退院が決まったときに準備する
概要
退院が決まったら、退院後の受診・薬・生活上の注意・必要な支援を、退院前に確認しておくことが大切です。病院からは個別の退院説明がありますが、この記事ではその説明を基準にしながら、退院当日までに確認しておきたい項目を整理します。病院ごとに時刻や書類、案内方法は異なるため、個別の内容は病院からの説明を優先してください。
このページで分かること
- 退院前に確認しておきたい基本項目(受診・薬・生活上の注意・連絡先・会計など)
- 自宅で介助や医療的な処置、介護・障害福祉サービスなどが必要になりそうな場合の相談の進め方
- 退院当日までに準備しておきたいものと、当日の確認事項
- 症状が変化したときの連絡先の確認方法
対象読者
- 入院中で、退院日または退院の見込みが具体的に決まった本人
- 本人の退院準備を手伝う家族など
- 自宅・家族宅・高齢者向け住まいなどで生活を再開するにあたり、退院前に何を確認すればよいか整理したい人
- 退院後に通院、服薬、訪問看護、介護・障害福祉サービスなどが必要になる可能性がある人
更新日
更新日:2026年9月15日
最初にやること
病院から渡されている退院に関する説明書や予定表などを開き、次の5点に未確認のところがないかを確認してください。
- 退院日
- 次回受診の予定
- 退院後に使う薬
- 生活上の注意
- 困ったときの連絡先
書面が手元にない、または内容がよく分からない項目がある場合は、退院前に病棟の看護師、主治医、退院支援担当者などへ確認してください。
退院日までに確認すること
この記事では、退院前に確認しておきたい項目を、次の順番で整理しています。ここでは全体の見取り図として、確認する項目名だけを挙げます。それぞれの具体的な内容は、後続の見出しで説明します。
- 退院後の受診・治療予定
- 薬・お薬手帳
- 退院後の生活上の注意
- 自宅で必要な介助・医療・サービス
- 退院時に受け取るもの・書類
- 入院費・会計
- 退院当日の帰宅準備
- 症状が変わったときの連絡先
退院後の受診・治療予定を確認する
退院後も治療が続く場合、次回受診の日時・場所・予約の有無を確認します。
- 次回受診の日時と場所
- 予約が必要かどうか、予約方法
- 他の医療機関への紹介がある場合、紹介先と紹介状の扱い
- 退院後に検査の予定があるかどうか
次回受診の予定は病院からの説明を基準とし、「受診は不要だろう」と自分で推測しないようにしてください。予定が分からない場合は、退院前に病棟または主治医へ確認します。
薬・お薬手帳を確認する
退院時に処方される薬がある場合、入院前から使っていた薬との違いを確認します。
- 退院時に処方される薬の有無
- 入院前から使っている薬について、開始・中止・変更の有無
- 薬の飲み方(回数・タイミングなど)
- 自宅に残っている薬(残薬)をどう扱うか
お薬手帳や退院時の薬剤情報は、退院後にかかる医療機関・薬局へ薬の情報をつなぐための資料になります。持っている場合は、退院時の内容を追記してもらえるか病院で確認してください。
薬の中止・再開・増減は、医師や薬剤師の個別の指示に従ってください。自己判断で変更しないようにします。
退院後の生活上の注意を確認する
食事、入浴、運動、運転、仕事や学校への復帰、創部の管理などについて、病院から個別の指示がある場合はその内容を確認します。
疾患や治療内容によって制限の有無や内容は異なるため、この記事では一律の可否を示しません。次のような項目について、自分に必要な指示があるかどうかを、退院前に医師・看護師などへ確認してください。
- 食事に関する注意
- 入浴に関する注意
- 運動・活動量に関する注意
- 運転に関する注意
- 仕事・学校への復帰に関する注意
- 創部や医療処置がある場合の管理方法
病院から特に指示がない項目については、その旨も含めて確認しておくと、退院後に何を守ればよいかが分かりやすくなります。
自宅で必要な介助・医療・サービスを準備する
退院後の生活で、家族などの介助、自宅での医療処置、訪問看護、介護・障害福祉サービスなどが必要になりそうな場合は、退院前に病院へ相談しておくことが大切です。
退院後の生活に不安がある場合は、退院前に病院へ相談できます。必要な支援を、すべて自分だけで手配する前提にせず、病院の退院支援担当者などへ調整状況を確認してください。
- 家族などの介助が必要かどうか、必要な場合はどんな介助か
- 自宅で行う医療処置がある場合、方法・必要な物品・行う人・困ったときの連絡先
- 訪問看護が必要そうな場合、退院前に病院へ相談する(訪問看護は主治医の指示に基づく仕組みのため、退院後に自分で探し始めるのではなく、退院前に医療機関側の調整状況を確認する)
- 介護サービスが必要そうな場合、退院前に病院の退院支援担当者などへ相談する(すでにケアマネジャーがいる場合は、入院前後の状態の変化を共有する)
- 障害福祉などの支援が必要そうな場合、病院の相談窓口へ、利用できる支援と手続きの確認を依頼する
介護保険サービスを利用するには、原則として要介護・要支援認定の申請が必要です。認定やサービス調整には時間がかかる場合があるため、必要になりそうな時点で早めに病院へ相談しておくと、退院後の生活が途切れにくくなります。新規の認定申請そのものの詳しい手順は、この記事の範囲外です。
退院時に受け取るもの・書類を確認する
退院時に病院から渡される書類や説明資料の内容は病院によって異なるため、この記事では全国共通の一覧としては示しません。次のような観点で、自分が受け取るものを確認してください。
- 病院から交付される書類・説明資料(退院後の生活・治療計画などの説明を含む)
- お薬手帳や薬剤情報
- 次回受診の予約票・紹介状などがある場合はその扱い
- 診断書や証明書など、必要に応じて自分で申請するものがある場合は、書類名・申込先・発行にかかる日数・費用
診断書などの書類は病院ごとに扱いが異なるため、必要になりそうな場合は、退院前に病院の文書窓口などへ、申込先・発行までの日数・費用を確認してください。
入院費・会計を確認する
退院時の会計では、支払い方法と精算方法、領収書などの受け取りを確認します。
- 支払い方法(現金・カードなど)、会計のタイミング
- 領収書・明細などの受け取り
- 差額ベッド代や食事代など、制度の対象外となるものがあるかどうか
高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担が上限額を超えた場合に、超過分の支給を受けられる制度です。マイナ保険証などにより、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられる場合があります。一方、差額ベッド代や食事負担などは、この制度の対象外となるものがあります。具体的な自己負担額や適用条件は個人ごとに異なるため、この記事では金額を示しません。
支払いが難しい場合や、費用面で不安がある場合は、会計前に病院の相談窓口や医療ソーシャルワーカーなどへ相談してください。
退院当日の帰宅準備をする
退院当日に困らないよう、次のような点を準備しておきます。
- 着替えや履物など、身の回りの荷物
- 迎え・交通手段の確保
- 自宅の鍵や、自宅の食事・寝具などの準備
- 退院時処方の薬、説明書類、予約情報、領収書などを受け取ったかどうかの確認
- 忘れ物がないかどうかの確認
移動方法や活動量について病院から個別の指示がある場合は、その指示を優先してください。
退院後に症状が変わったときの連絡先を確認する
退院後に症状が変わった場合、どんな状態ならどこへ連絡するかは、病院からの個別の指示を優先します。この記事独自の緊急度の判定基準は設けません。
- 症状が変化した場合の連絡先(病棟、主治医、指定された窓口など)
- 連絡が必要な症状の目安について、病院からの説明の有無
- 緊急性が明らかな場合は119番などの救急要請が必要になりますが、その緊急度の判断基準はこの記事では示しません
退院前に、この連絡先が分かっているかどうかを確認しておいてください。
状況別
基本的な確認に加えて、自分の状況に応じて次の点を確認してください。
一人暮らしの場合
退院後の生活を一人で行うことになるため、受診・薬・生活上の注意・会計・帰宅の基本確認を中心に、困ったときに頼れる連絡先を退院前に把握しておきます。
家族などの介助が必要な場合
介助の具体的な内容、家族が新たに覚える必要がある処置がある場合はその内容、困ったときの連絡先を、退院前に確認しておきます。
訪問看護・自宅での医療処置が必要な場合
退院前に、病院の退院支援担当者や主治医などへ、調整の状況を確認しておきます。
介護サービスが必要そうな場合
すでにケアマネジャーがいる場合は状態の変化を共有します。新規に必要になりそうな場合は、病院の相談窓口などから市区町村・地域包括支援センターなどへの接続を検討します。
支払いに不安がある場合
会計前に、病院の相談窓口などへ相談しておきます。
相談先
退院準備では、内容によって相談先が分かれます。
相談したい内容 相談先
治療、薬、生活上の注意、受診予定 主治医・病棟看護師など
退院後の生活、医療・介護・福祉の調整、費用面の相談 入退院支援部門・医療ソーシャルワーカーなど
退院時処方、薬の変更、服薬上の注意 薬剤師
介護サービス利用中の人の退院後のケア調整 既存のケアマネジャー
介護保険などの相談 市区町村・地域包括支援センターなど
高額療養費など個人別の費用の確認 加入している医療保険者
病院内の相談窓口の名称は病院によって異なります。「必ず医療相談室という名称の窓口がある」といった前提は置かず、病院の案内に従って窓口を確認してください。
公式リンク
自分が加入している医療保険者が分かる場合は、その保険者による高額療養費・限度額適用の案内もあわせて確認できます。
注意点
- 退院できることは、元の生活に完全に戻れることを意味するとは限りません。生活上の注意は病院からの個別の指示に従ってください。
- 薬の中止・再開・増減は、医師の個別の指示なしに行わないでください。
- 食事、入浴、運転、運動、仕事への復帰などは、人によって制限の有無・内容が異なります。一律に許可されている、または禁止されているとは限りません。
- 退院時刻、会計方法、受け取る書類などは病院によって異なります。この記事の内容を全国共通の手順として扱わないでください。
- 高額療養費制度は、差額ベッド代や食事代などすべてを上限の対象にするとは限りません。
- 介護保険や訪問看護は、全員が必ず利用する手続きではありません。必要そうな場合に、退院前の相談から始めます。
- 家族などの介助が必要な場合でも、家族が対応することを当然の前提とはしていません。必要な支援について、病院へ相談してください。
- 退院後に症状が急に変化した場合の対応は、この記事だけで判断せず、病院からの個別の指示や医療機関への連絡を優先してください。
- 精神科入院、出産、小児、終末期など、それぞれに固有の制度がある場合は、この記事の内容とは別に確認が必要です。