災害援護資金の貸付を申請する
概要
災害援護資金は、自然災害によって世帯主が負傷したり、家財や住居に被害を受けたりした世帯が、生活を再建するための資金を借りるための制度です。給付金ではなく貸付(融資)であり、後日返済する必要があります。
実施主体は市町村で、対象となるのは、都道府県内で災害救助法が適用された市町村が1以上ある自然災害により、世帯主の負傷または家財・住居の被害を受けた世帯です。世帯の所得が一定基準を超える場合は対象になりません。
この記事は、災害援護資金を借りたいと考えている読者が、自分が対象になり得るか、被害の状況に応じていくらまで借りられるか、いつまでに何を準備して市町村へ申込みへ進めばよいかを確認できるところまで案内します。個々の災害の具体的な受付期限、自治体ごとの申込様式、利率や保証人要件の断定、貸付審査の結果予測、返済猶予・償還免除の詳細手続は、この記事の範囲外です。
なお、東日本大震災については、一般の災害援護資金制度とは異なる特例が設けられています。この記事は一般制度についての案内であり、東日本大震災の特例の詳細は扱いません。
このページで分かること
- 災害援護資金がどのような制度か(貸付であり給付金ではないこと)
- 対象になり得る災害・被害の基本条件
- 世帯の所得制限の基準
- 被害の状況別に借りられる金額の目安
- 申込みまでのおおまかな流れ
- 一般的に求められる書類の例
- 期限についての考え方
- 利率・据置期間・償還期間の基本
- 市町村へ必ず確認すべき内容
対象読者
主に次のすべてに当てはまる人を対象とします。
- 自然災害で被災した
- 世帯主におおむね1か月以上の負傷がある、または家財・住居に一定以上の被害を受けた
- 生活再建のための資金を借りたい
- 自分が対象になるか、いくら借りられるか、いつまでに何を準備すればよいかを知りたい
更新日
更新日:2026年9月6日
最初にやること
お住まいの市町村(または被災地の市町村)の担当窓口へ、今回の災害が災害援護資金の対象になっているか、申込期限、必要書類を確認します。
罹災証明書の発行を待ってから期限直前に動くのではなく、借りる可能性があるなら早い段階で担当窓口へ確認することが重要です。
対象になるか確認する
災害援護資金の対象になるかどうかは、次の順番で確認します。
- 被災した災害が対象災害か
- 世帯主の負傷・家財・住居の被害が対象区分に該当するか
- 世帯の所得が基準内か
- 市町村の申込期限内か
- 必要書類がそろうか
対象となる災害
対象となるのは、都道府県内で災害救助法第2条第1項が適用された市町村が1以上ある自然災害です。
対象となる被害の基本条件
次のいずれかに該当する場合が基本条件となります。
- 世帯主が災害で負傷し、療養におおむね1か月以上を要する
- 家財の3分の1以上の損害
- 住居の半壊
- 住居の全壊
- 住居の全体の滅失または流失
世帯の所得制限
所得制限は、世帯人員に応じた前年の総所得金額の基準で判断します。
| 世帯人員 | 前年の総所得金額の基準 |
|---|---|
| 1人 | 220万円以下 |
| 2人 | 430万円以下 |
| 3人 | 620万円以下 |
| 4人 | 730万円以下 |
| 5人以上 | 730万円+5人目以降1人につき30万円以下 |
ただし、住居が滅失した場合は1,270万円以下となります。
この基準は「収入」ではなく、市町村民税における総所得金額を基にした基準です。収入額とそのまま比較しないよう注意してください。また、実際にどの年の所得を基準とするかは、被災した時期や自治体の案内によって異なるため、市町村へ確認してください。
対象かどうか判断できない場合
次のいずれかに当てはまり、対象かどうかを自分で判断できない場合は、この記事だけで「対象外」と決めつけず、市町村へ対象可否・例外・期限の取扱いを確認してください。
- 被害の程度が基準に達しているか分からない
- 被災した災害が対象災害か分からない
- 申込期限を過ぎているかもしれない
- 所得基準の計算年が分からない
借りられる金額
貸付限度額は、世帯主の負傷の有無と被害の区分によって次のように分かれます。
世帯主に1か月以上の負傷がある場合
| 被害 | 貸付限度額 |
|---|---|
| 負傷のみ | 150万円 |
| 家財の3分の1以上の損害 | 250万円 |
| 住居の半壊 | 270万円 |
| 住居の全壊 | 350万円 |
世帯主に1か月以上の負傷がない場合
| 被害 | 貸付限度額 |
|---|---|
| 家財の3分の1以上の損害 | 150万円 |
| 住居の半壊 | 170万円 |
| 住居の全壊 | 250万円 |
| 住居の全体の滅失・流失 | 350万円 |
被災した住居を建て直す際に残存部分を取り壊さざるを得ない場合など、特別の事情があるときは、限度額が変わる区分があります。特別の事情がある場合の貸付限度額は通常の区分と異なることがあるため、該当する可能性がある場合は市町村へ確認してください。
手続きの流れ
一般的な手続きは、次の順で進みます。
- 市町村に、今回の災害が災害援護資金の対象か確認する
- 自分の被害区分・所得基準・申込期限を確認する
- 市町村から申込書と必要書類一覧を入手する
- 必要書類をそろえる
- 市町村の指定方法で申込む
- 審査・貸付可否の決定を待つ
- 貸付決定後、借用書等の追加書類を提出する場合がある
- 資金交付後、決められた条件で返済する
申請したからといって、必ず貸付を受けられるとは限りません。申込み後には審査があり、貸付の可否は市町村が決定します。
必要なもの
必要書類は自治体によって異なるため、ここでは一般的に求められる書類の例を示します。実際に必要な書類は、必ず市町村へ確認してください。
一般的に求められる書類の例
- 災害援護資金の借入申込書
- 罹災証明書・被災を確認できる書類
- 世帯の所得を確認できる課税証明書・所得証明書
- 世帯全員の住民票
- 世帯主が1か月以上負傷した場合の医師の診断書
- 家財被害が分かる写真等
- 振込口座が分かるもの
- 保証人を立てる場合の保証人関係書類
- 修繕・購入等の使途を確認する見積書・契約書等(自治体によって求められる場合があります)
市町村の窓口で確認する内容
- 今回の災害で必要な書類は何か
- 罹災証明書は申込時点で必須か
- 所得証明書は何年分必要か
- 世帯全員分が必要か
- 診断書の指定様式があるか
- 写真、見積書、通帳等が必要か
- 保証人を立てる場合に何が必要か
- 窓口・郵送等の受付方法
期限・いつまでに
申込期限は、市町村の条例や災害ごとの案内で確認する必要があります。全国一律の期限として定められているわけではありません。
多くの自治体では、被災した月の翌月1日から3か月、または被害発生日から3か月以内などの期限を設けていますが、次のような断定はできません。
- 「必ず被災日から3か月以内」
- 「必ず翌月1日から3か月以内」
- 「期限後は絶対に申請できない」
条例や規則の文言、例外の取扱いには自治体差があり、個別の災害によって期限が延長されたり特例が設けられたりする可能性があるためです。
借りる可能性があるなら、罹災証明書等の発行を待ってから期限直前に動くのではなく、まず市町村の担当窓口へ申込期限と必要書類を確認してください。
利率・返済条件
国の基準として、次のとおり定められています。
- 利率:年3%以内で市町村の条例が定める率
- 据置期間:3年(特別の場合は5年)
- 償還期間:10年(据置期間を含む)
- 償還方法:年賦、半年賦または月賦
自治体によっては、連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%など、条例で定める利率が異なる例があります。ただし、年1.5%や無利子を全国一律の現行利率として扱うことはできません。実際に適用される利率は、必ずお住まいの市町村の条例や案内で確認してください。
なお、東日本大震災については、一般制度とは異なる利率・据置期間・償還期間の特例が設けられています。この記事は一般制度についての案内であるため、特例の詳細な条件は扱いません。一般制度の条件と混同しないよう注意してください。
相談先
お住まいの市町村、または被災地の市町村が案内する災害援護資金担当窓口
具体的な窓口名や部署名は自治体ごとに異なるため、この記事では固定していません。まずはお住まいの市町村の代表窓口や公式サイトから、災害援護資金の担当窓口を確認してください。
公式リンク
- 内閣府「災害援護資金の概要」:制度の対象、貸付限度額、据置期間、償還期間などの基本的な一次情報を確認できます。
- 内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」:災害援護資金を含む被災者支援制度全体の位置付けを確認できます。
あわせて確認する
- 罹災証明書を申請する:災害援護資金の必要書類として罹災証明書を求められる場合があります。申請方法や被害認定調査を確認したい場合に確認してください。
- 被災者生活再建支援金を申請する:住宅に大きな被害を受けた場合は、返済不要の支援金の対象になり得ることがあります。災害援護資金とは別制度としてあわせて確認できます。
注意点
- 災害援護資金は貸付であり、給付金ではありません。借りた資金は返済する必要があります。
- 所得制限で使われる基準は「総所得金額」であり、単純な「収入」とは異なります。
- 申込期限は全国一律ではありません。市町村の条例や災害ごとの案内で確認してください。
- 利率も全国一律ではありません。「無利子」や「年1.5%」を全国共通の現行利率と思い込まないでください。
- 必要書類も自治体によって異なります。一般的な例だけで準備を終えたと判断せず、市町村へ最終的な一覧を確認してください。
- 東日本大震災には一般制度とは異なる特例があります。一般制度の条件と混同しないよう注意してください。
- 申請すれば必ず貸付を受けられるわけではありません。申込み後には審査があり、貸付の可否は市町村が決定します。