した場所ではなく、「不起訴処分をした検察官が属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会」を基準に決まります(検察審査会法30条)。
「自宅から一番近い検察審査会に出せばよい」という考え方はできません。まず、不起訴処分をした検察官がどこの検察庁に属しているかを確認したうえで、その所在地を管轄する検察審査会を、裁判所が公開している全国の検察審査会一覧表で確認してください。
地域によっては、同一の所在地に複数の検察審査会が置かれている場合があり、どこに提出すればよいか一意に判断できないこともあります。その場合は、該当する検察審査会事務局へ確認してください。
審査申立書を準備する
審査申立てには、裁判所が公開している審査申立書の様式を使用できます。
2026年9月5日時点の現行制度では、審査申立ては書面で行い、申立ての理由を明示する必要があります。
提出方法(郵送で提出できるか、窓口への持参が必要かなど)については、全国で共通する方法が一般向けの公式ページ上で確認できていません。そのため、実際の提出方法に迷う場合は、提出先となる検察審査会事務局へ確認してください。
審査申立書に書くこと
審査申立書には、主に次の事項を記載します。
- 申立年月日
- 申立人の資格
- 申立人の住所、電話、職業、氏名、生年月日
- 代理人がいる場合はその情報
- 罪名
- 不起訴処分の年月日、事件番号
- 不起訴処分をした検察庁・検察官
- 被疑者の住所、職業、氏名、生年月日
- 被疑事実の要旨
- 不起訴処分を不当とする理由
- 備考
このうち、特に重要になりやすいのは「被疑事実の要旨」と「不起訴処分を不当とする理由」です。なぜ不起訴処分が不当だと考えるのかを、できるだけ具体的に整理して記載してください。
申立人または被疑者が複数いる場合は、備考欄または別紙を利用できます。
記載事項の中に分からないものがある場合は、「不明」と記載することができます。すべての欄を無理に埋める必要はありません。
申立ての流れ
審査申立ては、おおむね次の順序で進めます。
- 不起訴処分をした検察庁を確認する
- 管轄の検察審査会を確認する
- 審査申立書を入手する
- 必要事項と申立ての理由を記入する
- 必要に応じて、補足資料や別紙を準備する
- 管轄の検察審査会へ提出する
- 議決の通知を待つ
申立てから議決までにかかる期間について、全国共通の目安は確認できていません。
必要なもの
申立てにあたって必須といえるのは、審査申立書そのものです。
このほか、手元にあると記入しやすくなるものとして、次が挙げられます。
- 不起訴処分の年月日や検察庁が分かる資料
- 事件番号が分かる資料
- 被疑者や事件の内容を確認できる手元の資料
- 申立ての理由を補足する資料
「本人確認書類」「住民票」「戸籍」などが全国一律に必須とされているという情報は確認できていません。これらの提出が必要かどうかを含め、追加資料の要否や提出方法に迷う場合は、管轄の検察審査会事務局へ確認してください。
期限・いつまでに
不起訴処分を知ってから何日以内、という全国一律の法定申立期限は確認できません。公訴時効は、その後に起訴できるかどうかに関わるため、事件から時間がたっている場合は、早めに管轄の検察審査会事務局へ確認してください。
個別の事件について公訴時効がいつ完成するかの具体的な計算は、この記事では行いません。時間の経過が気になる場合は、早めに確認することを優先してください。
費用
審査申立てと、その手続き案内には費用がかかりません。
ただし、これは検察審査会への申立て自体にかかる手数料が無料という意味です。弁護士などの専門家へ個別に依頼した場合の費用や、郵送費・コピー代といった実費まで無料になるわけではありません。
申立て後の流れ
審査申立てをした後は、おおむね次のように進みます。
- 検察審査会議は非公開で行われます
- 通常、検察庁から取り寄せた捜査記録や、申立人が提出した資料などをもとに、不起訴処分の当否が審査されます
- 審査の結果は、次の3種類のいずれかで議決されます
- 不起訴相当
- 不起訴不当
- 起訴相当
- 「起訴相当」の議決には11人中8人以上、「不起訴不当」「不起訴相当」の議決には11人中6人以上の賛成が必要です
- 「起訴相当」の議決があった場合、検察官が改めて捜査を行い、起訴するかどうかを判断し直します
- 改めて不起訴となった場合など、一定の条件を満たすと、第二段階の審査が行われます
- 第二段階の審査で11人中8人以上が起訴すべきと判断すると「起訴議決」となり、裁判所が指定する弁護士が、検察官に代わって起訴・訴訟の活動を行います
議決があった場合、申立人には議決の要旨が通知されます。
相談先
申立ての手続きについて分からないことがある場合は、管轄または最寄りの検察審査会事務局へ相談してください。
この記事では、全国共通の代表的な電話番号を固定して掲載していません。裁判所が公開している全国の検察審査会一覧表から、自分が該当する事務局の連絡先を確認してください。
公式リンク
注意点
- 「不起訴処分に納得できない人であれば誰でも申し立てられる」わけではありません
- 申立先は、自宅の所在地を基準に決まるわけではありません
- 現行制度では、書面で理由を明示して申し立てる必要があります
- 記載事項に分からないものがある場合、公式様式では「不明」と記載することが認められています
- 「起訴相当」の議決になったからといって、それだけで直ちに起訴されるわけではありません
- 「不起訴不当」の議決になったからといって、それだけで起訴が決まるわけではありません
- 同一の事件について、議決があった後にもう一度審査申立てをすることはできません
- 起訴相当の議決後に行われる第二段階の審査は、新たな審査申立てではありません